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恒心文庫:あなたが落としたのは

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

唐澤貴洋がいつものように弟を用水路に突き落として遊んでいると、
水の中から唐突にGANTZのコスプレをした若い女性があらわれ、
両脇にダチョウと差別主義者と人間を抱えながらこう告げたのだった。

「あなたが落としたのは、このダチョウのATSUSHIですか?」

想定外の事態に一瞬固まった唐澤貴洋だったが、
そういえば弟には翼ではなく腕が生えていたことを思い出し、
いいえと答えた。するとコスプレ女性は次にこう尋ねた。

「あなたが落としたのは、この黒田厚志ですか?」

確かにこの陰キャ弁護士は唐澤貴洋の弟に似ていた。目と耳と手と足が2つずつあるという点では。
しかし貴洋の弟は、面識のない他人に対し妻子を売春宿で働かせろなどという暴言は吐かない。
貴洋はこれも違うと答えた。

「ではあなたが落としたのは、この唐澤厚史ですか?」

いかにも不良グループからパーティ券を押し付けられ売りさばけなかった挙げ句
多摩川の河川敷で暴行を受け親にも相談できずに翌日自殺し苦しみ抜いた死に顔をしている。
唐澤貴洋は●はい。と答えた。

「あなたは正直者です。そんなあなたには、
 すげー申し訳ないんですがダチョウのATSUSHIと黒田厚志も差し上げます」

こうして唐澤貴洋の手元には、一羽のダチョウと一人のカッパフェイス、そして弟の遺体が残った。
しかしどうしたものか。ダチョウは売りさばけば金になりそうだが、黒田厚志と死体は処理が面倒だ。
貴洋はとりあえず黒田厚志の授業評価アンケートに、差別発言が多いとの苦情を書いた。

惨めな自尊心を埋め合わせるため常に周囲を見下している黒田厚志はこれに激怒。
隠し持っていた武器(知恵を付ける事になるので、何とは言わない。)を手に
唐澤貴洋へと襲いかかった。レイシストとレイピストの対決である。

「来春までに死んでくれ、唐澤貴洋」

しかし弁護士の中でもとりわけヒョロガリクソザコナメクジであるところの黒田厚志が、
体重唐澤貴洋の唐澤貴洋にかなうわけもない。
黒田厚志はその河童に似た顔面にワンパンで無事死亡した。えげつな。
なお黒田厚志の最期の言葉は以下のようなものだったと伝えられている。

「名前が重複だぞ、ダチョウのATSUSHI。アホ、ボケ!」

二つに増えてしまった死体のために、唐澤貴洋は墓を作ってやることにした。
唐澤厚史、黒田厚志と名前を彫り終えたところで、しかし周囲に加齢臭が漂っていることに気づく。
見るとコスプレ女性が過度に露出しつつ台湾当局を馬鹿にしているところだった。

貴洋はおもむろにAdobe Photoshopを起動するとCTRL + Z を連打。するとどうしたことか!
瞬く間にPhotoshop加工がアンドゥされ、コスプレ女性は急速に加齢。老衰により無事死亡した。

ところがCTRL + Z を打し過ぎたため、誤って墓誌に彫り込んだ名前の一部も消してしまったようだ。
上書き保存のため取り消しも効かない。
唐澤貴洋は仕方なく両者の名前をコピペでくっつけることにした。

こうして二人の名前が刻まれた墓誌は、今も東光院にて静かにたたずんでいるのです。

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