恒心文庫:上級弁護士の振る舞い

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本文

高層ビルが立ち並ぶ夜の都会の街の真ん中に、負けずと目を引く高級ホテルの最上階。

「今夜はとても素晴らしい機会を与えて下さり、ありがとうございます」
そう言ったのは、肩までの黒髪が艶やかな、着物の似合いそうな女性だ。
黒スーツに赤いネクタイを締めた、ふくよかで横長な男の右隣に座っていた。
「先生にこんなお店を紹介して頂けるなんて光栄です」
もう一人、男の向かいに座っている、これまたショートカットで黒髪の、
顔はそこそこのラインを越えていそうだが、身なりが少女らしい女が座っている。

「いいナリよ。ここは東京のこの辺りでも有名な、高級レストランナリよ」
「素敵です。こんな素晴らしいお店をご存知だったなんて、私達とは格が違いますね」
「いや、そんな事ないナリよ。当職にとってはこんな店、ファミレスみたいなものナリ」
「まあ」
そう言って、中央にでんと座る小太りの男は、目を細めながらにやついている。
女性陣はそんな男の高飛車を匂わす態度に遠慮しがちな、困惑の笑みを浮かべた。

「お待たせ致しました。国産牛を使った、当店特製ハンバーグでございます」
ギュルルルルルルル…
ハンバーグを目の前に、早くも下品そうな腹の虫が一つのテーブル席に唸り響き、
女性陣は「よほどお好きなんですね」と微笑んだ。

…いや、違う。この唸りは空腹の虫などではない。下腹部の消化器官から鈍く伝わる振動。
今まで余裕そうに振舞っていた男の顔色はみるみるうちに蒼白していった。
(ここで出したら…ハーレム生活終わるナリ…)
(でもこんな女性達を目の前に、チャンスをピンチに変えてしまうナリか?)
(当職だって弁護士ナリ。上級国民ナリ。ピンチをチャンスに変えユーモアとセンスを感じさせる
笑いを取りつつも、さり気なくお手洗いに行き、ユーモアながらも直積的ではない表現力、上質な
言葉遊びで食事の配慮とを両立させる。これこそ上級弁護士の振る舞いナリ!)

「ど、どうしたんですか?唐澤先生。いきなり立ち上がって…」
(よし、今がチャンスナリ!)
「と、当職のダークネスホールから、ミディアム仕立てのハンバーグが今にも…」
「唐澤先生?何かおっしゃいましたか?」
「なんでもな(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ
ドビュビュビュビュドバババババブッ!!!
ドリュルリュルウリュリィブブブブブブッッ!!!!ケツの穴からドババババババババッバ)」

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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