恒心文庫:日本ネット妖怪大全「チンフェ」

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本文

昔、千葉県の松戸にあった長谷川という家の息子が、毎日のようになんでも実況J板に赴いては隙あらば自分語りをして板の住民を困らせていた。
ある日、耐えかねたなんJ民達は遂に長谷川の息子を特定し、永久に燃え続ける業火の中に入れて成敗するに至らしめた。
この愚かな青年の魂が妖怪と化したのが「チンフェ」である。

魔羅に似た風貌を持つとされ、ネットリテラシーに乏しい子供や初心者、または白痴に取り憑き、求められてもいない自分語りなどの身勝手な振る舞いでネット社会を乱す悪事をさせるのが特徴であり、人々からは「チンフェ」に取り憑かれた者を「心のチンフェを飼っている」または長谷川の息子の出身地から「松戸病」と呼ばれ恐れられた。

「チンフェ」が憑いている限りその者を正論で説得させても意味が無く、私刑にかけて「炎上」させ、「チンフェ」の居場所を無くすより方法は無いとされている。
しかも、「チンフェ」を祓う側に付いている者も油断してはならない。
「俺は加害者側だ、こいつらとは違う」という心につけ込まれ取り憑かれたという話もあるからだ。

三重県に藤原太一という醜い男がいたがまんまと「チンフェ」に取り憑かれ、集団を率いて「コミケ路線」などの筋の通らぬ振る舞いをして暴れたという。
しかし周囲からおかしい所を指摘され責められた結果、「恥を知れ恥を」などと捨て台詞を吐き逃げ去っていったが、攻撃が足りなかったのかその後も度々ネット上に「チンフェ」が取り憑いたままの藤原太一が出没し続けたという。

「チンフェ」が特に好むのは称賛されたい、目立ちたいという盲目な欲望であり、取り憑かれて身を滅ぼしたくなければ人間が持つこの心の弱さと向き合い、克服する他は無いだろう。 

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