恒心文庫:薄れゆく意識の中で

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本文

「えい貴様ら!我が家系の栄光に泥を塗るつもりか!この腐れマラのうつけ者が!」
当職と厚史の頬に一英の電卓とそろばんが凄まじいスピードで飛んできた
当職等は恐怖と苦痛に怯えきっていた、両親は当職たちの直ぐそばに控えているのに何も助け舟を出してはくれない
2人とも神妙な面持ちで俯いていた

「この程度の問題も解けないとは頭がダメになってしまったのか?それとも父母の愛情が足りなかったのか?」
一英が両親を、奴にとっては義理の息子と実の娘の方を向く。
両親は蛇に睨まれた蛙の如く微動だにできなくなる。

一英が当職たちへ向き直る。
一英は当職の髪を無造作に掴み何度も、何度も机に叩きつける、机の上に血糊が広がりようやく手を止めた、薄れゆく意識の中で一英が弟の襟首に手をかけるのが朧げに見えた。

翌日厚史は首を括って自決していた。
洋が呆然としながら厚史の体を下ろしていたことを記憶している
遺書らしきものにはやけに達筆な字で、悪いものたちに暴行を受けてこと、パー券を捌けなかったこと、自分に暴行を加えたものたちの名前が記してあった。

その日以来、洋は当職を一英のスケープゴートに使わなくなった。
使わなくなったどころか一英は当職に鉄拳制裁を行わなくなった
しかし顔を合わせても何も会話はせず、一英は当職などそこにいないかのように振る舞った。

まもなく親戚の団欒に当職は顔を出すことを洋によって禁じられた。
薄れゆく意識の中で最後に見た一英、やけに達筆な遺書の字、弟は本当に自殺したのだろうか?殺されたのでは?誰が弟を殺したのだろうか?

そんなことに頭を巡らせつつもトイレに行こうと廊下に出ると偶々家に来ていた一英とすれ違った
その時当職には、はっきりと聞こえたのだ
次はお前の番だと

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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