恒心文庫:育児問題

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本文

「これ以上息子を虐めんでくれ」

会計士の泣き顔から、僕は目をそらした。
初代たかひろくん係だった彼のアナルはガバガバになってしまい、ストッパーがなければとても実用に耐えられるものではない。
僕は彼を手伝えなかったし、彼は僕を手伝えなかった。
今更なにかを思うことはない。もう終わったことだ。


「お別れだな」

事務所から出るときに、同僚の弁護士とすれ違った。
こいつは最後まで僕を手伝わなかった。
そのくせ毎晩のように僕の体を貪るのだ。
昨夜の情事を思い出して乳首が熱くなる。
――だけどもうおしまい。
ビルを出ると、秋の風が僕の乳首の火照りを優しく冷ましてくれた。
あいいつが僕の「育児」を、例えば話題のイクメンのように手伝ってくれたら、この結末も変わったのかもしれない。
僕は最後にそう考えた。


こうして僕はクロスを辞めた。
僕らはまるで離婚した夫婦の家庭のようにバラバラになった。
たかひろくんは会計士に引き取られた。
高齢の彼にはたかひろくん係は酷だろう。もう長くないかもしれない。
少しだけ嫌な気持ちになったが、自分がたかひろくん係になるのはまっぴらごめんなので、僕はそこで考えるのをやめた。


近年、ライフスタイルの変化により、母親一人での育児は限界を迎えつつある。
父親の育児への参加を求める声が大きくなっているものの、父親の育児休暇取得率は伸び悩んでいるのが現状である――――。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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