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恒心文庫:頭唐澤(2016年)

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

1/6
 からさんという男は頭唐澤である。

 そりゃ唐澤貴洋なんだから当たり前だろう、とか、むしろ全身唐澤貴洋だろう、
などと言われれば僕には否定できないことであるが、とにかく事実は事実である。
ただ一応確認をしておきたかっただけだ。
 誰かが頭唐澤だ、とからさんに言い放てば、きっと彼は発言者に対しその情けない声でナリナリ罵倒しようとするだろう・・・
いや、からさんは頭唐澤という言葉の意味を履き違えて賛美の言葉であると考えるかもしれない。
ネット上の用例を見る限り「重度の池沼」や「呆れ果てるほどの無能」の類義語なのだが、
からさんに常識は通用しないのだ。
2/6
 僕の目の前でからさんは今日もIP開示とアイドル鑑賞に精を出し、洋に精液を出しながら山本に精液を出されている。
 平和で、日常的な風景だなぁ。
 そう思いながら僕はIT関係の法についての論文を書き上げる。

 昼食を食べて二時間ほど論文を書いていると、唐突に一つの疑問が頭に沸いてきた。
「唐澤貴洋の頭の中身はどうなっているのか?」
 数秒考えた後に考えるだけ無駄だろうという常識的な答えに至りつく。
 しかし、一度気になり出したら中々忘れられないもので、
夕方、出かけているからさんを回収しに行くときになってもまだその疑問が頭の中にこびりついていた。
3/6
 からさんが両乳首につけている弁護士バッチ風ピアスに仕込まれたGPSに従い、
僕はいつものようにからさんのもとにたどり着いた。

 関係のない話になるがGPSをつけることを提案したのは僕である。
しかし乳首につけさせるというアイデアは山本くんが出したものだ。
すぐに裸になるからさんのことを考えると彼の意見は実に素晴らしいものだった。
 現にからさんは全裸で倒れている。
両足の腱と首筋からは血がドバドバと流れ、尻からは大量の大便が流れ出ている。
からさんは今日も死んでいた。

 だけれども今日は少し違っていた。
いつもからさんを迎えに来た僕を見つけるや否や背を向けてさっさと去っていく少女が僕を見つめていたのだ。
 僕は毎日のようにからさんを殺害している彼女が気になり、声をかけようとしたのだが
「違うのはあなたなのです。」
先に声をかけられた。
4/6
「は?」
 突然の事であったから僕は動揺して生返事をしてしまったのだが、彼女は気にも留めずに続けて言った。
「今のあなたはそれ(38)の頭の中身が気になっているのです。」
事実である。確かにからさんの頭の中身は眠れそうにない程には気になっている。
だが、僕はそんな事を彼女に伝えたことはないし、そもそも会話をするのだって初めてだ。
「だから、割ってみればいいのです。」
そう言って彼女は可愛らしく微笑みながら僕に血と油のついた鉈を渡した。
「そんなおもちゃ(38)に、何も遠慮することはないのです。」
鉈はそこらのホームセンターに売っているような安物であるが、そんな事はどうでも良い。
目の前のサイコパスと思わしき少女はからさんを殺害し、
あまつさえ僕にからさんの頭を割れといっているのだ。
 僕がやらなければならないことは決まっている。

 からさんの頭を割らなければ。
5/6
 僕が渾身の力で鉈を降り下ろすと「パカッ」という情けない音と共にからさんの頭が開示された。

 結論から言うとからさんの頭の中身は何もなかった。
 殆ど動揺しなかったのは何故だろうか。
脳みその無い人間など生きられる筈もあるまいに。
 だけれどもからさんは洋さんの尻穴に突っ込んだら生き返るじゃないか、
普通の生物と同じように考えることが間違っているのだろう。
 いや、死んだ生物が蘇るのはよく考えたら異常ではないか。
そもそも法律事務所でホモセックスに耽り、
時には父親と子を為す、史上稀にみる無能弁護士・・・

何故僕はそんなからさんを当たり前の存在であるかのように感じていた?
何故からさんはこんな珍妙な生物(38)になっている?
「それの方が面白いからです。良い暇潰しになるのです。」
彼女はケタケタと笑って語る。

「弟を始末してくれるなら何でもする、なんて」

分からない。

「おもちゃにしてくれと言っているようなものなのです。」

分からない、僕は何を知りたいんだ?

「簡単なことなのです。
あなたも、これで遊べば良いのです。」


ああ、そうか。
ようやくわかった。
僕が知りたかったことはからさんの頭の中身ではなかったのだ。
僕はようやく答えを得た。
「からさんはからさん」
それだけのことだった。
 
6/6
 「鳴けっつってんだよオイオラァ!」
 「ナリィィィィィィ!!!!」
夕食後、山本くんによる何時もの雄豚調教タイム。
今の絶叫はからさんの尻穴に刺さっているアナルバイブが
山本くんの前蹴りによってかなり深く突き刺さったからだ。
 昨日まで僕はそんな光景をただ遠巻きに眺めているだけだったが、今日からは違う。

 僕の手には一本のアナルバイブが握られていた。

(おわり)

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