「若手会員が知っておくべき弁護士業務妨害対策」の版間の差分

編集の要約なし
>唐揚弁当
編集の要約なし
編集の要約なし
33行目: 33行目:
ちなみに記事での尊師と樋口弁護士とのやり取りの一部が受け、語録化となった。(詳しくは「[[はい。]]」を参照)
ちなみに記事での尊師と樋口弁護士とのやり取りの一部が受け、語録化となった。(詳しくは「[[はい。]]」を参照)


== 内容 ==
== 箇条書き版 ==
 
<pre style="white-space: pre-wrap;
white-space: -moz-pre-wrap;
white-space: -pre-wrap;
white-space: -o-pre-wrap;
word-wrap: break-word;">
 
 
メンバー紹介(名前だけ)
 
安酸 庸祐(やすかた ようすけ)
森川 紀代(もりかわ きよ)
池田 和司(いけだ こうじ)
黒川 達雄(くろかわ たつお)
樋口 收 (ひぐち おさむ)
唐澤 貴洋(からさわ たかひろ)
松原 健一(まつばら けんいち)
大澤 一雄(おおさわ かずお)
藥師寺孝亮(やくしじ こうすけ)
出澤 秀二(いでさわ しゅうじ)
外井 浩志(とい ひろし)
 
座談会で一貫したテーマ
「若手会員が知っておくべき弁護士業務妨害対策」
 
全体のプロセス
 
・初めに(司会挨拶)
・弁護士業務妨害対策委員会の立ち上げ
・一般に弁護士が依頼者や相手方に接するときの心構え
・アンケート調査等にみる業務妨害の最近の傾向
・依頼者からの業務妨害について
・相手方からの業務妨害について
・インターネットを通じた業務妨害
・電話による業務妨害
・事務所訪問型面談強要
・終わりに(質問・相談・宣伝)
 
「初めに(司会挨拶)」
安酸庸祐(やすかた)
・一貫したテーマの確認、この座談会の意味を説明(テーマ:若手会員が知っておくべき弁護士業務妨害対策)
・弁護士が増えたことを説明(平成元年1万4,000人→現在=平成27年3万6,000人)
・発言者には、なるべく具体的な説明と根拠を、やんわり要求
・全メンバー紹介(インターネットによる業務妨害に大変造詣の深い63期の唐澤貴洋さん)
・「弁護士業務妨害対策委員会」が出来たのは、オウム真理教による、坂本弁護士一家殺害がきっかけだと説明(後に池田和司から若干の訂正)
 
「弁護士業務妨害対策委員会の立ち上げ」
池田和司(いけだ)
・池田の自分語り(表札に「弁護士池田和司」・自分が当委員会の初代委員長代行)
・「弁護士業務妨害対策委員会」の発足は、一力一家暴力団が、三井弁護士を刺した事件も影響していると、安酸をやんわり訂正・補足
・一弁(東京第一弁護士会)の会長夫人が殺害されたことを説明(平成9年)
・当時、一弁会長夫人殺害事件を担当したのは、安酸を含め全3名の弁護士
・民暴(民事介入暴力対策委員会)と、警視庁と、一弁の連携が大切と、強調
安酸庸祐(やすかた)
・一弁会長夫人殺害事件について、警察は加害者の異常な行動を把握していたが、伝わっていなかったと説明
・坂本堤弁護士が、警察と緊張関係(対立関係)にあり、警察に保護を求めにくかったことを指摘
・強行犯に対して、警察と協力関係にある必要性を指摘
・警視庁と意見交換会を行ったことの成果を報告
・弁護士が増えたことにより、たとえ危険でも、仕事を選べない若手弁護士に対し、注意喚起のため開かれた座談会であることを、最後に確認
 
「一般に弁護士が依頼者や相手方に接するときの心構え」
樋口收(ひぐち)
・数が増加して、弁護士の敷居が低くなり、尊敬されることも少なくなった
・しかし、それは、日弁連が「市民に開かれた弁護士」路線を目指したことが、間違った結果ではない
・最近は暴対法が存在するが、それ以前は今より危険な目に遭い、脅かされることも多くある
・彼ら(反社会勢力)は商売で行動している
・最近は商売ではなく、個人的な楽しみや、病気のようなもので相手を苦しめる人も増えている
安酸庸祐(やすかた)
・パーソナリティー障碍(人格障碍)を持った依頼者・相手方にはどう対処すればいいか、黒川に質問
黒川達雄(くろかわ)
・インターネットにより、情報が広く共有され、依頼者に命令されることが多くなる
・その流れで、パーソナリティ障碍を持つ相手方・依頼者も多くなる
・黒川達雄の感じる現代人の総評を説明
・弁護士が業務妨害被害に遭う危険性を報告
 
「アンケート調査等にみる業務妨害の最近の傾向」
安酸庸祐(やすかた)
・日弁連が行ったアンケート調査の説明を、森川に要求
森川紀代(もりかわ)
・アンケートで明らかになった傾向は以下の3つ
・第一に「相手方による妨害から依頼者による妨害へ」という傾向(相手方:依頼人と争っている個人、またその団体のこと)
・第二に「暴力的な妨害から非暴力的な妨害」という傾向(非暴力的:インターネットによる名誉棄損のこと)
・第三に「特殊な人物から一般人に」という傾向(特殊な人物:反社会的勢力のこと)
・インターネットによる妨害が増えている
・今までは、自分の心の中で抱えるしかなかったことを、インターネット上に投稿するケースがある
・投稿した内容が、同調されることで、投稿内容が更に過剰になり、大きくなるというケースが、かなり出てきている
安酸庸祐(やすかた)
・インターネットによる業務妨害について、唐澤に一言要求
唐澤貴洋(からさわ)
・インターネット上で、自分も業務妨害を受け、今も続いている
・インターネット上での法律問題が発生している
・私は「この弁護士は自分たちの表現の自由を害している」ということから、通常であれば会わないようなちょっとおかしい人から、事実無根の記事を多数投稿される
・私は、他の弁護士会の先生から(インターネット問題についての)相談を受けることがある
・これは弁護士全般の問題になりつつある
安酸庸祐(やすかた)
・インターネット問題は、後に議題の一つとして用意されているので、ここでは割愛
・インターネット問題を、担当する弁護士も、被害を受けることがある、という確認
・インターネットに関しては、更に問題が広がっている
・弁護士の果たすべき役割が抑えつけられると、司法制度や民主主義に反対するのではないか、という指摘
 
「依頼者からの業務妨害について」
安酸庸祐(やすかた)
・依頼者との打ち合わせの仕方、接し方、受任の仕方について池田和司に質問(受任:この座談会では、弁護士が依頼を引き受ける際の契約)
池田和司(いけだ)
・依頼者からの妨害は、事件処理の過程、途中において、信頼関係が損なわれることにより、発生することが多い
・受任して、しばらく時間がたった後で、妨害をされると、(弁護士側にとって)被害が大きい
・私は、1年2年経過した後で、些細なことをきっかけに、「先生は相手の弁護士と意志疎通を図りながら、自分(依頼者)の利益を損ねるような、訴訟進行をしているんじゃないか」と言われたことがある
・依頼者が、妨害者に変身することがある
・常日頃から、丸腰で対応するのではなく、自分の身を守るための、証拠を残しておくことが大事
・相手が、何を言ったかという、メモを残すことも必要
安酸庸祐(やすかた)
・こういう事件は、弁護士側のミスから、依頼者にクレームを受け、問題に発展するケースが多い
・「電話を何時にください」と言われて、時間を守らなかったり、電話が出来なかったりする場合や、「事務所名で送らないよう頼まれた書類」を事務所名で出す場合もあるが、これらは些細なこと
・やはり、契約書を作ったり、職務規定に書いてある事柄を、きちんと行うことが、業務妨害から自分を守る方法の一つ
・上記のようなミスの対応策を、黒川に質問
黒川達雄(くろかわ)
・業務妨害トラブルの発端は「お金問題」と「弁護士の事件のやり方についての不満」という2つ
・「弁護士の事件のやり方についての不満」への対応は、出来ない事には「出来ない」と言うことが大切
・断定的な言い回しを避ける必要があり、「依頼者と、事件を一緒に考えて、やっていく」というスタイルが信頼関係の維持に欠かせない
安酸庸祐(やすかた)
・現代では、情報共有が進んだために、弁護士のミスが、明らかになりやすくなっている
樋口收(ひぐち)
・弁護士の、懲戒処分を、評釈するサイトが存在する
・「2ちゃんねる」では、弁護士に対しての、誹謗中傷も書かれている
・弁護士がミスをした場合には、デパートのクレーム対処マニュアルに学んだほうがいい状況でもある
出澤秀二(いでさわ)
・普段から、依頼者に、誠実に対応することで、謝れば済むようなケースも多い
・普段の対応が一番重要であり、基礎にあるのではないか
・(弁護士が)謝らないから、怒るという人も多い
・誠実に対応してくれた弁護士だからと、許してもらえるような弁護活動が重要
樋口收(ひぐち)
・早めに対応しないと、日頃の対応をきちんとしていても、トラブルになることもある
・私は、学歴を詐称していると言われたことがある
・「(今までに)学歴の話はしていないと思うんですけど」と答えても「嘘の学歴を言った」と言われ、当時の職場の上司に「嘘をついたことを謝らない」と手紙を送っている
・信頼関係が、保てないことを理由に、(職務を)辞任することも検討するべき
森川紀代(もりかわ)
・依頼者が、弁護士のミスだと誤解するケースもある
・出来ない事は「出来ない」と言うことが妨害を防ぐ手段の一つ
・私は、ストーカー被害を受けている女性から「家族にバレないようにストーカーをやめさせてほしい」という依頼が来たが、不倫絡みなので断ったことがある
・こちらがどれだけ気を遣っても、相手方や警察、その他の問い合わせは防げない
・仕事は取れなくなるが、安請け合いすればトラブルに発展するかもしれないので、結果的に良かったと思う
池田和司(いけだ)
・私は、依頼者に疑問を感じた場合は、1人分の費用のまま、共同受任をしている
・利点としては、(業務の)助けになり、証人にもなるので、若い弁護士にもぜひ勧めたい
樋口收(ひぐち)
・ネットワーク作りは若い方の方が柔軟であり、「今困っているんだけど」などと言えば、(共同受任にも)応じてくれるのではないか
・唐澤貴洋に「それはできるよね。」と質問
唐澤貴洋(からさわ)
・はい。
樋口收(ひぐち)
・依頼人の中には、激しくすることが、味方の証だと思っている方が、昔から存在する
・裁判所で、相手弁護士と声の大きさを比べたり、質問回数だったり、弁護士の数を(相手より)増やしてくれといった要求だったり、相手の職場に乗り込んでほしいと言われるケースがある
・そういった、方針の違いを理由に、辞任を検討することもあるかもしれない
・依頼人に、裁判プロセスを、後から説明することも、有力であり有用だと思う
安酸庸祐(やすかた)
・私は、長男に社長を譲った父親が、社長を引きずり下ろすため「株主代表訴訟を起こしてくれ」という依頼が来た
・一度その方は、大事務所に「うちは商法は苦手だからお宅の仕事は受けられない」と言われ、断られていたらしく、世の中には上手い断り方があるのだなと思う
・危ないと思ったら、踏みとどまり、早いうちに断ることも重要な選択、決断
・依頼者がパーソナリティー障碍者の場合、粘り強く離してくれない、時には30件も連絡が入っている時もあるので、この対応をどうするか、黒川に質問
黒川達雄(くろかわ)
・依頼者からの法律問題を、それ以外の問題と、区別・整理して、法律問題に限定・集中する必要がある
・権利・義務を見直し、解決できないことには「解決できない」という
・精神科医の弘末教授は「待てば海路の日和あり」と言う(結論を急がないということですか、と樋口が質問し、黒川が肯定)
・人格障碍者は、人と関わり合いを持ちたいという願望と共に、被害意識・被害妄想を持つ
・被害意識と被害妄想が、心の中で逆転すると、加害者になり、非常に攻撃的になる
・そのような場合、常に攻撃性か受動性を持ち、表裏一体である
・依頼者が、そういった、何とも言えない葛藤を抱えている場合、敵意を持たれてしまうことがある
・その場合は、強く突き放すのではなく、やんわりと断るべき
安酸庸祐(やすかた)
・依頼者の中には、弁護士の弱みを握って言いなりにしよう、という人もいる
・私も、そういう相談を何件か受けたことがあり、依頼者との付き合い方、距離感は大切だと感じている
 
「相手方からの業務妨害について」
安酸庸祐(やすかた)
・DVの絡んだ離婚事件・相続事件に代表されるように、感情の対立が強い事件はどんなことを注意するべきか、森川に質問(DV:ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)
森川紀代(もりかわ)
・DV加害者の場合だと、暴力による妨害が、圧倒的に多く、(日弁連の)アンケート結果から、それは裏付けられている
・DV事件は危険であり、複数受任が基本である、という程度の意識が必要
・DVを行う男性は、女性を低く見ているので、女性弁護士は男性と一緒に組むことで、精神的にも物理的にも、加害者の歯止めとなり、裁判や調停の場にも同席してもらうべきである
安酸庸祐(やすかた)
・法テラスでは、複数受任における費用面の後押しがあるか、森川に質問
森川紀代(もりかわ)
・法テラスでは、複数受任を認めていないが、費用自体を少し増額してくれるため、そのお金で、復代理という形でお願いすることは可能
・DV事件で、かなり危険度が高いこと、複数受任の必要があるという理由から増額を申請すれば、検討される
・法テラスでは、対応が十分ではないが、申請者が多くなれば次第に変わるのではないか
安酸庸祐(やすかた)
・一弁と千葉県弁護士会が意見交換をした際に、千葉県弁護士会では、DV事件に対しても民暴基金を使ったサポートをしていることが、注目されている
・当会でも、そういった仕組みが出来ていけば、女性会員にも心強いのではないか、課題の一つである
 
「インターネットを通じた業務妨害」
安酸庸祐(やすかた)
・インターネットによる弁護士業務妨害が、どういう形で行われるのか、唐澤に質問
唐澤貴洋(からさわ)
・インターネットを使った、最も単純な妨害は、(インターネット上で)弁護士名と弁護士がいかに悪い奴か、書くこと
・「(この弁護士は)無能、犯罪者、性犯罪者、依頼者を殴った」という、事実無根の文章を作り、ネット掲示板や、弁護士口コミサイトに、投稿する
・これらは、検索エンジンを使い、弁護士を探したり、評判を調べるうえで、関連したキーワードを表示してくれるサービスに、着眼した妨害である
・私の名前を検索すると、弁護士として、致命的なワード(「無能」「詐欺」など)が、一緒に出てくる
・これは、単純な弁護士への妨害行為から、一歩進んだもの
・私の場合は、掲示板に、不穏な内容を多数投稿するための、掲示板が、作られている
・プライバシー被害に関する、インターネット攻撃も存在し、これは「炎上」と言われている
・私は「炎上」を、「特定人に対して、不特定多数の者から、反復継続的に、誹謗中傷がなされる状況」と定義している
・インターネットで、手に入る情報以外も含めて収集し、炎上対象者の情報を、憶測で書いては、発信している
・私は、紳士名鑑に載った親族の情報から、一族関係図を作られ、その中には、誤った情報も含まれているが、プライバシーを侵害されている
・今までにも、私の所には、無言電話や、内容不明の届け物が、送られている
安酸庸祐(やすかた)
・(インターネットを使用した)妨害者を、特定することが出来るか、唐澤に質問
唐澤貴洋(からさわ)
・基本的には(特定は)可能
・しかし、対象の数が多いと、弁護士業務に支障をきたす場合がある
・私も一回、やろう(彼ら全てを特定しよう)と思いましたが、事務所運営が厳しくなると考え、半ば諦めている
・それに、遠隔操作事件で有名な、片山祐輔容疑者が使用した手法だと、海外で匿名性を担保する、Torサーバーを介するので、警察でも、これを特定するのは困難
・逮捕できるケースもあるが、技術の進歩の前では、イタチごっこである
出澤秀二(いでさわ)
・(唐澤貴洋が、被害に遭った)きっかけは何だったのか、唐澤に質問
唐澤貴洋(からさわ)
・「2ちゃんねる」というサイトで、誹謗中傷された高校生の事件を受任して、IPアドレスと投稿日時を請求したことから始まっている
・私がやった手法は「2ちゃんねる」では、どの弁護士もやっていることであったが、すぐに攻撃の対象になる
・(攻撃・妨害を受けた)弊害としては、検索した結果で、相談者が、私に依頼することを諦めるということ
・インターネット問題は、法律分野としては未開拓であり、手を付けられていなかったため、事務所を始めたときは、受任件数が順調に伸びていたということがある
・誹謗中傷されてから、著しく売上げが落ちて、今では普通になってきているが、影響としては、非常に大きい
安酸庸祐(やすかた)
・他の弁護士でも、インターネットで「弁護士××」と検索をかければ「詐欺」「悪徳」という言葉が、出てくることがあり、業務依頼が回避される一因になっているのではないか
・検索問題は、一弁だけの話でなく、東京三会にも、妨害を受けている会員が沢山いて、当委員会でも、対応を検討している
唐澤貴洋(からさわ)
・犯人を特定するのは大変だが、去年警察と協力して、1人の逮捕が実現する
・そこで出てきた人たち(誹謗中傷者)の属性には、女性がいない
・男性、10代後半~20代前半の、学生・無職の人が非常に多く、彼らは基本的に、余りリスクを背負っていない人達に対して、弁護士として何が出来るか
・また、彼らから受け取れる、損害賠償の費用は、少額
出澤秀二(いでさわ)
・自分が(妨害者の)ターゲットになったとして、参らない(精神的な)タフさを、どうやって維持しているのか、唐澤に質問
唐澤貴洋(からさわ)
・私は、鬱になり、夜も眠れなくなった(通常ならそうなる、と池田和司が肯定)
・仕事が出来なくなれば、雇っている事務員が、路頭に迷うことも、ストレスになった
・しかし、同期や知り合いの弁護士が応援してくれること、(この座談会の司会である)安酸庸祐にも非常に助けていただいて、徐々に持ち直すことになる
・この業務妨害対策委員会は、心理的な問題を、相談できる場ではないので、弁護士会の中に、(心理的問題が)相談できる場を、作って欲しい
外井浩志(とい)
・弁護士会は、メンタル相談を始めている
樋口收(ひぐち)
・弁護士会も、大企業のように、サイバーテロやサイバー攻撃に備えた、専門部会が、もう少し進化することを、期待している
森川紀代(もりかわ)
・インターネットの怖い所は、最初は嘘っぽい情報でも、繰り返されるうちに、事実のようになること
・繰り返され、最後に書かれたものを見た人は、それを信じてしまう、という怖さがある
樋口收(ひぐち)
・私の事務所の、女性アソシエイトが、当委員会で申し立てをして、救済してもらったことがある(アソシエイト:仲間)
・それは、彼女が、国選弁護人として活動していて、実刑の可能性のある事件を、執行猶予に落としたときの話だと説明
・被告人とメールでやり取りをしていたとき「これだけ優秀だったら人を殺しても大丈夫ですよね」という返信がきて、怖くなり、それから連絡を取らなくなる
・その後、彼女への誹謗中傷、脅迫が始まり、1日300件は「殺す」というメールが、送られ、ファックスも事務所にくるようになる
・被告人の両親に、事務所の弁護士数人で「警察に突き出せ」と連絡を取ったが、両親も、被告人から脅かされていて、何もできない
・「今から武器を持っていく」という殺害予告は、しばらく続くことになる
・そこで業務妨害対策委員会を通じて、警察にアクセスし、ようやく上手く解決するに至る
・「2ちゃんねる」については、削除要請や裁判所を通じた仮処分などで、書き込みを止めさせる方法もありますが、法的手続きが取れないのか、唐澤に確認
唐澤貴洋(からさわ)
・彼ら(妨害者)は、開示請求と犯人追求の方法論、私が出来る事を、ある程度知っているので、外国のサーバーで掲示板を作り、誹謗中傷をしている
樋口收(ひぐち)
・妨害者の多くは、日頃忙しくない、基本的にヒマな人であり、その中でも、人をイジメたり、誹謗中傷を生きがいにしている人たちである
安酸庸祐(やすかた)
・インターネットについては、対処方法を研究し、法整備を求める必要があるのではないかと総括
 
「事務所訪問型面談強要」
安酸庸祐(やすかた)
・事務所に妨害者がやってくるケースでは、どうすべきか
・私は、基本的には、妨害行為を起こしそうな人を、事務所に招き入れるべきではなく、弁護士会や、オープンスペース、ホテルのロビーで会う事が望ましいと考えている
・しかし、(事務所に)押しかけて来られた時に、どう備え、どう対処すればいいか、池田に質問
池田和司(いけだ)
・平成9年3月に、当委員会の議事録で、「事務所の前に、警視庁のカメラを設置して、防犯監視に当たってもらうための手続きをする」と書かれている
・そして、妨害者が来ることがある程度予想できていれば、警視庁と連携を取り合い、カメラのを設置することが、可能なようである
・そのため、(上記のことが出来ているのであれば)喫茶店やホテルで会う方が危険である、と当時から言われている
・しかし、危ない相手と会う場合、自分の事務所から出て、他の場所で会うか、事務所で会うか、意見が分かれるかもしれない
森川紀代(もりかわ)
・妨害行為は、妨害者が、誰も見ていないという心理になったときに主に行われるということなので、人の目があるところの方が、いいと考えている
・つまり、喫茶店より、事務所の方が、突発的な妨害行為に発展しやすいと思う
安酸庸祐(やすかた)
・日弁連のアンケートでは、事務所で業務妨害に遭うケースが、非常に多い
・事務所にいきなり入ってこられた場合、入り口が一つで、逃げられない構造になっていると思う
・しかし、最近の事務所は、常時施錠していて、モニター付きインターフォンで施錠しなければ、入れない
・新しい事務所は、(ほとんどが)そうしているのではないか
・監視カメラを設置したり、出入り口が2つの事務所を選んだり、(妨害者と)会う時も大きなテーブルを挟んだりすると効果的である
・テーブルなしのソファーだと、少し不安であり、金属バットや催涙ガスを設置することも考えている
森川紀代(もりかわ)
・金属バットは、相手に持たれると、危険ではないかと、安酸を補足
安酸庸祐(やすかた)
・刺股(さすまた)は、何人かで使用しないと機能せず、防犯ブザーが有効だという話もある
池田和司(いけだ)
・痴漢防止用のブザーもある
樋口收(ひぐち)
・ヒモが繋がっておらず、音だけ出るものもある
安酸庸祐(やすかた)
・弁護士が不在のとき、事務員が招き入れるかどうか、という意識も(事務所で)統一する必要があると思う
森川紀代(もりかわ)
・札幌のアンケートでは、事務員が怖い目に遭っているのに、弁護士が、それを真面目に対応しないケースも存在している
・酷いものになると、事務員が来訪者の情報を伝えたら、「何とかしておいて」と言われ、予定を変更して、事務所に帰らず、事務員に危険を押し付けていることが、実際にある
・事務員が被害を受けても、弁護士業務妨害であること、事務員は、弁護士が守る必要があることを、間違えてはいけない
樋口收(ひぐち)
・事務員には女性が多く、中には、大学の体育会の学生に、アルバイトをさせているところも、過去にある
安酸庸祐(やすかた)
・予知できる危険なら対処のしようもあるが、突発的な危険は難しい、事務員が警察に電話を出来ないような状況、例えば、自分が一人でいた場合などである
樋口收(ひぐち)
・なかなか帰ってくれないとか、(事務所の)中で騒いでいる場合、実際に110番通報して、警察が来ても、相手が民事不介入だと言えば、(警察は)帰ってしまうのではないか
安酸庸祐(やすかた)
・警視庁の組対三課(組織犯罪対策第三課)に相談に行ったりすると、あらかじめ所轄に連絡を入れてくれるので、すぐに駆けつけてもらえる
・近くを走っているパトカーに無線で連絡が行き、急行するという対応も場合によっては可能らしいが、「基本的にこれは暴力団の場合だ」と言われたことがある
・そういう(暴力団関係の)ときには、業務妨害対策委員会と警視庁とのパイプは、非常に大切である
出澤秀二(いでさわ)
・私は、あらかじめ所轄の警察に「こういう人が今日事務所に来る予定がある」と相談しに行き、警備会社の人に隣の部屋で待機してもらった経験がある
安酸庸祐(やすかた)
・私も、やくざが不法占有しているリース会社の事件では、警察にお願いして、臨場してもらった経験がある
・そういう意味では、警察とのパイプは非常に大切である
黒川達雄(くろかわ)
・弁護士は、依頼者から、依頼が来た時点で、もう手の付けられない事件を受けることがあり、そのとき、相手方から憎しみの対象とされる
・その場合、相手方から、依頼者への恨み・憎しみを、弁護士が引き継ぐ形になる
・紛争の本質、背景事情、依頼者の対応等について、詳しい説明を受けないと、弁護士が業務妨害を受け、生命身体を、危険にさらすことになる
・そのときは、自分ひとりだけで(依頼を)受けるのではなく、複数の弁護士と共同して受ける必要がある
池田和司
・(複数の弁護士が対応することで)ターゲット分散になる、と黒川に同調
黒川達雄(くろかわ)
・先程出た、インターネットの件(の妨害者)は、愉快犯であり、人が苦しむことで、喜んでいる
・個人的に、弁護士を憎んでいるのかもしれないが、(基本的に)愉快犯は、自分の世界の中で、万能感を持ち、妄想の中で喜んでいる面がある
・だから、その人たちと歩調を合わせることは、大変危険である
・自分も、(愉快犯と同じ精神世界に)入らず、視点をずらし、シフトしなければ、相手の思うつぼになる
・(相手と歩調を合わせると)彼らの楽しみを倍加し、彼らの異常な妄想が増長することもある
・我々は、あまりムキにならず、関心を持たないくらいの方が、(相手も)面白くなくなるのではないか
外井浩志(とい)
・やはり、相手を挑発しないことが、非常に重要であり、(相手と)同列に立って、議論をしないことが大切
・私の知っている弁護士は、依頼者と、本気で喧嘩をしてしまうので、非常に良くないと思っている
・挑発をしない上で、いくら説得しても無理だと思ったら、(依頼者の話を)黙ってジッとして聞く、というくらいの覚悟が必要ではないだろうか
・相手を挑発した結果、エスカレートしたり、同列になって議論したりすることは、弁護士としての、資質の問題があると感じている
 
「終わりに(質問・相談・宣伝)」
安酸庸祐(やすかた)
・最後に、何か言い残したことがあれば、発言をお願いする
樋口收(ひぐち)
・まとめると、若い方は、依頼の断り方一つとっても、人生経験が必要なので、ハンディがうまれている
松原健一(まつばら)
・依頼者の話を聞いているとき、どこまで聞いて、どのようにして切るのか、アドバイスをお願いする
森川紀代(もりかわ)
・誠実に対応していくなか、「ここから立ち入らない、立ち入らせない」という線を引くことが大切だと説明
松原健一(まつばら)
・しかし、早い段階で話を切り上げると、相手が怒りだすこともある
外井浩志(とい)
・やはりある程度、聞くことが大切
・私は1時間くらいは相談を聞いて、それをすぎると、事務員にノックしてもらって、切り上げている
藥師寺孝亮(やくしじ)
・若手会員が、実際に、業務妨害を受けた場合、どんなサポートを受けることが出来るか、安酸に質問
安酸庸祐(やすかた)
・当委員会(業務妨害対策委員会)では、業務妨害を受けている委員に対して、支援活動を行っている
・支援要請は、委員会宛に連絡をお願いする(事務局会員課03-3595-8580)
・今回、発言された方、清聴された方の中には、有意義な話もあったのではないか、長時間に渡り、議論を交わした参加者に、お礼を言い、終了
</pre>
 
== 全文 ==
<pre style="white-space: pre-wrap;  
<pre style="white-space: pre-wrap;  
white-space: -moz-pre-wrap;  
white-space: -moz-pre-wrap;  
匿名利用者