恒心文庫:原田実験台

2022年5月4日 (水) 22:25時点における>貴洋のホルマリン漬による版 (ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> とある研究施設において白衣を着た男達が働いていた。 あるものは試験管を覗き込み、またあるものは…」)
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本文

とある研究施設において白衣を着た男達が働いていた。
あるものは試験管を覗き込み、またあるものは何かのデータと睨めっこしまたあるものは顕微鏡で何かを夢中で観察している。ページを捲る音とキーボードを叩く音しか聞こえないこの空間に、突如扉が開く音が辺りに響き皆の視線がそこに集まる、すると扉の一室からこの知的な場所にふさわしいくない雰囲気と立ち振る舞いの太った男が現れた、この男こそ唐澤貴洋である。主任研究員という名札をつけた男が慌てて貴洋の元へ向かう。
貴洋が主任研究員の名札をつけた男に
新しいウイルス作成の進捗はどうかと聞くと
臨床が可能になりましたとの返答があった、貴洋は人体実験を今から開始すると告げ手筈を整えるよう指示し去っていった。

無機質な白い空間にベッドが一つだけある、そこに原田学植が体を横たえていた。
物音ひとつすらしないしんとしたその部屋で裕明はぼんやりと天井と睨めっこをしていた。なぜここにいるか、いつきたのか、何日経ったのかすら思い出せない。
暫くすると部屋の扉が開き白衣の男達が現れた、学植をストレッチャーに移し実験室へと運んだ。実験室には主任研究員がおり、彼の手には何やら赤い液体のようなもので満たされた試験がにぎられていた。手慣れた仕草でそれを注射器に装填し学植の左胸に注射し、いそいそと出ていってしまった。状況が全く理解できない、意識もはっきりしない。
学植がなんの気無しに上を見上げるとガラスを隔て貴洋と先ほどの主任研究がコチラを見下ろしていた。ああ、唐さん、なぜそんな所に?はっきりしない意識の中で考えていると
先ほどの注射を打たれた辺りがむくむくと隆起し、同時に背中も何かが蠢くかの如く身に纏う服を押し上げ始めた。学植は突如始まった肉体の変化に悶え苦しむ、学植の骨が急速に成長を始め、それに伴い学植の筋肉が膨れ上がっていく。先ほどの学植の左胸と背中の隆起は新たな筋組織が形成されていたから生じたのだ。

悶え苦しむ学植の筋肉は膨れ上がっていき、左胸から腕にかけて赤い筋組織が形成されていく、筋組織の肥大に耐えきれず皮膚はメリメリと音を立てて裂けていった。腕から腰、足、背中の筋肉すら蠢き筋組織が形成されていく、そして骨も急な成長を始め学植の身長は2メートルを軽く超えてしまった、脊髄と頚椎が異様に成長し首がやたら長い。心臓すら肥大し脈打つ音が貴洋と学植を隔てるガラス越しにすら聞こえるほどだ。異形と化した学植が苦悶の表情を浮かべ、ガラスに手をつけ貴洋を恨めしそうな顔で見つめる。
見つめ合ううちに学植は糸が切れた人形のように地面に倒れ込み動かなくなってしまった、急激な肉体と変化と筋組織の形成、骨格の変化と、新たな骨の形成に体が耐え切れなかったようだ。
実験は失敗、貴洋は主任研究に対して、いつになったら背が高くなりムキムキになれるウイルスを作れるのだと問い詰める。
前できたウイルスを裕明に投与したら、両の乳首と腹に歯と舌付き口が形成され研究員に襲いかかってきた。上の口と乳首と腹にできた口で4人の研究員の男性器を咥えていた。
生捕りにするとさらに変異が進み、口と肛門があちこちに発生してそこいらにあるものを手当たり次第挿入しメスイキしていたので殺処分されていた。
当職の理想はいつ実現するのか、高身長のムキムキ弁護士にいつなれるのかと思いながら、また研究を続けるようにと言い残し
研究室から去っていった。

この作品について

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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