恒心文庫:ある浅い曖昧模糊たる優しい世界

本文

当職は今日も仕事を終えある場所へ向かう。
そこに行けばどんな夢も叶うと言う。
誰もみな行きたがるが優しい世界。
この世のものとは思えないその世界は、私を快楽へといざなうのだった。
私がこの世界を見つけたのはあの世界に嫌気が差し始めた頃のことだ。
私はいつも優しい世界で思いのままに過ごす。
例えば幼女をお菓子たり、あるいは父と交わったり。
私を蔑むもの、無視するもの、そして中傷するもの誰一人としてここにはいない。
この世界での一時は私にあの世界そのもの、そして現実(いま)を忘れさせてくれた。
全てが崩壊した日々はなく、あるのは美しい過去と理想だけなのだ。
優しい世界に不可能はなく、ただ繰り返される。それが私には堪らないほど気持ちがいい。
今宵も私は全てを忘れ、精を出す。

しかしその世界での活動には条件が伴う。いられる時間に限りがあるのだ。
その限界を越えると私は気を失い、気がつくとベッドの上に臥していた。
当職の嫌な一日が始まる。
優しい世界。
どこかにあるユートピア。
どうしたら行けるのだろう。
教えて欲しい。

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