恒心文庫:俺が欲しかったのは

本文

パンッパンッとなにかを打ちつける音が電話口から聞こえてくる。
貴洋は混乱した、なぜ裕明の携帯に電話をかけたらこんな音が聞こえてくるのか
「裕明?今一体なにをしている?」
貴洋は恐る恐る質問した
裕明はあっけらかんとこう答えた
「決まってるじゃないですか、セックスですよ」
貴洋が絶句しつつも言葉を発しようとした瞬間、遮るように裕明が言葉を発する
「唐さん、俺気づいたんだ、俺は虎ノ門に事務所を構えたかったわけでもないし、居場所が欲しかったわけでもない、俺が欲しいのはチンポ、セックスがしたいだけなんだってさ」
貴洋は狼狽えつつもさらに言葉を紡ぐ
「当職との営みでは満足できなかったのか?我々二人が過ごした夜は数えきれないはずだ、なのに!」
裕明は淡々と答えた
「すまない、俺はもう唐さんのチンポじゃ満足できいんだ、だから唐さんの元には戻らない」
電話口から聞こえてくるピストンのビートが早くなる、ピストンが早くなるにつれて裕明の喘ぎが大きくなる
「あ、いいぃいいいい、イクぅ!」
貴洋は悟ったのだ、裕明は徹底的に快楽を仕込まれたのだと、もはや当職では彼を満足させることはできないのだと
「俺、唐さんのこと大好きでしたよ、尊敬してます、これは本当です、じゃバイバイ」
電話は唐突にきれてしまった、貴洋は何度もリダイヤルしたが終ぞやその電話がつながることはなかった。
裕明がどこにいるのかはわからない、しかしなにをしているのかはわかった。
メスイキ変態弁護士としてホモビデオに出演し続けている、もう何作目だろうか
回を重ねるごとに絡みはハードさを増していく一方である、最新作では縛りあげられ100人切りに挑戦までしていた。
数多の男に犯され、犯され、犯され、ひどい有様である。
しかし当職には今の裕明は当職に抱かれていた頃より幸せそうに見えた。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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