恒心文庫:変態メスイキドM弁護士

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本文

満員の朝の日比谷線。車両の隅に2人の男がいた。
痩せた、髭を生やした男と、わりとがっちりした、どこか少し優しそうな男である。
髭男は苦痛とも、快楽ともつかない表情を見せ、時々身体を捩っている。
彼は痴漢されていたのだ。一緒にいるがっちり男に。
よく見ると、髭男のシャツは少しはだけ、乳首が見えそうになっている。
しかし乳首は見えないようになっているのだ。
なぜなら、乳首のある所には、ピアスらしきものがあるから。
ピアスのように見えるものは、弁護士バッジであった。
彼らの周りにいる通勤者たちは、それが弁護士バッジであること、なぜそれが乳首につけられているかということを理解するのに時間がかかった。
時間はかかったが、毎日同じ時間に彼らと出会い、髭男が痴漢されているのを目撃しているから、髭男が変態ドM弁護士であることを理解した。
がっちり男もどうやら弁護士らしい。時々弁護士バッジをスーツの胸につけていたからである。
通勤者たちが押し合いへし合いしている間に、一部の通勤者が髭男の股間に接触したことがあったが、何かおかしい。勃起した怒張とは異なる金属的な硬さを有していたからである。
通勤者たちがそれを射精管理用の貞操帯であることに気づくには更なる時間を要した。どうやら痴漢されても、射精しないようにされているのだ。
それでも髭男は絶頂に達したかのような表情をすることがある。
通勤者たちの何人かは、それについてがっちり男に訊ねてみた。
「メスイキといって、女の子がイっちゃうような感覚でひろ君はイってるんです」
なるほど、髭男は変態メスイキドM弁護士なのか。
理解した通勤者たちは、淫語を髭男の耳元で囁いたり、尻や首筋をなぞったりした。その度に髭男は悶絶していた。

しかし、従順な髭男、優しそうながら髭男のニーズに応えるがっちり男の2人がいる弁護士は、さぞかしクライアントに従順かつニーズを的確にとらえることができるのではないか。そう思った者も少なくなかった。
"EVIL"がいるとは知らずに…

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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