恒心文庫:脅迫文
本文
「エクシアの工作員とハセカラ民のせいで当職がエクシアの闇を捲る系弁護士を演じても効果が激減しているナリ...」
これはいけない。そこで当職はSFC卒の高額歴の頭脳をフル活用し、こんな妙案を閃いた。
「原田、警察の取り調べ資料を持ってこいナリ」
原田は直ぐにやって来た。当職は古く錆びた万年筆をデスクの奥底から乱暴に取り出し、書き殴りを始めた。
原田が持って来た資料には主にハセカラ民が当職の神聖なる名を冒用して当職の事務所や全国各地に送られた殺害予告・爆破予告の夥しい文面が所狭しと記載されている。
「唐澤さん、何をするのですか?」
原田の問いに対し、
「なあに、奴等の真似事だよ。もちろん犯罪なんかはしないナリ」
原田の方を見向きもせず目の前の紙に向かって何か書いているようだ。
10/23(土)のー
「今日は日曜日です。」
「分かってねえなあ原田君よ。ハセカラ民の知能の低さを忘れたナリか?」
午後15時34分にー
おっと素で間違ってしまった。まあいいか。野球と334くらいしか共通の話題がない引き籠りハセカラ民に午前・午後の感覚などあるはずがない。このままでいいや。
折角なら洋と原田も巻き込んでやるか。
続いて唐澤貴洋とその父唐澤洋 同僚の原田學植をナイフでメッタザシにして○すと書く。
「原田、名前の漢字合ってるナリか?」
原田に向けられた紙には唐澤の悪筆で3人への殺害予告が書かれていた。原田は呆然としていたが首を縦に振ったので続けよう。
紙の上にあるオランジーナはー
すると原田が吹き出した。当職のユーモアは一流だ。芸人の岡田と太紙に認められた正真正銘のコメディアンと言っても過言ではない。
奴等は俺のアクセサリーが好きだからな。どうせなら洋と一緒に厚史も使うか。だったらオランジーナは最後の晩餐にしてやるか。
「なあ弟よ。墓にふりかけてやったオランジーナは美味しかったナリか?」
心の中でそう呟いたが笑いを堪えるのがいよいよ苦しくなってきた。
はやく辞生のー
字が汚ねぇな、書き直そう、辞生。
2度も同じ間違いをしたがハセカラ民らしいからこれはこれでいい。後ろから眺める原田も納得の表情だ。
辞生の句を読んだ方がいい、うむ悪くない。
「最後はそれはできるよね?がいいニダ」
「原田ナイス!採用ナリ!」
それはできるよね?で文章を書き終えた。
「この後はどうします?」
原田が訪ねてきた。
「写真をツイートするナリ。ハセカラ民から脅迫されたテイがこれで完成するナリ」
「目的とかは何かあ…」
原田の返しを最後まで聞かず
「たまにはハセカラ民を利用させてもらうナリ。エクシアの闇を捲る為に必要ナリ」
パシャっと写真を撮り、早々にツイートする。まだインクが乾かぬうちに
「23日は日曜日だから。
ちゃんとカレンダー見ろよ。
あと辞世の句だから。
ちゃんと国語辞典で調べてから書いてこい。
字が汚いから、ペン習字でも習ってこい。
字は乱れてるし、学校で何習ってきたんだ。」
との文面を添えてツイートする。
「原田、リツイートよろしくナリ」
悪いなハセカラ民よ。別に悪気があった訳じゃない。エクシアは悪だ。悪には悪でか太刀打ちできない。
普段当職を使って散々なことやってくれたお前らを今回は逆に利用させてもらう。
悪く思うな。お前らがいつもやってることじゃないか。悪を中和する必要悪の何が悪い?
当職のツイートは早くも大反響。当職のことを気の毒に思ってくれる同情が後を絶たない。ニヤケが止まらない。原田もあまりの反響に大爆笑している。
今日は実に素晴らしい一日だ。
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
この作品について
尊師が手書きの脅迫文(魚拓)をツイートしてからわずか2時間後に投稿された作品である。
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- 初出 - デリュケー 初心者投稿スレッド☆1>>930-931(魚拓)