恒心文庫:胎児の記憶

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本文

「…キミちゃ……だし……あっ……りゅ……キミ……まず……ん……っと……」
揺りかごのような振動を感じながら当職は母親の腕の中にいるような居心地の良さを感じて眠りについていた。
「……ひろ…………もちよ……………った………」
「………ミちゃ………んっ……もっと………」
生温かい何かが当職の体に絡みついてきたのを感じた。
しばらくすると当職の隣で温かい何かの鼓動を感じた。生温かい母なる海の中にいるようなこれまでの感覚とは別の感覚が隣にあった。
どのくらいの時間が経っているのかさえわからない。ただひたすらにこの空間で眠っていることが心地よかった。

そんな時間が突如として終わりを迎えた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
「唐澤洋さんおめでとうございます。元気な双子の男の子ですよ」
「これは…洋が気を失っている間に全身唐澤貴洋は始末するモリ。片方は死産と洋に伝えるモリ」

当職は冷たい塩水の中で再び眠りについた。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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