「恒心文庫:不可視光/しびれ、ときどき、めまい」の版間の差分

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>チー二ョ
(ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> ◆0  幼い頃、それがとても残酷なこととは知らずに虫をいじめたことがある。  アリの巣に水を注…」)
 
>化学に強い弁護士
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215行目: 215行目:
 慌てたように言う姿に思わず笑ってしまった。薄く黄色に染まったイチョウの葉が邪風に舞う。青空に浮かぶ白い雲に、薄い黄色が新しく色を添える。そこには色彩がある。
 慌てたように言う姿に思わず笑ってしまった。薄く黄色に染まったイチョウの葉が邪風に舞う。青空に浮かぶ白い雲に、薄い黄色が新しく色を添える。そこには色彩がある。
「……もう、終わったことですよ」
「……もう、終わったことですよ」
 僕は空を眺めながら言った。***
 僕は空を眺めながら言った。
 
 ***


 映画は確かに《超》刺激的だった。
 映画は確かに《超》刺激的だった。
229行目: 231行目:
 それは少なくとも、僕らの日常には存在しえないであろうストーリーだった。
 それは少なくとも、僕らの日常には存在しえないであろうストーリーだった。


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「……とっぷり日も暮れてきたナリね」
「……とっぷり日も暮れてきたナリね」
 長く伸びた影の横、原色の赤に塗りつぶされた夕陽に、同じように赤く染め上げられたKが言う。
 長く伸びた影の横、原色の赤に塗りつぶされた夕陽に、同じように赤く染め上げられたKが言う。