恒心文庫:UNDER CONTROL

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本文

状況はコントロールされています。
当職の汚染水による影響は、ピュア虎ノ門4階の範囲内で、完全にブロックされています。

作業員は溢れ出る汚染水を、放射性物質を含んだ汚染水を、排出口に口をつけて、体の中に取り込んでいます。
周辺への影響はありません。

当職の燃料棒は熱くそして硬くなり、冷却を求めてさ迷っています。
もう一人の作業員が当職の燃料棒を口に含み、唾液と舌を使って燃料棒の暴発を押さえます。

汚染水を体の中に含んだ作業員は、臭いに耐えながら、そのタンクを少しずつ膨らませ、決壊の、その破滅の時が近いも知りつつも汚染水を一心に受け止め、燃料棒の冷却に取りかかる作業員は、唾液と粘液でベトベトになりながら、指定された形に口をすぼめて搾り取っています。

今ひとたび作業員の手が止まれば、終末時計の針は動きだし、世界はたちまち核で汚染されるでしょう。
どうか作業員に声援を。声なき声に力を。

ああ、ついにタンクが壊れてしまう。
腹がパンパンに膨れ上がり、口許からは固形混じりの汚染水が漏れだしている。決壊はもう時間の問題だ。
燃料棒は脈をうち、より熱く硬く反りたったそれは作業員の口に動きを許さないほど大きくなる。頬張り切れないそれから垂れた液体がスーツに染み込み妖しく蛍光灯に照らされている。



洋の嘔吐と共に山岡の口に入れていたぺニスが射精した。
当職を溺愛するあまり、息子のスカトロプレイに付き合わされている哀れな初老男性は腹に溜めていた糞を絞り出すように嘔吐を繰り返している。
明晰な頭脳を他人に取り入ることにしか使えなかったあまり、権力の犬となること厭なかった青年の顔にかけられた精液はいつもより濃厚で、鼻先にとどまったそれが垂れ落ちようかと揺れている。

結局世界は救えなかったし、ここにいるのも救われないものたちだ。
臭気が立ち込めた部屋の換気扇の音に掻き消されつつある時計の針は丁度週末が来たことを告げていた。
今週も土曜日は部屋の掃除から始まる。

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