恒心文庫:靴飯寿司

本文

洋の靴からは酸っぱく香ばしい良いにおいがする
当職は食欲を唆るこの風味をどうにか有効利用して料理として味わえないか画策してみた
試行錯誤の末に行き着いたのは酢飯である
当職は刺身が大好物なのでこれを踏まえて寿司を作ってみたいと思う

まず洋の靴に炊いた白米を詰める
そしてしばらく放置する
これだけで靴飯は完成だ
靴から取り出すと白かった米がほんのり薄い黄色に染まっていてまるで宝石のようだ

当職のパンパンの指では握り寿司を作るのは不可能な為握り寿司は諦めてちらし寿司にする事にした
さて丼に靴飯を盛りつける 次はネタを用意しよう
僥倖にも丁度洋と懇意にしているお方に様々な鮮魚を頂いていた
その方は趣味でよく沖合に行くらしくその時釣った魚を稀に貰うのだ
なぜかどの魚も口元に赤い液体が付着している
口の中を覗くと肉片のようなものが混入していた 良い撒き餌を使ったのだろう

当職は、私はナイフはよくネット越しでチラつかされるのだが
自分自身包丁など握った事がないボンボンである
なので刃物に強い事務所の同僚に来てもらいドスで魚を捌いて貰った
彼は魚をさばき終えると当職を掘って帰った

いよいよネタを丼に散りばめる
そして最後に洋が今朝産んだ卵で錦糸卵を作り、真ん中に乗せて出来上がり 靴飯ちらし寿司の完成だ

いただきます
おいしいナリ

洋の靴から滲み出たエキスが米に染み込んでいて
それに魚介、錦糸卵が見事にベストマッチしていて最高の味だ

この靴飯寿司のレシピは当職だけのものナリ
だけど最近厚子が靴をお外に干してしまうから
この極上の香りに気がついた悪いもの達が靴を盗んでしまわないかが心配で
不安でうつ状態になりました、夜寝られないとか。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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