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恒心文庫:当職のアイス嗜好

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

まだ六月に入ったばかりだというのに東京23区では気温が30度近くを記録する真夏日が続いていた。
もちろん当職の事務所も例外ではない。例年よりかなり早めにクーラーを起動させたが、骨董品クラスのオンボロからは気休め程度の風がへろへろとそよぐだけであった。
寝ぼけて季節を間違えた太陽はこれでもかとばかりに太陽光線を惜しみなく事務所周りのアスファルトに注ぎ込む。地面は焼けた鉄板へと変わり、暑さから解放されるエデンである事務所はそれによって巨大な蒸し器へと変貌する。為す術もなく当職は蒸し焼きにされる豚となってしまうのだ。
この事務所へ来たばかりだというのにきっちりと着込んだワイシャツの下はもうぐっしょりと汗をかいている。ネクタイを少し曲げて第一ボタンをだらしなく外しながら冷凍庫へと足を運ぶ。そう、当職に安息を与えてくれるアイスクリームをたっぷり詰め込んだ特大サイズの冷凍庫だ。

誤解している方も多いだろうが、当職はいつも棒付きアイスばかりをしゃぶっているわけでは無い。この冷凍庫には古今東西の美味しいアイスが分け隔てなく保管されている。
重い扉をがぱっと開くと冷たい冷気がふわりと当職の肌をなでる。スーパーカップやハーゲンダッツのようなカップアイス、当職の大便の快便ぶりを代弁しているかのようなチョコレートソフトクリーム、よりどりみどりのアイスクリーム達は「早く僕たちを食べて!」と当職へ呼びかける。さんざん悩んだ挙句、今日はアイスの実を食す事にした。

このアイスはとても美味しい。当職のお気に入りだ。いつも決まって二つずつ玉を口へ放り込む。
まずは口に含んだ後、熱い舌で玉を舐め回す。二つの玉はカラコロカラコロと歯に当たって音を立てる。このサイズの二つの玉…アイスの実を食べるといつも若くして死んだ弟を思い出す。数奇な事にその時当職は桃味のアイスの実を食べていた。白い桃の色が弟の色白な肌を思い起こさせる為に当職は当時を思い出して興奮していたのだ。あの時と同じように当職は二つの玉を舌と頬肉を巧みに操り愛撫した。
兄さんやめて。上気した表情で叫ぶ弟を思い出してますます愛撫は激しくなる。
しかし当職の熱い愛撫とは裏腹に玉はどんどん縮んでいく。
当職はまるでおもちゃを取り上げられた子供のように躰の芯がみるみる内に冷めて行くのをまるで他人事のように感じていた。
当職の愛撫を受けて弟はどうしたか。ああ、ああ、あああ。思い出したくもない記憶が蘇る。
軽蔑した表情の弟が当職をなじる。
気持ちが悪い。フェラもろくに出来ない無能。くたばれホモ野郎。
当職は20年前を見ている。

途端に当時の怒りがまたふつふつと湧き上がって来た。
「そっちがその気ならこうナリよ!!」
我を忘れた当職は誰もいない事務所の真ん中で叫ぶとまた袋の中から玉を二つ取り出す。指の間の二つのアイスに向かって
「当職は弁護士ナリよ!思い知らせてやるナリ!!」とキツく怒鳴りつけるがはやいかパクリと口に押し込み、奥歯でキツく噛み締めた。
ギュワギュワギュワギュワ。玉袋を噛み潰した時の弟の悲鳴に似た音を立ててアイスの実は潰れたが、怒りは収まるわけもない。冷凍庫中のアイスの実の袋を封を切って「不出来な弟には罰を与えるナリ!」とそれぞれの袋の中に口を突っ込んで叫ぶ。くぐもった怒鳴り声は計10回事務所にこだました。
そして袋の中身を当職の口へまとめてぶち込む。口のはたから零れる物は無視してすべてを嬲りしゃぶり噛み潰す。
当職のイチモツはすでに張り裂けそうになるまで屹立していた。何も噛み潰す事に快感を覚えていたわけではない。口の中の大量のアイスの実は弟の玉袋だ。当職は沢山の弟に陵辱されているのだ。冷たいアイスで頭がキンキンと痛み、竿ははちきれる寸前にまで達した。

あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!

当職は脱糞すると同時に射精していた。スーツは当職のカルーアミルクとチョコレート・プリンでぐちゃぐちゃになってしまった。しかしそんなことで当職の怒りは収まらない。冷凍庫の奥から特大アイスを引き摺り出す。
原寸大の弟型アイスだ。会計士である父が弟から取った精密な型を使って固めている。ケツ穴を広げて四つん這いになる姿は父がデザインしたのだ。レッドグレープフルーツを使っているのでアイスは血のように真っ赤だ。
当職はいきり立ったイチモツをそのアイスのケツ穴にねじ込んだ。
熱でケツ穴のヒダヒダが溶けてずるずるして気持ちがいい。
当職が夢中で腰を振っているといきなりケツ穴に異物がねじ込まれた。
振り向くと父の顔が。

「辛い時は家族に相談しなさい」アヒル口から紡ぎ出される優しい言葉に当職の身は震えた。
弟、当職、そして父の美しい三連結が虎ノ門に生まれた。
そして程なくして当職と父は果てた。弟のケツ穴からは当職の黄ばんだ練乳と溶けたジュースがこぼれ落ちる。それをすかさず父が直接啜りあげる。
その姿を見て当職は「生きていてよかった」と痛切に感じた。

こうして何の変哲もない一日は終わりを告げたのだった。

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