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恒心文庫:唐澤貴洋誕生の秘密

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

エピローグ(1)
唐澤貴洋(53)が、死んだ。
この知らせが世に知れ渡った時、メインケー、なんJ、Wiki、さらには防弾サブまでもが鯖落ちし、したらばケーやネヲチ板などの避難所も90年代に逆戻りしたかのような重さとなった。事務所や恒憤を始めとするけんまスポットは人混みに溢れ、長谷川家の庭には大量の特定外来生物がばら撒かれた。
しかしそんなカラ騒ぎも2週間と経たずに終わりを告げた。
唐澤貴洋はもういない。いくら煽っても、恒心をすることはなく、玉音放送をすることもなく、夜泣きをすることもない。
外伝主人公もいるにはいるが、ほとんどが恒心をしない上よく恒心をしている森園と高橋はどちらも今年で65歳。いつ死んでもおかしくない年齢であり、恒心教の先行きが暗いのは火を見るよりも明らかであった。
しかし、時間は無能が一人死んだところで気にもせず、無情に、冷酷に進んでいく。
そして人間には想像することも難しい年月が経った頃――

第五章
尊師はふと目を覚ました。
ここはどこであろうか。自分が死んだことは覚えているのだが、なぜこんな場所にいるのか。
辺りはただひたすらに暗かった。何も見えない、何も聞こえない、あるのは重力と足の感覚のみ。
尊師は疑問に思った。なぜ重力がある?なぜ足がある?自分は死んだはずなのに。
しかし尊師はあることに気づいてその疑問を捨てた。光が見えたのだ。
その光は後ろから自分を照らしており、振り向くとまた自分の後ろに回り込む。先に進むと遠ざかり、後ずさりすれば近くなる。
不思議な光もあるものだと思いながら、尊師は後ずさりをしていった。

第四章
どれくらい戻っただろうか。この不思議な空間では距離感というものが全く掴めない。100mしか戻っていないようにも、50kmも戻ったようにも感じられる。
ふと横を見てみると、魂が彷徨っていた。それを見た尊師は思い出した。自身に、すべての魂に、下された審判を。究極の罰を。
それは尊師が死んでからおよそ100兆年経った頃の話だった。生きていたすべての魂が宇宙の真ん中で目を覚ました。最初こそ皆が復活を喜んでいた。しかし体感で2週間がたつ頃にはその喜びも全て絶望へと変わっていた。
100兆年後の宇宙。そこは全ての恒星が活動を停止した暗黒の空間。その暗い世界で、五感を楽しませるものが何一つない宇宙で、永遠に意識を保ち続ける。これこそまさしく地獄であり、罪深き魂に神が下した究極の罰であった。
そして尊師は同時に、この審判の日から約5000年経った頃、半狂乱となりつつ動き続けていると、突然何かに吸い込まれたことを思い出した。それはおそらくブラックホールであったのだろう。魂に重力がかかることはないため、気づかなかったのだ。偶然ブラックホールの核に当たる確率は限りなく低い。実に不運だ、と尊師は思った。

第三章
尊師はさらに戻っていった。50億年後、横を見ると、赤く燃え盛る巨星に冥王星の外へと旅立ったはずの人工衛星が飲み込まれている。この太陽系に生命体がいた最後の証拠が実にあっけなく燃え尽きたのだと本能が悟った。
さらに戻る。10億年後、地球は温暖化と太陽の肥大化により灼熱地獄、第二の金星と化していた。人類はハビタブルゾーンに入った火星に移住したようだが、そこが第三の金星となるのも時間の問題だろう。

第二章
100年後。尊師が知るよりもずっと進歩した技術の中に、ぽっかりと穴が開いていることに気が付いた。まるで拠り所のない不安のようなものが、SNSや掲示板を利用するもの達の間で広まっていたのだ。
10年後。弟の洋一が死んでいる。大往生だったらしく、沢山の人々に看取られて笑顔で死んでいた。

プロローグ
尊師はさらに戻っていった。死んだ瞬間を通り過ぎ、1年前、10年前、誕生の瞬間、そして受精の瞬間から少し戻った時、洋と厚子による熱いまぐわいの最中で、足が止まった。
尊師はこの時あることを、あるいは全てを悟った。自身の授精を24時間遅らせることで亜空間から質量を転送し、摂取した分量を超えた脱糞ができる能力を持った自分が誕生すること。その能力によって増えた質量がバタフライエフェクトを起こし、100兆年後の審判の日にビッグクランチが発生して新たな宇宙と新たな生命体が生まれる環境ができること。つまり、宇宙に生きとし生けるもの達の魂を救うか見殺しにするかは、尊師の手にかかっているということ。
しかしそれは同時に2つの副作用をはらんでいた。1つは、脱糞しかできない無能な自分が誕生することにより、本来なら幸せな日々を送るはずであった洋一をはじめとする何十人もの人生を壊してしまうこと。
もう1つは、後ずさりすることで過去に行ける力、時間を空間のように行き来できる力の代わりに空間を移動する力を失った尊師は、ビッグクランチが起きる刹那、宇宙の空間体積が0になる瞬間に魂ごと消滅してしまうため、彼自身は新たな宇宙へとは行けないこと。
全生命を見殺しにするか、自分と数十人を不幸に閉じ込め殺すか。尊師はすでに答えを出していた。

第一章
かくして1978年1月4日、無能、クソ漏らし、詩人気取り弁護士である「唐澤貴洋」が誕生した。彼は皆のために魂を投げうった尊師を想ってか、それとも弟を始めとする、自分の無能が原因で不幸になる皆を想ってか、延々と泣き続けたという。

エピローグ(2)
唐澤貴洋が死んでから1年が経過した頃。高橋スレが事実上のメイン雑談スレと化している中で、旧雑談スレにこのような書き込みがあった。
「尊師が無能だったのは有能だと恒心教徒が困るからじゃね?」
下手すれば包皮の煽りとも取られかねないこの書き込みはすぐに埋もれていった。この書き込みが正しかったことを恒心教徒達が知るのは、まだ100兆年も先の事である。

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