→一審・東京地裁
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ツイッター社側の代理人弁護士は「コメントできない」としている。(新屋絵理) | ツイッター社側の代理人弁護士は「コメントできない」としている。(新屋絵理) | ||
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[[弁護士ドットコム]]では、2017年のグーグル等検索サイトの判決基準との違いを具体的に説明している。 | |||
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{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_10271/|https://archive.ph/DRz07|逮捕歴ツイート、削除命じる 裁判所が示した「ツイッター」と「グーグル」の違い}} - [[弁護士ドットコム]] | |||
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ツイッターの検索で過去の逮捕歴が表示され、人格権などが侵害されたとして、男性が関連するツイートの削除を求めた訴訟の判決で、東京地裁(谷口安史裁判長)は10月11日、ツイッター社にツイートの削除を命じた。 | |||
検索結果の削除をめぐっては、最高裁が2017年1月の決定で、検索結果を表示することの社会的な意義などと比較したうえで、「プライバシー保護の利益が優越することが明らかな場合に削除を求めることができる」という判断基準を示している。 | |||
代理人の田中一哉弁護士は「グーグルなど検索事業者以外のウェブサイトについて、より緩和した要件での削除基準を示した画期的な判決。検索事業者といちウェブサイトであるツイッターとではサービスの質が違うと認定したことが判断の分かれ目だった」と話す。 | |||
'''●裁判所の判断は?''' | |||
判決によると、男性は約7年前、建造物侵入罪で逮捕され、罰金10万円の略式命令を受けた。今回削除請求していたのは、男性の逮捕を報じる記事と引用元URLが貼られた19のツイート<ref>おそらく東京地裁の判決を受け削除したツイートもあったと思われる。最高裁判決時点では19個も確認されていない</ref>。いずれも男性の名前を引用してツイートしており、ツイッターで検索すると検索結果として表示された。 | |||
現在、引用元の報道記事はいずれも削除されており、グーグルで男性の名前を検索しても、検索結果として表示されることはない状態だった。 | |||
裁判所は、まず過去の逮捕歴について「みだりに事実を公表されないことについて法的保護に値する利益がある」とした上で、罰金刑の場合は罰金を納めたあと5年の間に再び罰金刑や懲役刑を科されず、刑が消滅(刑法34条の2第1項後段)したことなどを考慮し、「新しく形成している社会生活の平穏を害され、その更生を妨げられない利益がある」と示した。 | |||
「時間の経過によって表現内容が違法と判断されることになると、投稿者に監視義務を課すことになり、表現行為に対する萎縮効果をもたらす」というツイッター社側の主張については、「インターネットの投稿記事に関しては、それが容易に閲覧可能な状態に置かれ続ける限り、新たな投稿がされた場合と別に解釈するべき理由はない」と却下した。 | |||
裁判所は次に、ツイッターの役割や性質などについて整理した。 | |||
ツイッターの投稿が削除される場合、「投稿者の表現の自由を制約するだけでなく、公衆による情報発信や入手にも制約が及ぶ」と指摘。 | |||
一方で、ツイッター社は、インターネット上のウェブサイトであるツイッターにおいて「利用者の投稿記事を網羅的に収集して投稿日時の順に表示」しており、利用者が一定の情報を入力して検索をした場合には、「入力した情報と一致する投稿記事を投稿日時の順に検索結果として提供しているに過ぎない」と認定。 | |||
「グーグルなどの検索事業者による検索結果の提供のような表現行為という側面は認められない」とし、「インターネットを利用する者にとって必要不可欠な情報流通の基盤となっているとまではいえない」と判断した。 | |||
その上で、ツイッターに投稿された前科などプライバシー情報に関するツイートを削除できる場合については、 | |||
(1)事実の性質および内容 | |||
(2)事実が伝達される範囲と申立人の具体的な被害の程度 | |||
(3)申立人の社会的地位や影響力 | |||
(4)ツイートの目的・意義 | |||
(5)ツイートが掲載された時の社会的状況とその後の変化 | |||
(6)その事実を記載する必要性 | |||
など、事実を公表されない法的利益と、ツイッターの公表が継続される理由とを等価的に比較衡量して、「'''公表されない法的利益が優越する場合'''」に削除が認められるとした。 | |||
これらを踏まえた上で、今回の逮捕事実に関するツイートについて検討。 | |||
男性の逮捕事実について「社会の強い非難の対象とされるべき事実」とし、ツイートで公表することについては「公共性および公益性が認められる」と指摘した。 | |||
一方で、逮捕からすでに約7年が経過していること、男性の逮捕について刑は消滅していること、逮捕事実が社会的に大きく取り上げられたり多数の国民の関心の対象となったりしたことはなく、「現時点については逮捕に関する事実の公共性および公益性は相当程度減少している」と判断した。 | |||
加えて、リンク先の記事は削除され閲覧できないことから「ツイートにより逮捕に関する事実の公表を継続する必要性は、相当程度低下している」と指摘。 | |||
男性が公的な立場や社会的影響力のある地位についたことはなく、現在は平穏に暮らしていることを認定し、「新しく形成している社会生活の平穏を害されその更生を妨げられない男性の利益は、十分保護に値する」とした。 | |||
また、ツイートにより就職活動に支障が出るなど、男性が不利益を受けていることを認め、「公表されない法的利益が優越する」と判断した。 | |||
'''●ウェブサイトのプライバシー情報「削除が認められやすくなる」''' | |||
2017年1月の最高裁決定では、事実を公表されない法的利益と、犯罪歴の公表が継続される理由とを比較衡量して、「公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」に削除が認められるとした。 | |||
これに対し今回の裁判所は「明らかな」という厳格な要件を外し、「公表されない法的利益が優越する場合」とより緩和した要件で削除を認めた。 | |||
田中弁護士は「グーグルの逮捕歴の削除は、優越することが『明らか』であることの立証がとても難しく、削除は著しく困難だった」と指摘。 | |||
「ウェブサイトに対する逮捕歴の削除請求でも、このグーグルの削除判断枠組みを用いられることがあった」といい、今後の影響について「裁判所はツイッターについて、情報流通の基盤ではなく、ただのウェブサイトにすぎないと判断し、削除要件を緩和した。今後ウェブサイトに関するプライバシー情報の削除が認められやすくなる可能性がある」と話した。 | |||
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