恒心文庫:厚史「兄さん…やめて…」

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本文

貴洋は弟の厚史に対して引け目を感じていた。
養子でありながら成績は優秀で、既に上級生クラスの学習範囲を学んでいる位だ。また、周囲の人達とも良好な関係を保っていた。
芸能プロダクションに所属している彼女だっている。

中身だけでなく外見も整っていた。
サッカーチームに所属しており、一年生でありながらレギュラーを任せられている。
中性的な顔立ちとスラリとした体格のお陰か、彼は異性同性問わず人気者であった。

「厚史は偉いモミ...貴洋お前はもう少し頑張るモミ...」父が言う「あいつ良いやつだし頭も切れるよな」同級生の噂話が嫌にでも耳に入った。弟の話題を聞くたびに心が曇る。
アイツさえいなければ俺だって...

だが自分の無能さは嫌という程理解していた。運動でも勉強でも人並み以下で取り柄というものは特に無い。それに愛嬌も無いから人に好意を抱かれる事も無い。
そんな彼は私立中学校の試験に落ち続け、ようやく合格出来たのは県外の中学校だった。

そこで彼は虐めとはいかないが無視される日々を送った。当然である。貴洋は自分の祖父一英の武勇伝を皮切りに、自分の家柄はお前らは違うと自慢しクラスメートを見下したからである。
誰とも親しく出来ず学校を休む日々だけが続いた今で言う登校拒否だ。

そんな彼を唯一見捨てない人がいた。
弟である「兄さんずっと部屋に籠もりきってると体に悪いよ、偶には一緒に散歩に行こうよ」
「うるせぇ!気安く話しかけるんじゃねぇ」

拳を振り思いっきり殴る。よろめく弟を尻目に彼は再び部屋に籠った。
厚史は何でも出来る上に貴洋の様な人間にも親身に接してくれた。
その態度が余計に彼を苛立たせた。
兄に無い全てを持つ弟に嫉妬心を抱いていた。

信頼、友達、才能、何れも貴洋に欠けた物だ。
自分の事を内心見下しているではと疑心暗鬼をする心は何時迄も続いた。
その間もパソコンの前に座り意味もなく趣味のネットサーフィンに興じた。

父親は土日も仕事に没頭し、母親は理解し難い慈善活動に熱中しており、弟を除けば今の俺に話かける奴はいない勿論咎めもしない。
サイトを巡る内にある記事から、IPアドレスなるインターネットの住所の様なものが割り当てられる事を知った。

冗談も大概にして欲しい自分の数少ない場所までも管理されるのか。
怒りで思わず頭を?くと頭垢と瘡蓋が爪に溜まる。
最近は入浴すら怠っていた体もやけに痒い。

仕方ないと重い腰を上げて風呂場に向かう。
今の自分は小便ですら飲料容器に出していた。部屋に出るのは糞をする時位である。

服を脱ぎ浴室ドアを開けた。
そこには先客がいた忌々しい弟だった。
「あっ兄さんごめんよすぐに出るから」
せっかく風呂に入ろうとしたのにこの野郎は...その時彼は一つ違和感に気づいた

弟はバスタオルを体に巻いていたのだ。それも上半身まで。彼の偏見だが男でもバスタオルを巻くのは精々半身だけだ。変に女々しい所のある奴だと思った
「テメェはカマ野郎かよ男の癖に恥ずかしい格好しやがってよ」
「やめてよ兄さんこれだけは剥がさないで」

嫌がる弟を力づくで抑えバスタオルを引っ剥がした。
露わになった弟の体は華奢で鎖骨が浮き出ていた。その一方で、スポーツか何かやっているのか、ある程度の筋肉も付き引き締まっていた。

だがそれより目を引くものがあった彼の胸部には男には無い筈の二つの小さな膨らみがあった
下半身にも目を移すと子供の様な男性器がプルンと鎮座していた。ただそれには金玉が無い。

「ちょっと捲るぞ」弟はもう抵抗しなかった
陰茎を持ち上げるとそこには男にはない割れ目が存在していた。
弟は半陰陽だったのだ。
それから俺は弟から色々な話を聞いた。
母親は自分を産んですぐに死に、父親は失踪してしまい児童施設に預けられた事。

この中途半端な体のせいで疎外感を覚えていた事。それに隠すために苦しんでいた事。
悲惨な境遇を憐れんだ俺の両親に引き取られた事。
「出来れば義父さんと義母さん以外には知られたくなかった...こんなの恥ずかしいし..皆に知られたら怖いよ」

弟は震えながら涙を零していた。
すっかり弱りきった弟を見て貴洋の心に悪魔が囁いた。
こいつの弱味を握ったんだ今度は自分が弟を苦しめる番だ。
「兄さんどうして..うぐっ」
貴洋は厚史を押し倒すと自分の膨張した肉棒を奴の秘部に挿入した。

「痛いっ痛いよ兄さん...何でこんな事を」
貴洋は何も答えずペニスを深く差し込んだ。赤い血が膣から流れて行く破瓜だった。
それと同時に弟の情け無いペニスは新芽の様に勃起していた。
「体は正直みたいだな。一丁前に感じやがって」

貴洋は何度も腰を振り厚史の膣奥を攻めた。
それに対して厚史は泣きながらか細い声で喘いでいた。
貴洋は弟の雪の様に白い肌を摩る。
快楽は頂点に達し俺は白濁した精を遠慮なく吐き出した
「兄さん...僕たち血が繋がりが無くても兄弟なんだよ...」
「それがどうしたお前はこれから俺の性玩具になるんだもし断ったら同級生に体の秘密をバラすぞ」

「うぅっ...酷いよ」
それから唐澤と厚史との秘密の会合は続いた
厚史の体は滑稽な事に初潮も精通も訪れていない
つまり今の所妊娠する事が無いのだ
これは良い玩具を手に入れたと唐澤は思った
あの日が来るまでは

「生理が来たんだ...もうこれまでみたいな事は出来ないよ...」
だから何だと言うのだと言うように兄は弟をベットに叩き付けるとまた何時ものように厚史の痩せた体に抱き着きながら犯す
「ううっ...」折れてしまいそうな体にのしかかりドロドロした欲情を垂れ流す

もう弟は兄から逃げられなかった。
何度も産道を蹂躙されながら厚史は昔の事を思い出していた。まだ二人とも幸せだったころ。それは8年前の事である。

厚史が6歳の時に、彼は唐澤家に引き取られたのだ。だが、なかなか馴染めずにいた。新しく出来た家族とどうやって接したら良いのかわからなかった。そんな日々から逃れる様に、彼は書斎に入り浸り本を読みふけった。

その中でも鳥や水棲生物の図鑑に興味を持った。彼等は人間の自分とは違い空を飛べ、海を自由自在に泳ぐ事が出来た。半陰陽という体で他人に心を開けない自分でいるよりは空や海へ行きたいと切実に願った。
「おい、いつまでそこにいるんだよ」

義兄に話しかけられる。この頃の厚史はまだ貴洋にも慣れてはおらず不信感もあった。施設に居た時の様に殴られるかと思わず身構える。
「いつまでこんな漫画もない様な場所に居るんだよ。さっさと外に出て用水路のザリガニ捕りに行くぞ」
「でも...僕ザリガニなんて捕まえた事ないから...足手まといになるよ...」

「俺が釣り方教えてやるから大丈夫だ。それにこんなつまらないとこにいるよりも面白いぞ」
そう言って厚史の手を取って二人は外に出た。それから用水路でザリガニを沢山捕まえた。
サキイカを餌にすれば簡単に釣れるのだ。厚史もその内に夢中になったのか、兄より多く釣っていた。

小学校の上級生に虐められそうになった時は貴洋が庇ってくれた。結局二人ともボコボコにされてしまったが。それでも貴洋と一緒に遊んでいくにつれ、厚史は義父母、学校の友達に心を開く様になっていった。厚史は大切な居場所を守るために努力を重ねていった。

人の何倍も勉強や運動を頑張ったのも、兄貴洋や周囲の人々に認めてもらうためである。
が、皮肉にも優等生と言われるにつれて貴洋は厚史を避ける様になった。

だからといって今の様に肉体だけの関係になんて厚史は望んでいなかった。
あの頃の兄さんに戻って欲しい。その事だけが頭にあった。

ある春のこと「妊娠したんだ...兄さんどうしよう...」
厚史は風船の様に膨らんだお腹を撫でながら、不安そうな顔で貴洋に呟く。生理がこない事に恐怖し、唯一心当たりのある兄に相談した。自分が体を許した相手は彼一人なのだから。
「あっ、ふーん。でも俺は関係ないだろ。お前が勝手に孕んだんだから」

知らぬ存ぜぬといった表情で貴洋は言った。
「お腹も大きくなり始めているんだ、学生服でなんとか誤魔化してるけど、このままだと隠しきれないよ...」
「じゃあこうすりゃいいじゃないか」貴洋はそれまでやっていたネットゲームを中断すると厚史の腹目掛けて何度も蹴りを入れた。

「うぐっ...何をするんだ兄さん...お腹の赤ちゃんが死んじゃうよ!」
突然の暴力に体を亀の様に屈めて必死にお腹の赤ん坊を庇う厚史。貴洋はそれでも蹴り続けた。
「もうその腹だと中絶なんで出来ないだろ。だったら俺が流してやるよ」
「ああっいたいいたいいたいよ!!!もうやめて」

厚史が悲鳴を上げたため、貴洋は思わず怯んで攻撃を中断する。
厚史の股から温かい水が止まる事なく流れていた。衝撃から破水が起きてしまったのだ。

さすがの貴洋もこれには慌てて119番通報をした。それからすぐに救急車がサイレンを鳴らし到着した。
厚史は病院へ搬送された後、分娩室に運ばれた。

「大丈夫ですよそのまま息んで下さい」
「う、うぅうううぅううう!!!!!」
厚史の固く未熟な膣からは赤ん坊の頭が出たり入ったりを繰り返している。
それに呼応し役に立たない様な小さなペニスは必死に勃起していた。

陣痛に耐えながらも彼は生まれてくる子供のことだけを考えていた。自分の命はどうなっても構わない、この子だけはどうにか生きて欲しい。そして激しい痛みが襲う中で厚史は貴洋のことを考えていた。自分を使い捨ての玩具として見てない兄でも、たった一人の大切な存在を。
「ああっ...」
「産まれましたよ男の子ですよ」

産道を押し広げながら赤ん坊が誕生した。
予定より早かったためか平均的な嬰児の大きさを下回っていたものの、産声は元気そうだった。
「産まれたモミか...」
「父さん...!」

何時もは仕事で家にいない父が病院に駆けつけてくれた。その顔はどこか悲しげだった。
「厚史...申し訳ないがその子供は家では育てられないモミ...遠くの家に引き取って貰うモミ」

黒服の男たちが看護師の腕から赤ん坊を連れ去っていく。
「そんなやめて!!僕の赤ちゃんを返して!!」
「仕方がなかったモミ...これはk家の命令モミ...従わなかったら私と貴洋の将来も危ういモミ...今回だけは我慢して欲しいモミ...」
その場に顔を埋めて泣く厚史。

家の体面を気にするk家は赤ん坊を栃木県在住の里親に出す事にしたのだ。
また、一応血筋にあたる貴洋を庇うため、弟を犯したのは同級生という事にされ、複数人の生徒が冤罪をでっち上げられ逮捕された。

だが、養子である厚史には何の庇護も与えられなかった。それどころか半陰陽であるという事実を公表された。
前述した強姦事件も元々彼が体を同級生に売春していたため発生したという噂まで流れる様になった。

あれ以降厚史は家でも学校でも居場所を失った。半陰陽という体の特徴も不気味がられたが、それ以上に誰にでも体を売るという淫売な人間として扱われるようになった。
自分の友達だった人間も離れていき、彼女も姿を消してしまった。
サッカーチームからも退部を宣告された。意味も無く教科書を読み耽ける日々が続いた。

まるで昔に戻ったようだった。そして時々誰にもやれない膨らんだ乳が痛む時がある。あの子は元気にやっているだろうか?里親さんはあの子と仲良くしているだろうか?なぜあの時力づくでも赤ちゃんを奪え返さなかったのか........
気がつくと昔兄と一緒に良く遊んだ用水路に着いていた。

あの頃が一番幸せだったな。兄さんとも楽しくやっていた。
兄さんのお陰で僕は皆と暮らせる様になったんだ。だから一生懸命に勉強にも運動にも取り組んだんだ。
兄さんに見捨てられない様に、兄さんの役に立つために頑張った。
でも兄さんは僕から離れていった。友達や彼女は出来たけど、僕は兄さんが欲しかったんだ。

水の中に足を入れる。昔自分が鳥や魚の様な生き方を願っていた事を思い出す。
いくら綺麗な水の中でも人は生きられないだろう。それでも構わなかった。
「さよなら...兄さん...」

おしまい

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