恒心文庫:愛は死んだ

2021年6月6日 (日) 22:44時点における>チー二ョによる版

本文

からさんごめんなさい……。
山本による苛烈な責めを受けながら山岡は祈るように叫んだ。

十年以上前、大学生だった頃から山岡は一途に唐澤貴洋の性処理便所として生きてきた。男娼と呼ばれようと、若い燕と言われようと、何と言われようと平気だったのは唐澤貴洋のことを真に愛していたからである。
彼の無能さも、醜い容姿も、全て受け入れる深き愛のみが、山岡を生かしていた。

その山岡がついに浮気に走ったのは、唐澤貴洋が不能と化したからだ。たくさんの人に囲まれているようで夜も眠れない唐澤貴洋が抗鬱剤の服用を開始したせいか、彼は山岡を満足させることが出来なくなってしまった。
はじめはそれでも構わなかった。肉体のみならず精神を、人格の根源から愛していると、山岡自身も信じて疑わなかったのだから。

しかし悲しいことに、唐澤貴洋に開発され尽くした山岡のアナルは次第に疼くようになる。デブチンポをハメてもらえない日々は山岡にとって拷問に等しい。
彼は、以前から虎視眈々と自分のケツを狙っていた山本に身を委ねることで、アナルの疼きを解消した。エロの祥平の技巧は、十年以上培った愛を凌駕して余りあるほどの快楽だったのだ。
山岡は、愛より肉欲を選択した自分を憎んだ。だが、その憎しみも次第に薄れていく。山本の唇、山本の指先、山本のデカマラ、それら全てが山岡の罪悪感を蕩かしていった。
かつて唐澤貴洋を愛した山岡はもうどこにもいない。もはや彼は情欲の虜である。
愛は死んだ。だが、欲望だけは荒々しく生き続けている。

ぱっくり割れたアナルを開示しながら、今夜も山岡は山本のデカマラをせがんだ。
山本こそ、唐澤貴洋を病ませ、不能にするための裏工作をした張本人であるとも知らずに……。

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