「唐澤貴洋/新聞記事」の版間の差分

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   SNS問題に詳しい唐澤貴洋弁護士は「日常的な言動の発信さえも批判され、その反応を見た人に発信者のマイナスイメージの植え付けがなされる。ネットでは、意見が異なる対立的な存在に対して何をしてもいいのだという言論が目立ち、これは時代やその時の空気に合わない表現への過剰な批判にも見られる傾向だ。情報の出し手の問題ではないので臆病になる必要はない」と指摘する。
   SNS問題に詳しい唐澤貴洋弁護士は「日常的な言動の発信さえも批判され、その反応を見た人に発信者のマイナスイメージの植え付けがなされる。ネットでは、意見が異なる対立的な存在に対して何をしてもいいのだという言論が目立ち、これは時代やその時の空気に合わない表現への過剰な批判にも見られる傾向だ。情報の出し手の問題ではないので臆病になる必要はない」と指摘する。
== ネット中傷 闘った苦心(朝日新聞、2020年6月6日) ==
''唐澤貴洋のコメント部分のみ記述する''<br>
[[ファイル:Asahi20200606.jpg|300px]]
'''「権利侵害を放置」'''<ref>{{archive|https://www.asahi.com/articles/DA3S14503284.html|https://archive.vn/u8Pk0|ネット中傷、闘った苦心 発信者の特定に壁:朝日新聞デジタル}}</ref>
 「現状では中傷される側の権利侵害が実質放置されている。発信者の開示請求に対する判断が早くでるような、仕組みにするべきだ」
 こう話すのは、ネット中傷の発信者を特定する仕事を多く手がけ、自身も中傷の対象になった経験を持つ唐澤貴洋弁護士(42)だ。
 2012年、ネット掲示板で中傷を受けたという高校生から依頼を受けた。掲示板の運営者に削除請求をし、裁判所は発信者開示の仮処分を決定。唐澤さんへの中傷が始まったのはそれからだ。「詐欺師」「無能」。批判や揶揄(やゆ)がツイッターなどにあふれ、次第に脅迫に変わっていった。
 「ナイフでめった刺しにして殺すとか、過激になった」。家族の名前や実家の登記簿などもネット上にさらされた。
 警察に相談し、脅迫容疑などで約10人が逮捕・書類送検された。その後、過激な書き込みは減ったが、中傷は続く。「(ネット空間では)話し合う以前に、自分の主張に合わなければ人格否定をする。健全な言論空間として機能していない」
 唐澤さんがネット中傷問題にこだわる原点は、高校時代に弟を失った経験だ。
 当時、1歳年下の弟が知人グループに目をつけられていた。パーティー券を売るよう指示されたが、お金が集められず、河川敷で集団暴行を受けたという。 翌日、弟は自室の出窓にベルトをかけて首をつっていた。唐澤さんは弟の受けた集団暴行と、ネット中傷を重ね合わせる。「どちらも、人を人と思わない弱いモノいじめに過ぎない」
 匿名の誹謗中傷の投稿者を特定しやすくすべきではないか。そんな議論が政府内で高まる。「表現の自由」を脅かす、との指摘もあるが、唐澤さんはこう考える。
 「公益性が強い表現ほど匿名を担保する必要性がある。表現の対象と内容に留意して、公益情報は(特定しやすくする)対象外にするなど、判断基準を細分化していくことが必要だ」
== 突然、掲示板に「詐欺師」 炎上弁護士が見たネット中傷(朝日新聞、2020年6月6日) ==
[[ファイル:Asahidigital20200606.png|300px]]
'''唐澤貴洋弁護士=東京都港区'''<ref>{{archive|https://www.asahi.com/articles/ASN664F66N5VOBJB007.html|https://archive.vn/TAZcd|ネット中傷、闘った苦心 発信者の特定に壁:朝日新聞デジタル}}</ref>
 プロレスラーの木村花さん(22)が亡くなったことをきっかけに、ネットでの匿名の誹謗(ひぼう)中傷が社会問題化している。中傷がどれほど過激で、どのようにエスカレートしていくのか。ネット中傷問題に長年取り組み、自身も中傷の対象となった経験のある唐澤貴洋弁護士(42)に聞いた。
 ――ネット上で中傷の対象となり、「炎上弁護士」とも呼ばれていますね
 2012年3月、「2ちゃんねる」で誹謗(ひぼう)中傷を受けたと訴えてきた高校生を弁護することになりました。当時、2ちゃんでは、投稿の削除請求や発信者の情報開示請求に関して、裁判所の仮処分命令を掲示板にアップするのがルールでした。請求文書には、担当弁護士の名前も記載されます。アップされたその日の夜、弁護士事務所の近くの居酒屋でスタッフと食事をしていました。どんな反応か気になって、携帯電話で掲示板を確認したところ、私に対する数え切れない投稿があふれていました。
 詐欺師、犯罪者、無能など、否定的なキーワードです。唐澤貴洋、詐欺師のような言葉を羅列するだけのものも多かったです。後にツイッターでも中傷の投稿が始まりました。
 ――どう対応したのですか
 掲示板にスレッドを立てられ、大量の投稿がされる。だから、一つ一つ誰が投稿したのか、開示請求をして特定しようとしましたが、それ自体を非難され、中傷するような投稿内容から過激な投稿に変わっていきました。毎日のように「何時にナイフでめった刺しにする」などと投稿され、さすがに「これはやばい」と思って警察署に相談しました。
 私の名前を使った嫌がらせも続きました。ある地方自治体へのウェブフォームからの爆破予告です。あるとき、警察から、私のパソコンの通信履歴を見たいから、任意で提出してほしいと言われました。理由を聞くと、私の名前が爆破予告に使われていたのです。
 ほかにもネット上に自宅の住所などがさらされました。弁護士事務所への出入りが盗撮され、その写真もアップされた。実家の登記簿も公開されました。
 ――殺害予告をした人物はその後、逮捕されました。脅迫罪などで十数人が逮捕または書類送検されたそうですね
 問題の掲示板で逮捕者が出たことで、投稿の数は激減しました。ところが、私に関する新しい掲示板が立ち上がり、そこにまた誹謗中傷が書き込まれるようになった。この掲示板の管理者が誰かは、決定的な証拠がなく法的な責任追及ができていない。この掲示板サイトは、海外のサーバーを経由しており、発信者の開示請求が事実上困難です。
 ――誹謗中傷の書き込みをした人物数人に直接会ったそうですね
 警察からの協力などで本人たちに接触できました。何人かに会って「どうしてこんなことをしたのか」と聞きました。彼らは、投稿の反応が楽しみだったといいます。過激な投稿で起きるリアクションが自分の存在確認。それが目的でした。もともと私とは何の面識もない。私がその人たちにひどいことをしているなら、当然わかりますが。
 ネット社会では、ネタになれば何でもいい。今まで仲間と思っていたグループが、その集団で好かれないことをしたらその人が攻撃対象になる。集団を維持するための共食いです。憎しみが動機ではなく、集団コミュニケーションのなかの居場所探しでしかない。
 もちろん、ネット上での議論は健全なことです。問題は、是非を話し合う以前に、「自殺に追い込め」みたいな、テーマについての議論ではなく存在、人格自体を否定しようとすること。自分の主張に合わなければ、ネット空間から追い出す。人格否定をする。健全な言論空間としてネットが機能していない。 その一因が、現状の法制度では、被害者負担で発信者を特定しなければならないことです。匿名の下、何ら自分の発言にリスクがないと誤信し、人を傷つける発言をする。ネットになると、表現の攻撃性が変わる。ネット上で刺激の強い情報を摂取する中で、いつの間にか自分自身が刺激の強い情報を発信している。歯止めをかけるには、倫理的な教育はもちろん、ルールが必要です。みんなで議論するところから始めないといけない。人権意識が低下した一部のネット社会が、現実の社会になってしまっては、取り返しがつかなくなる。
 ――規制強化が、公益通報やウィキリークスのような匿名による告発を萎縮させることにならないでしょうか。言論・表現の自由を脅かすとの指摘もあります
 ネットの誹謗中傷は、民主主義に役立つ情報発信ではないただの人格否定です。公益性もなく、私人の権利を侵害してもよい表現の自由は認められません。対権力との関係で、意義のある公益通報などは重要です。誹謗中傷を取り締まることは、匿名による通報を規制することに直ちにつながりません。それは、制度設計の仕方次第です。
 ――被害者を救済しやすくするためにはどうすればよいでしょうか
 ツイッターなどのコンテンツプロバイダーや、インターネットサービスプロバイダーが、よりプラットフォーマーとしての自覚を持つことです。自分が管理するプラットフォームで人格否定がなされているなら、積極的に対処しなければいけない。被害者救済の観点から法律を改正するか、新法を作っていくことも必要です。
 ――匿名の発信者を特定しやすいルール作りが必要だと
 書き込みの削除請求だけでは、再び書き込まれる可能性もあります。発信者を特定すれば、書き込みをやめさせるため、民事でも刑事でも、責任を問えます。ただ、刑事であれば、証拠があったとしてもなかなか警察は被害届や告訴状を受理してくれない。民事では、主に弁護士がプロバイダ責任制限法に基づいて、開示請求をするわけですが、損害賠償請求を含めると被害者の負担は弁護士費用だけで通常50万円超です。発信者情報の開示も半年から1年くらいかかる。時間とコストをかけてまで、どれくらいの人たちができるでしょうか。 発信者を特定する場合、基本的に裁判手続きが2段階必要です。いきなり、プロバイダーに裁判外で請求しても、対応してくれないことがほとんどです。そのため、裁判所の仮処分命令を用いて開示請求します。シンプルに説明すると、▽コンテンツプロバイダーが発信者のIPアドレスを開示▽そのIPアドレスからサービスプロバイダーを特定▽プロバイダーに開示請求を行い、IPアドレスの利用者に関する契約者情報(氏名や住所、メールアドレスなど)を開示してもらう、という流れです。 サービスプロバイダーが接続記録を保存している期間は通常3~6カ月。法律では、保存義務が定められていません。漏洩(ろうえい)を防ぐため、個人情報はなるべく早く消すというスタンスだからです。最初のIPアドレスの開示請求で時間がかかると、開示決定が出た頃には接続履歴が消えてしまっているというケースがあります。IPアドレスがわかっても、アドレスとその利用時間だけでは、利用者を特定できない場合もあります。 通信記録の保存を義務づけるほか、裁判所とは別に有識者を集めた第三者機関が開示の可否を決めるなどして、迅速な判断をしてもらう。プロバイダーとしては、判断がしっかりしたものであれば、決定に従って開示するでしょう。内容的に争うというものであれば、しっかり争えばいい。
 ――なぜそこまでこの問題にこだわるのでしょうか
 ネット中傷のような集団リンチが許せないからです。弁護士になった原点でもあるのですが、私の弟は16歳の時自殺しました。1歳年下の弟は、知人グループに目をつけられ、パーティー券を配るよう指示されました。結局パー券は売れず、河川敷で集団暴行を受けました。私は、その夜はなぜか眠れず、家で映画を見ていました。弟は家に帰っていましたが、翌朝、部屋から出てこない。父が合鍵か何かで部屋を開けると、弟は出窓にベルトをかけて首をつっていました。バックにはパー券がたくさん入っていた。弟がリンチにあっていたことは、彼の知人や警察から聞いてわかりました。 私は、悔しくて仕返ししたいのに何もできなかった。当時、高校を中退し、図書館で片っ端から本を読みあさるか、ただ当てもなく河川敷を走る日々から、定時制高校に入り直したばかりでした。自分は何もできなかった。だから戦う「武器」がいると、子どもながら感じた。その後、弁護士を目指しました。 ネット中傷の問題を扱う以上、自分が攻撃の対象になります。殺害予告を受けた時も、周囲には「大丈夫です」と言っていても、しんどかった。お酒を大量に飲まないと寝付けず、暴飲暴食で体重もかなり増えました。でも弁護士をやめようとは思っていない。弟の時に感じた理不尽をネット中傷に感じます。こちらは死ぬ気でやっていますから。匿名で人権を侵害する人たちとは、徹底的に戦うつもりです。


== 註釈 ==
== 註釈 ==
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