恒心文庫:アイスクリーム

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本文

あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )


叫び声をあげながら唐澤貴洋はベッドから転げ落ちた。
気が狂ったわけではない。悪夢のせいだ。
何やらうなされ、叫び声をあげながら起きる。
ここ数日それが続き、唐澤貴洋は実に睡眠不足だった。一日わずか10時間程しか寝れない。
安眠につけない原因は悪夢である。
しかし、唐澤貴洋はこの悪夢を起きた後に全く思い出せないのだ。
その為、自分が寝ている間何に苦しんでいるか定かではないのだ。
寝具を替えても効果はなかったところ、やはり心の奥深くに答えがあるに違いない。
唐澤貴洋は催眠療法を頼ることにした。

訪れた医院(と呼んでいいものか)はオフィスビルの中にあり、内装そのものもオフィスだった。
奥の部屋に通され、リクライニングチェアに案内される。
部屋の中は慣らさなくても目が効く程度の薄暗さだ。そしてセラピストを名乗る冴えない中年の男がやってきた。


ここまでしか覚えていない。


あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )


唐澤貴洋は叫び声を上げた。しかし、今度はベッドでなしリクライニングチェアから転げ落ちてるわけでもなかった。
唐澤貴洋は立っていた。部屋の中央に。
状況を求めて目、首がフル稼働する。
そして、理解した状況はやはり理解できなかった。

足元に倒れているセラピスト。
首からは血が溢れていて、既に息はない。死体だ。
そして、自分の左手に握られたボールペン。そして自身に彼から噴き出たであろう血に塗れている。

再度、叫んでしまいたいような現場だったが、唐澤貴洋は違和感と脳裏に火傷のような感覚を覚えていた。

自分は右利きなのになぜ左手にボールペン・・・?それにこの光景、以前にも見たことがあるような気がする。
夢・・・そうだ。いや、夢もだが違う。
これは元々記憶にある光景だ。
そして、セラピストじゃなくて転がっていたのは貴洋に

「やあ、唐澤貴洋。こんなところで何やってんだ。一緒に帰ろう。」
突然の声に驚き、驚いて振り返る。

この凄惨な現場のドアを開き立っているのは紛れもなく父だった。
      
「帰るぞ、唐澤貴洋」

「はいナリ」

唐澤厚史が二度目の死を迎えた瞬間だった。

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