恒心文庫:雛祭り
本文
八雲法律事務所は創立以来初めてのピンチを迎えていた。
石崎敦子逮捕を受けて所属弁護士の間で話が盛り上がっていた山岡裕明代表の去勢問題である。
去勢派の意見としては
・役に立っていないものは断捨離すべき
・去勢して女の子になることにより、石崎敦子のような山岡ガチ恋勢を諦めさせることができる
・去勢してホルモンバランスを女性寄りにすることで、胸や尻を大きくさせ、魅力的な体にする
などがあり、反去勢派の意見としては
・山岡代表のチンポや玉も存在するだけで価値があり、断捨離といった価値観を押し付けることへの疑問
・勃起しないチンポ、収縮しない睾丸を触るのは女性のおっぱいを触るようで癒される
といったものがあった。それぞれ一理あるため、議論は平行線となった。
平行線は必ず交わるといったことはなく、一触即発のピリピリしたムードが事務所を覆い、
複数人で担当する案件もなかなか進まなかった。
そんな中で3月3日の桃の節句、いわゆる雛祭りを迎えたのである。
桃の節句は、女子の健やかな成長を祈る行事であり、かつ雛人形を依り代として災厄を享けてもらうという意味があるものである。
去勢問題で揺れる中、オタサーの姫、もとい法律事務所の姫である山岡代表を中心として祝われることになった。
いうまでもなく法律事務所の姫であり、かつ出雲の国津神の後裔として、他人の災厄を享け、自らの霊力でそれを浄化できる山岡裕明が「お雛様」である。
「お内裏様」に誰が選ばれるかは注目されたが、結局事務所引っ越しの際の儀式と同じく、杉本弁護士が選ばれた。
自分が選ばれると思っていた畔柳弁護士は涙を流したが、愛憎のもつれで長ドスで代表を刺して自分も死のうとした杉本に勝てるわけはない、と菊地弁護士に慰められ、納得したようだ。
そののち、三人官女、五人囃子、随身(本来は2人だが都合により1人)が籤引きで決まり、山岡代表と官女となった3人は美しい十二単(貸衣装)を身にまとう。
また、お内裏様、五人囃子と随身も日本の宮廷貴族のような美しい衣装を身にまとう。
その艶やかな姿を、女性弁護士が動画で、小林弁護士がスケッチで記録する。
事務所のビルの階段で一通りの撮影等を行った後は、女子の健やかな成長、すなわちお雛様がお内裏様によって「女」にされる儀式となる。
山岡代表は雛祭りで祝われる対象となる女児を意識したのか、服を脱がせていくといわゆる子共パンツを穿いており、
子共らしからぬ卑猥な乳首とのアンバランスは皆の注目を集めた。
そして「お内裏様」が「お雛様」を大人の女にしていく儀式が行われる。
それとともに三人官女と五人囃子、随身も互いに交わる。
お内裏様が一通りすっきりしたあとは、三人官女や五人囃子、随身役となった弁護士たちが交互に山岡代表に挿れていく。
激しく動いた後射精に至るのだが、そこで彼らははっと気づいた。
別に山岡代表に竿と玉があろうがなかろうがどうでもいいではないか。
山岡代表が決断したときに去勢すべきであり、我々は流れに身を委ね、山岡代表を気持ちよくさせて自分も気持ちよくなればよいではないか。
儀式が終わった後、皆の表情には満足感が漂い、仲良く共同作業にもあたるようになったという。
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。