恒心文庫:無人島にて

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本文

「もし無人島に連れて行くなら誰ナリ?」
兄さんのそんな台詞を思い出す。
ニヤニヤしながら頬杖をつき、体を左右に小刻みに揺らす兄さん。大方ジュニアアイドルとの離島ライフでも想像してるんだろう。
そうだなぁ.....ぼくは兄さんかな。一緒にいて面白いし。
なんてこと言えるはずもない。ぼくはタンクトップ一枚で謎の舞を踊る兄を何を考えるでもなく見つめていたっけ。



「アツシ」

波の音が聞こえる

「厚史」

そんな顔しないで
兄さんは正しいことをした

「当職がジャンケンで負ければよかったナリ.....」

せめてぼくのぶんまで

「ごめんナリ」

ぼくが最期に聴いたのは、生まれて初めて聞いた兄の謝罪と、自分の羽根の毟られる音だけだった。

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挿絵

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