→平成29年(ネ)第3762号
>尊師民 |
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'''1.前提事実に証拠(甲14のほか後掲のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。''' | '''1.前提事実に証拠(甲14のほか後掲のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。''' | ||
'''(1)'''大橋と第1 審被告の確執(甲12、13、17の1、2) | '''(1)'''大橋と第1 審被告の確執(甲12、13、17の1、2) | ||
ア 大橋は、平成17年4月から平成24年3月まで順心広尾学園の理事長を務めており、平成25年4月からは学校法人※※※※([[三田国際学園]]の前身・戸坂学園)の学園長の職にある。また、学習塾を運営する俊英館の設立者でもある。大橋は、関係者の間では別名「紀貫之」で知られていた。 | |||
イ SMDMSKは、俊英館の総務部長であったところ、大橋は、順心広尾学園の理事長当時、[[島田真樹|SMDMSK]]を順心広尾学園の事務局長に抜てきした。ところが、その後、大橋とSMDMSKの間に深刻な確執が生じ(大橋の認識では、 SMDMSKが大橋の理事長退任を画策したというもの)、SMDMSKは平成24年1月をもって順心広尾学園を退職し、俊英館に復帰することとなった。SMDMSKは、その後も、順心広尾学園を退職させられた経緯に強い不満を抱き、順心広尾学園の理事の自宅を訪問して大橋を糾弾する話をして回ったり、退職から1年以上経った平成25年3月になっても、大橋に関して訴えたいことがあるとして順心広尾学園の理事会への出席を求めるなど、大橋に対する強い敵意を継続させていた。 | |||
'''(2)'''本件匿名手紙の送付及び高橋ブログの発信(甲2の1~26、甲11) | '''(2)'''本件匿名手紙の送付及び高橋ブログの発信(甲2の1~26、甲11) | ||
ア [[高橋嘉之|高橋嘉之]]は、インターネットを利用した※※※※※※※※※※等を業とする株式会社※※※※※※※※※※([[インターコンシェルジュ]])の代表取締役である。 | |||
イ 高橋嘉之は、平成24年頃から、インターネット上の掲示板等で「にかい」のハンドルネームを使用する投稿者らから、自身及び家族についての執拗な誹謗中傷を受けていた。 | |||
ウ このような中の平成26年2月、高橋嘉之の自宅に1通目の本件匿名手紙が郵送されてきた。 その概要は、自分は事情があって匿名にしているが高橋嘉之の敵対者ではなく、高橋ブログの一読者である、自分の知人との雑談中に高橋ブログの話題が出て、その知人は「にかい」の正体を知っていると言っていた、そこで高橋ブログを通じてこの知人に犯人の情報を求めてみてはどうかというものであった。高橋嘉之は、これを受けて、高橋ブログ上で上記助言に沿った対応をした。 | |||
エ その後半年以上にわたり、平成26年9月まで、ほぼ毎週のように本件匿名手紙は高橋嘉之の自宅に郵送されてきた。その内容は、当初は、「にかい」を特定するヒント(教育関係との接点等)を小出しにし、上記知人からの伝聞という体裁で、「にかい」は「紀貫之」であると推理しているというにとどまっていたが、平成26年7月の手紙(甲2の20)で「ずばり、紀貫之氏は、教育界のイニシャルO.K氏である」と伝えた。 本件匿名手紙は、このように「にかい」が「紀貫之ことO.K氏」であると伝えるとともに、 | |||
「にかい」の正体が分かってきたというメッセー ジを高橋ブログに掲示して「にかい」を動揺させるのが効果的であると教示したり(甲2の13) 、「相手を特定し過ぎてしまうと、逆に相手に動く余地を失わせてしまう。・・・その点で前回のブログは踏み込み過ぎたきらいがある」と高橋ブログの表現の軌道修正を求める(甲2の22)など、 | 「にかい」の正体が分かってきたというメッセー ジを高橋ブログに掲示して「にかい」を動揺させるのが効果的であると教示したり(甲2の13) 、「相手を特定し過ぎてしまうと、逆に相手に動く余地を失わせてしまう。・・・その点で前回のブログは踏み込み過ぎたきらいがある」と高橋ブログの表現の軌道修正を求める(甲2の22)など、 | ||
高橋ブログを活用して「紀貫之ことO.K氏」を追い詰める方法の具体的なアドバイスを行う内容であった。 | 高橋ブログを活用して「紀貫之ことO.K氏」を追い詰める方法の具体的なアドバイスを行う内容であった。 | ||
'''(3)?''' | '''(3)?''' | ||
イ 上記謝罪及び示談を巡るやり取りの際、高橋嘉之は、大橋に対し、差出人不明の本件匿名手紙が郵送されてきて、それを真に受けて高橋ブログの記載をしてしまったという事情を説明し、本件匿名手紙を大橋に開示した。大橋は、本件匿名手紙の文体や書式などから、その送り主はかねて大橋との間に確執のあったSMDMSKであろうと推定した。 | |||
また、大橋は、これに先立つ平成26年7月8日にSMDMSKから趣旨不明の手紙(甲3添付の本件書面)を受け取ったことがあった。その内容は、 | また、大橋は、これに先立つ平成26年7月8日にSMDMSKから趣旨不明の手紙(甲3添付の本件書面)を受け取ったことがあった。その内容は、 | ||
「今、自分はエデュケーショナルバンク事業部なる部署におりまして、ここが担当する業務の一つに、教育法人様への様々な支援がございます。 | 「今、自分はエデュケーショナルバンク事業部なる部署におりまして、ここが担当する業務の一つに、教育法人様への様々な支援がございます。 | ||
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'''(4)''' 高橋嘉之とSMDMSKの本件面会(甲6の1、 2、 甲7、8) | '''(4)''' 高橋嘉之とSMDMSKの本件面会(甲6の1、 2、 甲7、8) | ||
ア 平成28年1月20日頃、突然、SMDMSKの実名による手紙(甲6の1)が高橋嘉之に郵送されてきた。その内容は、 自分が退職した法人の情報を集めるために関連のインターネットを見ていて高橋ブログを知るようになった、是非直接会って話をしたい、「逃げも隠れも」しないつもりであるというものであった。 | |||
イ 上記手紙は、本件匿名手紙に直接言及するものではなく、高橋嘉之としても本件、匿名手紙との関係については確信が持てなかったが、「にかい」や本件匿名手紙の送り主の特定に役立つ可能性があると考え、面会の申入れに応じることとした。 | |||
そして、虚偽の説明で言い逃れさせることがないよう周到に準備を進め、質問事項に対し「YES」か「NO」で回答させる体裁の本件ヒヤリングシート(甲7)及び面会でSMDMSKの話したことに虚偽等が発覚した場合には違約金として※※※※万円を支払う旨の本件宣誓書(甲8)の文面を事前に準備して面会に臨んだ。 | そして、虚偽の説明で言い逃れさせることがないよう周到に準備を進め、質問事項に対し「YES」か「NO」で回答させる体裁の本件ヒヤリングシート(甲7)及び面会でSMDMSKの話したことに虚偽等が発覚した場合には違約金として※※※※万円を支払う旨の本件宣誓書(甲8)の文面を事前に準備して面会に臨んだ。 | ||
ウ そうして、平成28年2月5日、高橋嘉之とSMDMSKの本件面会が実現した。SMDMSKは、示された本件宣誓書の内容を了解し、これに署名押印した。そして、本件ヒヤリングシートの「あなたは『にかい』ですか?」と尋ねる質問、高橋嘉之を椰楡する目的で投稿、スレッド建てをしたことがあるかを尋ねる質問等には「NO」と回答する一方、本件匿名手紙に関わったことは自ら認め、自分1人でしたと回答した。 | |||
エ 高橋嘉之は、SMDMSKが本件匿名手紙の送り主であることを素直に認めるとは予想していなかったが、上記の回答を聞き、本件書面が平成26年7月頃大橋に送られてきたことがあったという大橋の話(上記(3) イ)を思い出した。 | |||
そこで、高橋嘉之は、この点を確認するため、平成26年6月~7月にO.K氏に手紙を書いたことがあるかどうかをSMDMSKに質問し、書いていないという回答を得て、その旨を本件ヒャリングシートに記入してもらった。その際、高橋嘉之は、この質問に対する回答も本件誓約書の対象となる旨の注意喚起をした。 | そこで、高橋嘉之は、この点を確認するため、平成26年6月~7月にO.K氏に手紙を書いたことがあるかどうかをSMDMSKに質問し、書いていないという回答を得て、その旨を本件ヒャリングシートに記入してもらった。その際、高橋嘉之は、この質問に対する回答も本件誓約書の対象となる旨の注意喚起をした。 | ||