「唐澤貴洋/新聞記事」の版間の差分

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===⑥私刑「匿名の攻撃 実害次々」(2017年11月9日)===
===⑥私刑「匿名の攻撃 実害次々」(2017年11月9日)===


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第4部「ネットの魔力」 ⑥私刑「匿名の攻撃 実害次々」
第4部「ネットの魔力」 ⑥私刑「匿名の攻撃 実害次々」
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書き起こし
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事務所の玄関に[[蓬田治都#ちくわ事件(1回目)|「死ね」と落書きされた時]]の画像をパソコンで示しながら、殺害予告の経験を語る唐沢=東京都港区で
 目の前に座っているのは、自分を「殺す」と宣言した十九歳の少年だった。
 二年前の春、東京都港区の法律事務所。弁護士[[唐澤貴洋|唐沢貴洋]](三九)の前で、関東地方の男子浪人生がうな垂れていた。インターネットの掲示板に、唐沢を「ナイフでメッタ刺しにする」と書き込んだ。警視庁のサイバーパトロールで見つかり、自宅近くの警察署へ出頭。その後、両親と謝罪に来た。
 「投稿している時は嫌なことを忘れられた。過激な内容を書くと、周りが反応するから」。動機は、受験の失敗などによるストレスの発散だった。
 唐沢は弁護士として、ネット上の名誉毀損や不正アクセス問題に取り組む。巨大掲示板の旧「2ちゃんねる」を巡る弁護活動を契機に、ネット空間で「標的」になった。[[長谷川亮太|依頼人の高校生]]への悪質な書き込みの削除を掲示板で要請したら、自分への中傷が始まったのだ。
 '''「僕は『遊び場を荒らす人物』と見做されたのだろう」'''。まもなく[[唐澤貴洋殺す|「殺す」]]と書き込まれた。この投稿を境に、脅迫や嫌がらせはネットの中から外へも広がり、現実の生活が危険にさらされるようになった。
 [[オランダヒルズ森タワー|唐沢の事務所が入居するビル]]に掲示板の利用者が不法侵入して、その動画を公開。[[田園調布サティアン|実家の住所]]を晒されて、近くにある[[東光院|祖父の墓]]はスプレーで落書きされ、やはり画像が公開された。事務所や裁判所の周辺には[[少年探偵団|不審な若者]]が潜むようになった。唐沢の[[疑惑尊師|盗撮]]が目的だ。
 「一線越えたやろ」「もうちょっと面白い嫌がらせしろよ」。ネット空間が“炎上”するたびに、匿名の攻撃は過激化していった。
 殺害予告は手口や日時を記すなど具体化した。なりすましも横行、北海道から沖縄までの学校や役所に唐沢を名乗る爆破予告メールが相次ぎ、警備強化や休校が続いた。事務所の表札に「死ね」と落書きした男子高校生は、駆け付けた唐沢を見ても薄ら笑いを浮かべただけだった。
 もちろん、犯罪だ。唐沢によると、これまでに十数人が威力業務妨害や脅迫の容疑で立件された。半数近くは未成年で、殺害予告で書類送検された大分県の男子高校生=当時(16)=は「目立つと思ったから」と供述した。
 '''「僕は彼らの“ネタ”にされているだけ」'''と唐沢。'''盗撮を避けるために通勤ルートを頻繁に変え、買い物や[[坂根輝美#唐澤貴洋と知り合った後の時系列|外食]]は控える。気が休まるのは事務所の一室だけ。'''その事務所も嫌がらせへの防犯対策などで2回の[[聖遷|移転]]を強いられた。
 唐沢は、[[優しい世界|投稿者を簡単に特定できるようにする]]など、悪質な書き込みへの法整備が必要と訴える。そして、何より大切なのは学校教育。相手の痛みを感じ取りにくいネット空間の怖さと、すぐに標的が変わる流動性を教えてほしいと願う。
 [[唐澤貴洋Wiki|唐沢を揶揄するサイト]]には、殺害予告をした少年らの顔写真も“仲間”によって晒されている。まるで、騒ぐ理由を求めているだけに見える。唐沢は自分と重ねて、言う。「加害者と被害者は紙一重。'''誰がいつ僕と同じ目に遭ってもおかしくない'''」 (敬称略)


==「保守速報」の記事掲載、差別と認定 地裁が賠償命じる(朝日新聞、2017年11月9日)==
==「保守速報」の記事掲載、差別と認定 地裁が賠償命じる(朝日新聞、2017年11月9日)==