→Emotet感染リスクが急拡大 背景に透けるウクライナ侵攻(2022年4月11日)
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==== Emotet感染リスクが急拡大 背景に透けるウクライナ侵攻(2022年4月11日) ==== | ==== Emotet感染リスクが急拡大 背景に透けるウクライナ侵攻(2022年4月11日) ==== | ||
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{{Archive|https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/092400133/040600074/|https://archive.ph/E2aCi|'''Emotet感染リスクが急拡大 背景に透けるウクライナ侵攻'''}} | {{Archive|https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/092400133/040600074/|https://archive.ph/E2aCi|'''Emotet感染リスクが急拡大 背景に透けるウクライナ侵攻'''}} | ||
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''' | 消滅したはすのマルウェア「Emotet」の国内感染が急拡大している。 | ||
背景には、ロシアによるウクライナ侵攻の影響も見え隠れする。 | |||
改正個人情報保護法の施行により、情報漏洩を起こせば新たな作業が生じる。 | |||
国内でマルウェア「Emotet (工モテット)」に感染したという事例が2022 年2月から爆発的に増えている。セキュリティー企業のトレンドマイクロの調査によると、Emo te tの国内検出台数は、2021年11月は524台だったが、 2021年12月に検出台数が増加。2022 年2月には1万8785台と急拡大した | |||
Emotetは遠隔操作が可能なポット型マルウェアである。攻撃者は Emotetに感染した多数のコンビューターでネットワーク(ポットネット) をつくり、一斉に操作する。Emotet に感染すれば情報が漏洩したり、スパムメール送信の踏み台にされたり、他のマルウェアに感染したりといった被」に遭う恐れがある | |||
ただEmotetのホットネットは1度「消滅」したはすだった。2019年から 2020年に国内外で猛威を振るったEmotetに対し、欧米8カ国の法執行機関や司法当局などが協力して対抗。オランダやドイツ、ウクライナなどにあったEmotetを送信するサーバーなどを押収し、2021年1月27日に「テークダウン」を発表していた。 | |||
ここで言うテークダウンとは、サイバー犯罪者がマルウェアを遠隔操作するために設けた「C&Cサーバー」を停止させることを指す。加えて、パソコンなどに入り込んだEmotetの接続先サーバーを、C&Cサーバーから当局が用意したサーバーに変更し、 Emotetを無化するよう自動更新する取り組みも行われた | |||
だが、2021年11月中旬、トレンドマイクロなどの各セキュリティー組織がEmotetの活動再開を確認した 2021年1月にウクライナ警察が EmotetのC&Cサーバーの管理者を2 人逮捕した。だが、「逮捕された人物は( Emotetに関する活動の)中心人物ではないともいわれ、Emotetを作成するツールを使える人物は捕まっていない可能性が高い。」トレンドマイクロの岡本勝之セキュリティエバンジェリストはこうみる。 | |||
'''ウィサードスパイダーが関与か''' | |||
Emotetの活動再開の裏には、別のランサムウェアグループの動きが関わっている。「ウイザードスパイダーが Emotetを再構築する工作をしたことが分かっている」と米サイバー対策企業のクラウドストライクのアダム・マイヤーズ・インテリジェンス担当シニアバイスプレジデントは語る。 | |||
ウイザードスパイダーとは、ロシアやウクライナに拠点を置き、ネットバンキングの認証情報を盗んだりボットネットを構成したりするマルウェア「Trickbot (トリックボット)」を開発しているサイバー犯罪グループを指す、同社独目の呼び名だ。Emotetのポットネットを中心的に開発・運営しているとされるサイバー犯罪集団マースパイダーとウイザードスパイダーが連携し、Trickbotのインフラを利用してEmotetをばらまいたことで Emotetが復活したとみられる。 | |||
増加するサイバー攻撃の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻の影響も見え隠れする。ウイザードスパイダーは、Conti (コンティ)というランサムウェアを開発していることから「Conti」とも呼ばれる。Contiは、ロシアがウクライナに侵攻した後の2022年2月25ロ、ロシア政府に対する全面支持を表明した。 | |||
[[ファイル:2022年2月に感染台数が急増.jpeg|right|200px]] | |||
クラウドストライクのマイヤーズ氏は「他にも2つのサイバー犯罪グループがウクライナに対するDDOS (分散型のサービス妨害)攻撃を仕掛けていることも確認している」と明かす。反ロシアを掲げる犯罪集団をサイバー犯罪のプラットフォームから締め出す動きもあるという。 | |||
一部のサイバー犯罪集団でナショナリズムが高まる一方で、お金もうけが目的だとはっきり宣言しているロシア系のサイバー犯罪集団もある。ただし「ロシアに対する経済制裁が続くことで、お金を稼ぐことが目的のサイバー犯罪も増えるだろう」とマイヤーズ氏は警鐘を鳴らす。 | |||
「活動を再開したEmotetによる感染被害はグローバルでも広がっているが、特に日本でその脅威が高まっている。なぜなら過去数年間、Emotetは日本をターゲットに日本語でのキキャンペーンを継続的に実施してきたからだ」(マイヤーズ氏)。 | |||
マミースパイダーは組織化された犯罪集団であり、「アフィリエイト(サイバー攻撃の実行犯)に日本語ができる人が加わっていることも考えられる」 (同)。日本を対象とした攻撃は進化しているというわけだ。 | |||
'''本人への通知が義務化''' | |||
クラウドストライクのマイヤーズ氏は「首謀者全員が捕まらない限り、 Emotetが消滅することはないだろう」と話す。企業はEmotetなどマルウ工ア感染の対策に一層の強化が欠かせないが、2022年4月1日からは対策を考えるうえでの留意点が1つ増えた。 | |||
それは同日に施行された改正個人情報保護法に関係するものだ。改正法は、個人情報を取り扱う事業者に対し、サイバー攻撃などの不正アクセスによって個人データの漏洩やその恐れが生じた場合、個人情報保護委員会に概要や件数、原因、再発防止策などを報告するよう義務付けた。 | |||
さらに、漏洩した個人情報について本人にその旨を通知する義務も新たに追加した。八雲法律事務所の山岡裕明弁護上は「自社端末がEmotetに感染していると判明した時点で、被害企業には個人情報保護法に基づいた報告や通知の義務が生じる可能怦が高い」と話す。 | |||
山岡弁護士は「自社が原因で取引先企業をEmotetに感染させてしまった場合、自社に過失が認められる場合には損害賠償責任を負う可能性がある点に留意する必要がある」とも指摘する。 | |||
損害とは具休的に、感染経路や被害範囲を特定するために実施するデジタルフォレンジックの費用が想定されるという。ただし「感染した企業に感染対策に一定の落ち度があったと認められる場合には、感染させた企業の責任は限定される可能生があるだろう」(山岡弁護士)。 | |||
本人に対する通知義務も企業にとって負担だ。メールアドレスが分からない場合、書面を郵送する必要があるためだ。「漏洩したときのリスクも考えて、保有が必要な個人情報の項目を改めて見直す必要がある」と森・浜田松本法律務所の蔦大輔弁護士は言う。 | |||
'''PPAPが感染を助長''' | |||
一般に「PPAP」と呼ばれる、パスワード付きのZIPファイルをメールに添付して解凍パスワードをメールで追送するファイル共有手法は、Emotetなどのマルウェア感染を助長している側面がある。そのためPPAPでファイル共有させないようにする仕組みを導入する企業や組織が増えている。 | |||
文部科学省は2022年1月4日から、送受信メールの添付ファイルを米ボックスのクラウドストレージ「Box」に自動で移し、受信者が添付ファイルをクラウドストレージからダウンロードする仕組みを導人した。2022年3月1日、日本郵政もPPAP対策としてBoxを活用すると発表した。Box Japanによれば、同社への間い合わせ件数は2021年11月のEmotet活動再開から増え、 2022年3月に急増したという | |||
Emotet復活やランサムウェア攻撃の増加、ウクライナ情勢などを踏まえ、日本政府は2022年2~3月、立て続けにサイバーセキュリティー対策の強化に関する注意を企業に喚起した。2月23日、3月1日に続いて3月24日にも経済産業省や総務省などが連名で注意喚起の文書を出した | |||
増人するサイバー攻撃リスクに対して企業は自社のセキュリティー対策を再確認することが求められる。改正個人情報保護法で加わった新たな義務を考慮に入れつつ、サイバー攻撃を受けた場合のサイバーBCP (事業継続計画)の策定など、事後対策を講じることも必要だ 。(外薗祐理子) | |||
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==== スマホに「野良アプリ」容認義務、政府の中間報告に懸念の声(2022年7月22日) ==== | ==== スマホに「野良アプリ」容認義務、政府の中間報告に懸念の声(2022年7月22日) ==== |