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5章
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(5章)
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[[サジェスト汚染|検索エンジンのサジェストワードをつくり出し、「唐澤貴洋」と検索すると「犯罪者」「詐欺師」などとセットになって予測検索を表示させるような動き]]も出ました。
[[サジェスト汚染|検索エンジンのサジェストワードをつくり出し、「唐澤貴洋」と検索すると「犯罪者」「詐欺師」などとセットになって予測検索を表示させるような動き]]も出ました。


そうした行為に対して、弁護士活動の妨げになることもあり、'''[[無差別開示|私は裁判所で仮処分を取得し、発信者の開示を求める手続きをとったところ]]]'''、それがさらに反感を買うことになり、誹謗中傷は悪質を極め始めました。
そうした行為に対して、弁護士活動の妨げになることもあり、'''[[無差別開示|私は裁判所で仮処分を取得し、発信者の開示を求める手続きをとったところ]]'''、それがさらに反感を買うことになり、誹謗中傷は悪質を極め始めました。


その行き着く先が、先述の通り、[[唐澤貴洋殺す|殺害予告]]でした。<br>
その行き着く先が、先述の通り、[[唐澤貴洋殺す|殺害予告]]でした。<br>
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その絡んできた当事者が、わざわざ事務所までやって来て、私の目の前に現れるというのは、非常に怖かったです。
その絡んできた当事者が、わざわざ事務所までやって来て、私の目の前に現れるというのは、非常に怖かったです。


そのほかにも、[[カランサムウェア|コンピューターウイルスやワーム(マルウェア)などを使って人のパソコンをわざと制御して、<br>「そのロックを解除してやるから身代金(ランサム)を払え」と要求するランサムウェアに私の似顔絵が使われ、私が関係しているかのような誤解を生じさせるような事件]]を起こされたことがありました。
そのほかにも、[[カランサムウェア|コンピューターウイルスやワーム(マルウェア)などを使って人のパソコンをわざと制御して、<br>
「そのロックを解除してやるから身代金(ランサム)を払え」と要求するランサムウェアに私の似顔絵が使われ、私が関係しているかのような誤解を生じさせるような事件]]を起こされたことがありました。


それを行っていた[[0chiaki|10代の少年ハッカー]]は、第三者のホームページを乗っ取り、私の似顔絵を掲載したり、勝手に事務所の名前を騙った別のホームページをつくったりもしていました。
それを行っていた[[0chiaki|10代の少年ハッカー]]は、第三者のホームページを乗っ取り、私の似顔絵を掲載したり、勝手に事務所の名前を騙った別のホームページをつくったりもしていました。
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彼は若い頃に母親を亡くし、身寄りのない生活を送っていたと聞きました。<br>
彼は若い頃に母親を亡くし、身寄りのない生活を送っていたと聞きました。<br>
彼の孤独を思うと、ドロップアウトして孤独だった時代の自分と重なります。何度でもやり直すチャンスはあると、更生を願わずにはいられません。
彼の孤独を思うと、ドロップアウトして孤独だった時代の自分と重なります。何度でもやり直すチャンスはあると、更生を願わずにはいられません。
== 第5章 ネット社会のゆがみ、人の心の闇を思い知らされた ==
=== 私が考える炎上の定義とは ===
これまで、私の身に起きたインターネットによる炎上現象の話をしてきましたが、そもそも、炎上の定義について、私の見解をお伝えしたいと思います。<br>
私が考える炎上の定義は、「誹謗中傷などの権利侵害行為や、違法とは評価できない批判行為を繰り返すこと」です。<br>
インターネットにおける炎上行為は、匿名のまま行われることが多く、参加者の人数すら特定できません。<br>
私のケースでは、積極的に投稿していたコアな人物が逮捕されたり、刑事的に立件されたりすると、炎上現象が鎮静化することがよくあります。<br>
このことは、加害行為に及んでいる人数が、それほど多数ではない可能性があることを示唆しています。<br>
詳しくは、『ネット炎上の研究:誰があおり、どう対処するのか』(田中辰雄・山口真一著)に書かれていますが、私のような個別事件で書き込む人はごく一握りであるといっていいでしょう。
炎上は、嫉妬や怒り、悲しさや自尊心などの人間の感情、正義感や政治的信条などの価値観などに訴えかける現象が起きた際に発生します。
引き金となる現象の、人の心に訴える力が大きければ大きいほど、炎上という行為は大きく膨れ上がります。炎上現象自体に、達成する目的が存在せず、炎上が続くことのみが目的化している側面があるからです。
本来、コミュニケーションというのは、相手に自分の意思を伝え、理解してもらい、そのうえで相手の意見を聞くという行為です。<br>
しかし、炎上現象は存続自体が目的化しており、コミュニケーションをする場所の確保と、孤独なマイノリティたちの居場所を維持するためにだけ存在しているといっても過言ではありません。<br>
炎上で誹謗中傷やプライバシー侵害などの権利侵害行為がなくならないのは、新たなネタをつくり、それを共有して、炎上現象を続けることでしか、自分の存在意義と居場所を見つけられない人たちがいるからです。
よくインターネットでは、炎上行為に参加していた者の中から誰かを祭り上げ、ののしり、プライベートを暴露するなどの権利侵害をし合う〝共食い〟状態に陥ることがあります。<br>
要は映画『バトル・ロワイヤル』と同じ状態です。自分がやられる前にやってしまえ、ということです。
〝共食い〟も、新たなネタ提供として、炎上の中で消費されていきます。<br>
そして炎上の参加者は、誰かをネタに盛り上がり、悪ノリの権化のような祭りの中で、現実と隔離され、ある種の満足感を得ています。<br>
しかも、「俺はこんなことできるんだ」と誰かが投稿したら、「俺だって!」「俺のほうがすごいんだ」とますますエスカレートしていきます。<br>
ただ単に誰かを攻撃するだけの場合は、ある種の万能感を味わうこともできるでしょう。さらに自己顕示欲が強い人ほど、所属するコミュニティに対して過激さを誇示して、<br>
「よくやった」「そんなにすごいことできるのか」「面白かった」などという称賛によって、承認欲求を満たしていくことになります。
=== 誰が、なぜ炎上行為を行うのか ===
これまで、私に対して行われた数えきれない嫌がらせや誹謗中傷の中で、刑事事件として立件されたのは、10件を超えています。<br>
その加害者、もしくは立件に及ばずとも、私が個人的に把握した殺害予告や爆破予告などの加害者の属性は、10代の学生がほとんどです。<br>
次いで、20代の学生および無職、そして、30代の無職。これらはすべて男性でした。<br>
もちろん、私の個人的な友人知人や仕事関係者ではなく、一切面識のない者ばかりです。
なぜ、私に対して攻撃を加えているのか、その動機を知るため、加害者の数人とは実際に対面し、親がいる者は親も一緒に会う機会をつくり、話し合いの場を設けました。<br>
そこで感じたのは、加害者のコミュニケーション能力は総じて低く、周りに加害者のことを理解している者が少ない孤独な人が多かったということです。<br>
私を攻撃した動機も、身近な生活にあることを忘れたかった、インターネットで反応があるのが面白かった、没入感を味わいたかったなどで、個人的に私に恨みを持って炎上行為に加担している者は一人もいませんでした。<br>
しかも、誰一人罪悪感を持って行為に及んでおらず、刑事事件になるという認識も持ち合わせていませんでした。<br>
加害者の親は、自分の子どもがインターネット上で何をしているのか把握もできず、そもそも私からの問い合わせや刑事事件にならなければ、そのようなことに関心すらない様子でした。
もちろん、すべての炎上事例が、私に対する加害者の属性と同じというわけではないでしょう。<br>
私が弁護士の仕事として相談された経験からすれば、女性の炎上事例では、個人ブログやSNSにおいて、性的な蔑称を投げかけたり、人格を否定するような投稿がされたり、<br>
アップされた写真などをもとに、自宅を特定するなど、個人のプライバシー侵害行為が行われますが、加害者は男性より女性のほうが多い印象があります。<br>
<!---これ重光ネキ?--->
また、学校や習い事などのスクールに通う子どもやその運営主体に関する投稿では、生徒の親が投稿を行っていることも多いのが現状です。
=== インターネットが凶悪犯罪の温床に ===
2016年7月、警察庁刑事局組織犯罪対策部国際捜査管理官の方から深夜に連絡がありました。<br>
ドイツのミュンヘンにあるミュージアムに、私の名前を名乗った爆破予告があり、ドイツの警察から警察庁に問い合わせがあったということでした。<br>
当然、身に覚えのないことです。<br>
これまでの経緯となりすましによる被害に多数遭っている旨を説明して、ご理解いただきました。<br>
しかも、同時期に、私の名を騙ったフランスのエッフェル塔への爆破予告もあったそうです。<br>
犯行内容を聞くと、匿名性を担保するウェブメールや、[[Tor|匿名化技術]]を用いて犯行予告先の問い合わせフォームにメールを送り、<br>
「爆破されたくなかったら、ビットコインを送金しろ」と脅迫してきたとのことです。
実は私のもとにも、2016年3月から[[唐澤貴洋ニ告グ|ビットコインを要求する脅迫メール]]が来るようになり、いまだにそのメールが送られてきています。<br>
[[仮想通貨]]のひとつであるビットコインは、中央政府が管理していません。<br>
そのため日本国内の会社で口座を開いていなくとも、ビットコインの移転は可能であり、流通可能性が担保されています。<br>
それを悪用して、足がつかないお金を要求してくるのです。
こうした匿名化技術を用いた犯罪行為が、今の時代は容易にできるようになっています。<br>
特に専門的な知識がなくても、[[Tor|トーア(Tor:The Onion Routerの頭文字をとったもの)]]などのソフトウェアを用いれば、簡単に匿名性が担保されるのです。<br>
トーアとは、米海軍調査研究所が開発した技術で、身元を明かさずにウェブサーバーやメールサーバーを運用することができます。<br>
簡単にいえば、通信内容は秘匿できないが、どこのサーバーを経由してきたか(接続経路)を秘匿する技術です。
具体的には、以下のように説明できます。インターネットをつなぐときには、NTTやKDDIといったプロバイダと契約するのが一般的です。<br>
たとえば、私がNTTのプロバイダと契約しているとすると、メールなどを誰かに送ったときに、どこのプロバイダを経由して書かれたのかがわかる仕組みになっています。<br>
ですから、NTTに、「何時何分に、この書き込みをしたのは誰ですか?」と問い合わせをすると、このパソコンを使っている人です、と特定することができるのです。<br>
この特定先を、IPアドレスというのですが、簡単にいえばネット上の電話番号のようなものです。<br>
ところが、トーアを用いると、そうした情報が特定できないように、プロバイダからの接続経路を匿名化することができるのです。<br>
ただし、接続経路は秘匿化しますが、通信内容までは秘匿できません。
トーアでアクセスできるサイトには、武器、麻薬、流出した情報の売買など、トーア経由でしかアクセスできない秘匿の違法サービスが多数運営されています。<br>
アメリカなどで違法(禁止)薬物などの不正販売を行っていたウェブサイトである「シルクロード」などのダークウェブ(闇サイト)によって、<br>
2010年くらいから、ブラックビジネスの温床として広く利用され始めたのです。<br>
そこでは、薬物を売ったり、人殺しを依頼したり、人身売買や臓器売買など、犯罪のやりとりに利用されており、全貌を把握するのは困難な状況といえます。
このようにネットに精通している世界中の犯罪集団の多くはトーアを悪用していますが、トーア経由でしかアクセスできないため、<br>
捜査が難しく、真の発信者に辿り着くのは、現段階では不可能です。知れば知るほど闇が深い世界です。
私は、自分自身がさまざまな被害に遭ってきたからこそ、今後ますます、インターネットによる社会的重大事件が起こるのではないかと懸念しています。<br>
今はまだ〝おふざけ〟程度で済んでいるのかもしれませんが、そのうち人の命にかかわるような事態に陥る危険性をはらんでいると言わざるを得ません。<br>
たとえば、病院などの医療システムをハッキングした者が、悪意を持って人工透析の機器を操作したりすれば、それは患者の死に直結することを意味します。<br>
また、どこかの国の防衛システムや[[核兵器|核ミサイル]]のシステムを遠隔操作して誤作動を引き起こせば、笑いごとでは済まない地球規模の危機も想定されます。
サイバーテロをテーマにした『ブラックハット』というマイケル・マン監督のクライムアクション映画が2015年に公開されています。<br>
この映画の冒頭で、原子力発電所がハッキングされて水蒸気爆発が起きたり、商品市場がハッキングされて大豆の価格が高騰する事態が描かれています。<br>
ブラックハットとは、コンピューターやネットワークへ悪意ある攻撃を仕掛けるハッカーのことを指す言葉でもあります。<br>
この反対に位置する人を、ホワイトハッカーと呼ぶのはご存じでしょう。
もちろん、「ただの映画の中の話じゃないか」と一笑することもできますが、私には、決して絵空事とは思えないのです。<br>
そういうことが実際に起こり得る時代になっているのだという危機感を持つべきです。決して他人事ではないのだと、自覚してほしいのです。<br>
ですから、事が大きくなってから対処するのではなく、芽が小さいうちに摘んでおかないと取り返しのつかない状況に陥るでしょう。
私を誹謗中傷していた人たちは、基本的に私に悪意を抱いていたわけではありません。<br>
しかし、そうした人たちが、プロの犯罪者やテロリストに担ぎ出されて、<br>
明確な目的のために利用されてしまったり、何かを目論んだりするようになったら、非常に怖い話です。<br>
しかし、現状では何も起こっていないので、脅威を感じつつもそのまま放置されているのです。<br>
何かが起こってから動くには、あまりにリスクが高いため、匿名化ツールを使われた場合でも対応できるように技術的な研究を早急にすること、<br>
また、国境を越えたサーバーを犯行に利用されたときなどに国際的な捜査ができるような実効性のある捜査共助の仕組みをつくるべきだと考えています。
現実的には、日本以外の国のサーバーを利用して権利侵害が行われたとき、刑事的な対応は非常に困難を極めるのが現状です。<br>
なぜなら、他国のサーバーを利用されたとき、他国の捜査機関の協力を得て、<br>
サーバー管理会社から任意、または強制して情報提供を受ける必要がありますが、この体制がきちんと整っていないからです。
=== 誰もがネット犯罪に巻き込まれる時代がそこまで来ている ===
2018年6月、ネットセキュリティの専門家で、有名ブロガーのOさんが福岡市で行ったITセミナーで講師を務めた直後、背中を複数回刺されて亡くなるという事件が起きました。<br>
刺殺した男は無職で、インターネット上の、あるブログサービスで多くのユーザーへの誹謗中傷を行っていた人物でした。<br>
Oさんにブログサービスの運営者に通報され、アカウントを停止されたことに深い恨みを抱いていたことから犯行に及んだといいます。
「ブログが使えなくなっても、別にどうでもいいじゃない」と多くの人が思うかもしれません。<br>
しかし、特定のブログサービスでしか生きられない、自分の存在を確かめられない人がいるのも事実です。<br>
その唯一の居場所を奪われたのは、[[甘芋|すべてOさんのせいだと勝手に逆恨みして]]、殺人を犯すまでに至ってしまったのです。
私のところに、「オンラインゲームのコミュニティでいづらくなった。自分に攻撃してくる奴を成敗してほしい」と相談にきた人がいます。<br>
多くの人には理解できないかもしれませんが、そこでしか生きられない人がいるのです。<br>
ゲームから抜けられずに、トイレもドアを開けて画面を見ながらするし、買い物にも行けないからいつも食事は出前(デリバリー)を頼んでいる人もいるほどです。<br>
自分が異常な状態に身を置いていることが認識できず、「わたしにはこの世界しかない」といった、ゆがんだ世界観のまま、<br>
ゆがみをゆがみとも思わず、自分は正常だと思っているのです。<br>
インターネットに依存する、オンラインゲームに没頭することは、論理的な思考も働かず、非常に危険なことなのです。
一般的にいって、人間関係を築くには、頭の中でいろいろ考えてからコミュニケーションをとることが必要不可欠な行為だと思いますが、<br>
ネットに依存している人は、インターネット端末と自分が直結している状態になっています。<br>
そこにはある種のスクリーニングもなく、もののいい方や他人とのつながり方、人間関係の構築が非常に即物的で刹那的なのです。<br>
ですから、未成熟な人ほど、取り込まれやすい世界なのです。
=== 正義は多数決では決まらない ===
また、「皆が言っているから正しい」と妄信する若者が増えているのも気になります。<br>
私は誰もが自由に編集に参加できるインターネット百科事典「[[Wikipedia|ウィキペディア]]」そのものが悪いとは思いませんが、<br>
「検索したら最初に出てきて、ネットに書かれているのだから、正しいに決まっている」と、<br>
出典が明らかではない不特定多数の書き込みを、何の疑問も持たずに信じていることが気がかりなのです。<br>
本来なら「これって本当なの?」と、まずは検証するべきだと思うのですが、<br>
目の前の事象を疑いもせず、一度立ち止まって考えることもしないまま、書かれたことを鵜呑みにしているのです。<br>
これでは思考能力がどんどん低下していかざるを得ないでしょう。
インターネット上では、その根拠も示さないのに断定的な表現ばかりです。議論を積み重ねることもせず、きちんと検証することもなく、結論のみが出されている。<br>
その是非を判断もしないまま拡散され、多数決が正義になる。<br>
世論を動かしたいと思うなら、ちょっと情報操作すれば簡単に、しかも迅速にできてしまう世の中になってしまっているのです。
もちろん、影響力のある国や政府、企業などの間違いや誤りを正したいという前向きな方向で世論を動かしていくために、<br>
インターネットを上手に活用するなら、私も諸手を挙げて賛成します。<br>
しかし、悪意や悪質な情報操作で、誰かを貶めたり、間違った方向に世論を持っていこうとしたりするなら、断固、戦うべきです。<br>
使い勝手がいいことと、自分勝手な都合で操作することはまったくの別物だということを肝に銘じてほしいものです。
=== ネット炎上にどう対応していけばいいのか ===
次に、私の体験をもとにして、インターネットで複数人に毎日攻撃されるなど、自分が炎上状態になったときの対策法について、お伝えしたいと思います。<br>
炎上状態が一目瞭然であるのに、気持ちが高ぶってしまい、真正面から反論してしまうと、相手はこちらがムキになっていると面白がって、さらに攻撃してきます。<br>
その攻撃にまた反論するような試みを繰り返すとかえって傷口を広げてしまう結果にもなり、私のようなひどい炎上状態になる可能性も大いにあります。
まずは、炎上状態になってしまったら、同じ土俵に上がらずに、状況を静観するように心がけてください。
あまりにもひどい誹謗中傷、プライバシー侵害がある場合は、とりあえず、警察に事件として立件してもらうのがベターです。<br>
そのためには、証拠をある程度、自分で集めて、警察に対応してもらうのが現段階でのひとつの効果的な解決方法になります。<br>
もちろん、私のようなインターネットでの人権侵害の案件を得意とする弁護士に相談するのもいいでしょう。<br>
しかし、弁護士とのやりとりには、時間もお金もかかりますし、警察に頼った場合も告訴を受理されない可能性も十分あり得ます。<br>
このため、炎上状態を公的に解決することは、現実では非常に厳しい側面があります。
では、炎上状態にならないためには、どうすればいいのか——。
究極の解答は、インターネットで何も発信しないことです。<br>
もちろん、それが極めて難しいことは理解しています。<br>
インターネット上での存在が希薄であれば、インターネット上の悪意あるユーザーから関心を持たれず、誹謗中傷の対象になることもありません。<br>
ツイッターは140文字という字数制限のため、自分の意向とは違った思いもよらない捉えられ方をされるケースがあります。<br>
インスタグラムならば、〝インスタ映え〟はNGです。<br>
キャビアやフォアグラなどの高級食材を食べている、高級レストランにいる、ブランド物を身に着けている、いい車に乗っているなどの〝リア充〟投稿は嫉妬心を煽るので、特に注意が必要です。<br>
しかし、多くの人たちは競うようにしてインスタ映え、リア充投稿を続けています。<br>
私からすれば、危険としか思えません。「いつか自分が被害者になる」と想像もしていないのでしょう。
ネット社会はドライなようで、実は感情に左右される世界です。特にその原動力となるのが妬みです。<br>
自分は大丈夫だとタカをくくらず、まず自分のSNSを見直すことをお勧めします。
現代社会は、面識もなく関係もない人に関心を持たれてしまい、「こんなにいい生活していて、何だかムカつく」と、難癖をつけられかねない時代です。<br>
いくら自分が意図していなかったとしても、誰かの感情の動き、特に嫉妬によって、掲示板にスレッドを立てられている人をたくさん見てきました。<br>
自分がその生活水準まで上がれないなら、自分のいる位置まで引きずり下ろすしかない。<br>
だから、いつのまにか「アイツ売春婦だ」「実は犯罪者だった」など、根も葉もない噂を立てられ、真っ赤なウソを並べ立てられて拡散されてしまうのです。
[[昨日友達を7人も泊めたンゴwwwwwwwwwww|自宅の中で撮った写真をアップするのも危険です。]]<br>
写真から住所情報を割り出されて特定される可能性があります。自宅からの景色が見える写真も、同様の理由でNGです。<br>
インターネットに長けている人間にとっては、断片的な情報をリンク・統合させて、さまざまな情報を割り出すのはいとも簡単なことなのです。<br>
基本的にインターネットで自分の情報公開はしないに越したことはありません。<br>
SNSをどうしてもしたいなら、逆に誰からの恨みも買わない、当たり障りのない投稿に留めるべきです。<br>
誰がどこで見ていて、どういう感情を抱くかわからないものだときちんと意識しながら情報発信をすることが大切です。
たとえば、旅行に出ている最中から、旅行の写真をSNSに投稿する人がいます。<br>
先ほどの例で挙げたように、自宅が特定されてしまっている人が、自分が旅行に出ていることを世間に公表した場合、どのような危険が生じるかは一目瞭然でしょう。
インターネットに情報を公開することで、人とつながりを持てるというメリットは、つながりたくない人とつながる危険性、デメリットも含まれていることを認識すべきです。


== 脚注 ==
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