恒心文庫:復活の呪文

本文

貴洋は好奇心旺盛な子供だった。
両親の性器を弄ったり、糞を喰らったり、
全裸で登校したりなどの奇天烈な行動を
その魔の好奇心からやってのけてしまうのだった。

好奇心は暴走する。彼の魔性の虎は暴れ始めた。
初めは小さな虫だった。次に鳩。次に猫。次に犬。

彼は生き物が事切れたらどうなるかを観察するのが愉快で仕方なかった。
だが、ことを終えた彼はハッと気がつくのだ。僕は何をやっていたんだろう、と。
幼少の頃から記憶が途切れる病を貴洋は抱えていた。

殺戮と空白。貴洋少年の症状は悪化していくまま成長していくことになる。
皮肉なことに正義感を携えて。

高校生になった貴洋は、実に正義漢となっていた。
悪い者達は倒す。力を。と臥薪嘗胆していた。
そんな彼は最近、虫の居所が悪かった。
近所に出没するらしい卑劣な通り魔に腹を立てていた。

被害に遭った同級生も多数いる。怒りに身が震える。

か弱い弟が心配な貴洋はいつも待ち合わせて共に帰っていた。

ある夕暮れ、いつものように一緒に帰っていたら厚史が口を開いた。
ねえ兄さん。いつも夜な夜などこに行ってるの?
僕知ってるんだ。兄さんが朝に帰ってくるの。

貴洋は弟の言葉を理解できなかった。当職が夜中に外出?
な、何を言っているんだ厚史は。

厚史、お前寝ぼけてたんじゃないのか?聞き返す。

いや、深夜2時を回ると決まって兄さんはどこかに行ってるみたいだよ。
覚えてないなら夢遊病だよ。僕、兄さんが心配だ。

厚史、お前こそ病気なんだよ。
なあきっと寝ぼけてたんだ。そうだろ。おい。

兄さん、僕は嘘なんか・・・


あつし

当職が当職が当職が当職が
何を何を何をナニをナニをナナナナナナナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリ
ナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリ
ナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリ
ナリナリナリナリナリナリナリナリナリナリ



  • 丞|*洋は気がついたら自分の部屋にいた。夜だ。

窓の外は暗かった。何をしてたんだろう。さっきまで厚史と帰っていたはずなのに。

どうにも思い出せないから厚史の部屋を訪れた。

しかし、そこには厚史がいなかった。
おかしなことに綺麗好きな厚史なのに今日に限って部屋が散らかっていた。床にはシミのようなものもある。なんだこれ、いつ付いたんだろうか。

貴洋は首を傾げ、今度は両親の部屋をあたった。
だが、両親の姿も何故かそこになかった。

ちっともわからないので、その日は自室に戻り眠りについた。

次の日の朝、貴洋は食卓に向かった。
そこには家族の姿があった、厚史を除いて。
仕事でも長引いてたのか両親の目の下にはクマがある。

厚史は、と聞くと朝とても早くに出たとだけ答えた。
昨日からワケのわからないこと続きだが
貴洋も深く聞かず、支度をして登校した。




その日、貴洋は学校で弟の死の知らせを受けることになる。
彼が17の時のことだった。

(終)

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