恒心文庫:貴洋誰の子

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本文

貴洋少年は自分に流れる血に疑問を感じていた。
少年は家族の中で独りだけ頭が悪いのを恥じ、自分より優れた弟に劣等感を抱いていた。
それ故貴洋は家族の中で孤独を感じていた。
あぁ、僕はきっと他所の子なんだ。だからこんなに惨めなんだ。

学校でもコネ馬鹿息子と虐められ、
さらに貴洋は家族とも口を利かなくなってしまっていた。

なぜこんなに孤独なんだ。自慰する日々、虚しさだけが募った。

貴洋は食欲も落ち、ご飯を毎回八杯おかわりしていたのが七杯にまで減った。

父洋は、息子のそんな落ち込む姿を見ていられなかった。

思案した洋はある日、貴洋が風呂を浴びている時に自分も浴室に入った。

頭を洗っていた貴洋は突然入ってきた父の姿に驚き、サッと前を隠した。

洋はたまには一緒に汗を流さないかと言い、貴洋の肩に手をかけた。

しかし、情緒不安定な貴洋は突然現れた父の存在に
既にパニックを起こしていた。

そのため、父の手を振り払い絶叫した。
僕は父さんの子供じゃないんでしょと。

洋は、驚いた。しかし、次には笑った。
いや、お前は間違いなくワシの子じゃよと。

見ろ唐澤貴洋、ワシの腹を。ひび割れてシワシワじゃろ。
これはお前がワシの腹の中にいた時の印じゃ。
お前は生まれた時点で5kgはあったからのう。
それはもう随分腹を痛めたもんじゃ。

う、嘘だ。父さんは男じゃないか。
その話は前にも聞いたけど、他の家の子は皆お母さんから生まれたって聞いたよ。
ありえない、嘘だ。

貴洋は首を振る。

そんな貴洋を見つめ洋は、おもむろに自身の黒く汚れた大きなキンタマを持ち上げた。

いいか、唐澤貴洋。お前が生まれたのはここからだ。

貴洋は目撃した。父のキンタマの下に黒い貝の口のような割れ目があるのを。
それは、マリアの存在を目の当たりにした瞬間だった。

父はさらに自分の胸元を親指で指す。
この乳も随分張ったし、お前に吸われてご覧の通りじゃ。

胸は垂れ、ピータンのように黒いにその乳首からは無数の毛が生えている。

黙した貴洋少年はマジマジとそれを目の当たりにし、脳裏に朧気な記憶を思い出した。

この、この乳は確かに僕が小さな時に吸った気がする。思わず手を伸ばす。
洋は思わず少し喘ぎ声を上げる。

貴洋はためらわず求めた。父の乳を。
雄の臭いでありながら母のように暖かく柔らかい父の乳を一心不乱にしゃぶる。
汗じょっぱさなんか気にも止めなかった。洋のミルクが出るまでやめるわけにいかない。
口の中で乳毛が絡まる。

そして、父洋も懐かしい感覚と共に絶頂に達しようとしていた。

でっ出りゅ……出りゅよ!!!

塞がっていた黒穴から余すことなく貴洋の口に母なる母乳は飛びこんだ。
この日、唐澤貴洋はもう孤独じゃなくなったのだ。

(終)

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