恒心文庫:防犯ブザー

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本文

ひろくんの乳房が最近膨らんでいるのは、メスホルを打ったからでも祥平に吸われたからでもない。彼は乳首に防犯ブザーをつけているのだ。奇妙な膨らみは防犯ブザーの厚みだ。

防犯ブザーを乳首に装着している理由として、
「ひろくんは乳首が弱い」
「ひろくんは満員電車で誘ってる」
などという言説が某スレで広まり始め、ひろくんは本当に満員電車で乳首を弄られるようになってしまったからだ。
実際に乳首が弱く、衣服のこすれだけでもメスイキしてしまうひろくんは、痴漢なんてされようものならその次の駅で降りてハッテンしてしまう。ハッテンしていたせいで遅刻、これはいけない。
けれど痴漢は止まなかった。乳首を弄るともちろん防犯ブザーが鳴ってしまうのだが、傍目に見れば胸部から90dbの命の遠吠えを発する変なおっさんである。
見ず知らずの人間に痴漢されて傷ついているようには、とてもじゃないが見えない。だから痴漢は素知らぬ顔でまんまと逃げ果せる。

それなら防犯ブザーをつけても意味がないのでは? と普通の人間なら思うだろう。
しかし、今日もひろくんは乳首に防犯ブザーを付けて家を出た。
先日ひろくんは、電車内で騒音を出したとして駅員に連行された際、お仕置きと称して男根レイプ囲いされたのが癖になってしまったという。
ひろくんは、明日も明後日も痴漢を待っている。すべては男根レイプ囲いのために。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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