→ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に(2020年8月9日)
>貴洋のホルマリン漬 |
>チー二ョ |
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=== ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に(2020年8月9日) === | === ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に(2020年8月9日) === | ||
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{{archive|https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62407620X00C20A8000000|https://archive.vn/qNKq1|'''ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に'''}} | |||
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インターネット上で後を絶たない個人・企業への中傷や著作権侵害の対策に、 米国の裁判所を通じて発信者情報の開示を求める司法制度の活用が日本国内で広がり始めた。投稿先のSNS(交流サイト) の多くを米国企業が運営することもあり、 国内制度より迅速に情報が開示され、 その内容も幅広い。 弁護士からは 「普及すれば不正投稿の抑止につながる」 との声も上がる。 (岩沢明信) | |||
総務省によると、 ネット上での匿名による不正な投稿について発信者を特定する場合、 国内では 「プ□バイダー責任制限法」 に基づく手続きを取る。 ブ□グやSNS、 動画投稿サービスなどを運営する事業者に対し、 国内の裁判所で発信者情報の開示請求を行い、請求が認められれば事業者に登録されている情報が開示される。 | |||
ただ、 同法に基づく手続きではIPアドレスのみの開示となるため、 発信者の特定には追加情報が必要になる。 被害者は1回目の手続きで入手したIPア ドレスに基づき、 NTT ドコモ、 KDD1といったネッ ト接続の事業者に対し、 開示請求や裁判をしなければならない。SNSや検索サービスを運営する事業者がツイッター、 グーグル、 フェイスブックなどの米国企業だった場合は「日本の裁判所への申し立てから、 実際に開示されるまでに1カ月半~2カ月半かかる」 (同分野に詳しい弁護士)。 ただ、 中傷を含めた投稿の履歴は一定期間がたつと自動的に消えてしまうことが多いため、 手続きに時間がかかると開示ができないこともある。 | |||
'''■開示請求で身元を特定'' | |||
一方、 米国の民事訴訟の 「ディスカバリー」 と呼ばれる証拠開示制度を使うと、 氏名や住所、 工Pアドレスだけでなく、 電話番号、 メールアドレスなど、 サービスに登録された情報の全てが開示対象となる。 | |||
有料サービスの場合はクレジットカード情報が登録されていることもあり、 発信者の特定につながる手掛かりとなる。 裁判所の命令も1~2日で出ることもあり、 申し立てから1カ月以内に開示に至ることも多い。 | |||
「誤った情報が繰り返し書き込まれ、 客数も減ってしまった。 どうすればいいか」。 3月、 国内のある民間医院の代表者が法律事務所に相談に訪れた。 グーグルの地図サービス 「グーグルマップ」 上に表示される医院のレビューに、 実際とは異なる料金と共に 「高額な請求をされた。 ぼったくりだ」 といった中傷投稿が複数回あった。 | |||
弁護士がグーグル本社のあるカリフォルニア州の連邦地裁に請求をしたところ、 開示が認められた。 グーグルから送られてきた書類には、 複数のメールアドレスや携帯電話など発信者の特定につながる情報がずらり。 アドレスには被害医院の近隣にある競合医院と同じ名前の文字列が記載されており、 その後の調査で発信者が競合医院関係者と特定できた。 業務妨害として損害賠償請求を検討しているという。中傷や業務妨害に限らず、 著作権侵害でも活用が進む。 大手海賊版サイト「漫画村」 (2018年4月に閉鎖) を巡り、 カリフオルニア州弁護士の資格を持つ山口貴士氏は、 運営者の身元を特定しようと同年6月に米国で司法手続きを取った。 | |||
漫画村が配信に利用していた米クラウドフレアに登録のあった、 漫画村運営者の情報の開示に成功。 氏名や住所、メールアドレス、 携帯電話番号、 IPアドレスといった幅広い情報を入手できたという。 | |||
19年9月には、 集英社など日本の大手出版社4社も漫画村の後継サイトについて、 ニューヨーク州の裁判所で運営者情報の開示を求めて提訴した。 後継サイトもクラウドフレアを使っており、 訴訟に携わった担当者は 「日本にはない制度で、 サイト運営者の特定が見込まれるため利用した」 としている。 | |||
'''■司法手続き、 州弁護士資格が必要''' | |||
ただ、 ディスカバリーが使えるのはSNSなどの事業者が米国に主要拠点がある場合に限られるうえ、 米国で司法手続きを行うには、 その州の弁護士資格が必要だ。 資格を持っていない場合、 米国の弁護士に代行を依頼するしかなし、。 | |||
同制度に詳しい山岡格明弁護士によると、 米国のサービスを対象とする場合は効果的な一方で、 米国の弁護士に資料の作成も含めて依頼する場合には 「数百万円の費用がかかる可能性もある」 という。山岡弁護士は 「ディスカバリーは従前から活用できた制度だが、 近年はSNSなどの海外サービスを使った不正投稿が日本国内で増えていることから、 有力な手段として注目されている」 と指摘。 | |||
「開示の事例が増えれば、 不正なネット投稿の抑止にもつながるのではないか」 と話している。 | |||
'''■国内でも制度見直し検討''' | |||
インターネット上の投稿を巡り、 総務省は7月、 プ□バイダー責任制限法に基づく発信者情報の開示対象に電話番号を加えることを柱とする見直し案をまとめた。 | |||
迅速に開示されるよう、 被害者が訴訟を起こさなくても、 申し立てに基づき裁判所が開示の適否を判断する仕組みも検討されている。 | |||
見直しが進む背景には、 ネットの不正投稿が多い状況が続いていることがある。 法務省によると、 ネット上の誹講(ひぼう) 中傷やプライバシー侵害などの人権侵害は2019年に1985件にのぼり、 最多だった17年 (2217件) に次いで多かった。 | |||
今年5月にはフジテレビのリアリティー番組 「テラスハウス」 に出演し、 ネットで中傷を受けていたプ□レスラーの木村花さんが22歳で死去、検討の動きが加速した。 | |||
著作権被害もいまだに多い。出版9団体でつくる「出版広報センター」の調査では、7月時点で漫画の海賊版サイトが国内外で500件以上確認された。上位10サイトには、日本から月に1億回以上のアクセスがあったという。 | |||
担当者は「刑事告訴や民事の損害賠償請求など、今後も国内外で必要な法的手続きを取っていく」と話している。 | |||
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=== サイバー被害、保険各社が法務サポート(2020年9月9日) === | === サイバー被害、保険各社が法務サポート(2020年9月9日) === |