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恒心文庫:95万$ベイビーズ

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

さてついつい乗せられて安請け合いはしたものの、当職には一抹の不安があった。
はたして当職のナルシスは立ってくれるのだろうか?(このナルシスって言い方は洋の受け売りだ)
萎えたりせずに、ちゃんと大役を果たしてくれるだろうか?

そしてそれはいざ裸になり、ベッドに入る段になると、
想像していた不安に現実の不安が容赦なく襲い掛かる揺るぎがたい確信になり、
当職は洋のアザラシのような尻を前にして、打ち震える一粒の迷える地上の種だった。

洋はしている最中どこからそんな声を出しているのか、
甘えん坊の幼稚園児みたいなむず痒い快楽の喘ぎを発していた。

「ああん、唐澤貴洋、ちもちいい、ちもちいい……」

それははっきり言って気味が悪い。いい四十のオジサンがからだをくねらせて、
そんなふうに歓んでいる様はとても尋常ではない。
もしこれが最新の冗談なら、口にオシャブリでも付けてあげたい気分だ。
……けれど当職はやはりそれをそんな客観的な醒めた目で見てはいけない。
一緒になって創造の性の宇宙を飛翔しなければならない。

当職は先ず型通り、どうにか洋をいかせた。
こんなことは少し頑張ればわけはない。

そして問題はこれからだ。そんなのはよくある苦難の前奏曲だ。
ここからが真の長き苦難のオペレッタの大舞台なのだ。
当職はただ状況描写に徹するのなら、こんなことをやっていた。

──

先ず、洋の放出したエキスをナマコの汁を絡めるように手に集める。
そしてそれをエデンに──この言葉も洋の受け売りだ──なすりつけ、
表皮を丁寧に揉みしだく。もちろんうつぶせで尻を高く上げさせた格好で。
そして人差し指をゆっくりとエデンに挿入していき、優しく粘液を押し広げる。
だんだんと指を殖やしていく。そして親指を除いた四本の指が第二関節ぐらいまで
エデンの園に吸い込まれるようになれば、それでだいたいOKだ。
あとは急くことなく、時には上下させたりして、五分間くらい愛撫する。
むろん爪が伸びているのは厳禁だ。それに事前にトイレに行かせて
ウンコを出させなくてはならない。まるでビギナーのための♡♡講座みたいだが、
すべては型通りだ。当職が今までされてきたことの最善の復習だ。

さてそれで話は当職の心理面に移るわけだが、それは決して透視などを許さぬ、
実に個人的な苦しい葛藤の連鎖だった。──そんなにオオゲサなものでもなかったけど。

先ず当職は今一度、自分の深層を覗くことにした。自分の内部を今一度、検証してみることにした──

当職は洋のアザラシのような浅黒い尻をあるがままに見、感じ、愛撫しながら、
何か自分の中に汚いものを愛するような異常な性欲が出てはこないかと思った。
当職の奥深く潜在していた自分でも知らない倒錯が、突然、
啓示のように目覚めはしないかと待ち望んだ。たとえ残虐な憎しみのような偏愛でもいいから、

──ははっ、いい四十のオジサンのおケツに残虐な偏愛を感じるっていうのも、
よく考えればおかしな話だが──

当職のナルシスを性の歓喜に打ち震えさせてはくれないかとひたむきに願った。

……けれど待てど焦れど、そんなものは一向に出てきやしなかった。
洋の尻を凝視すればするほど、当職のナルシスは耐えられなくなったように
小さく萎んでいくのだ。「そんなものに愛を感じられるはずはないじゃないか!」
とでも叫ぶように、当職のナルシスは当職の願いも空しく打ち萎れていくのだ。


続く

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