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恒心文庫:酷評作品/ある弁護士の回想

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

当職は弁護士だ。

弁護士という職業は困っている人を護る仕事だ。それこそ警察や国セコ等とは本質が異なる。当職達、弁護士は“求められる”立場の者だ。コイツ等とは違う。

日本の弁護士会に認められるまで様々な事を頑張ってきたのだ。弁護士になる前の人生は臥薪嘗胆の日々だった。でも、幼い時に弟を亡くしたのが凡ての起点だった筈なのだ。

忘れもしないあの日。
当職の父も弁護士なのだ。幼少期は毎日、仕事で家には殆ど帰って来なかった。

当職と弟は夏の暑さに茹だりながら、我が家でアイスを食べてたのだ。
その日もいつも過ごす毎日と変わらない日だった。

ガラス外の庭で陽炎が揺らめいていた昼過ぎ。母は買い出しに出てて家には居ない。

好奇心と悪戯心で冷蔵庫に有った夜食用のアイスを二人で盗み食いしていた。外で食べようと弟が提案してきたので、まだ青い芝生が目立つ庭に色々持ち込んだ。

弟は小さい時から使っていたプラスチックで出来た低いテーブルを持ってきた。テーブルは擦りきれていたり、落書きが描いてあったり、凹みが出来ていたりとボロボロだった。

当職は木で出来たコンビニのアイス用スプーンを持って行った。母にはアイスを食べる時にはこれを使えと散々言われてきた。盗み食いしているのに、言い付けを守っているのは少し矛盾している。今でもこの行動は謎だ。

弟は元気が無さそうに表情暗く少し溶けたレモン味のアイスを食べていた。当職は既にメロン味を完食して机上にある弟のアイスを物欲しそうに見つめていたのを今でも鮮明に覚えている。

弟はもう半分溶けてしまってるアイスを「要らない」という様に当職に突き出した。当職はすぐに食い付き10秒も掛からず食べてしまった。その様子を弟が面白そうにクスクス笑っていたのが目に焼き付いて離れない。

あの日は普通の日な筈。そうなる運命だったのだ。


その後、弟は死んだ。死因は用水路に自分から落ちた自殺だった。


当職がアイスを完食した時には、弟は学習塾に行く時間帯になっていた。急いで塾の準備をした弟は慌ただしく玄関を出て行った。弟の最後の顔は輝く程の笑顔だった。

弟が消えた、僕の前から消えた。
弟は弱いから死んだのだ。
どうすれば弟が死なずに済んだのか?

誰かが護れば良かったのだ。

それからは必死だった。
毎日毎日、勉強の積み重ね。
努力に努力を重ねた。

今、手に入れている立場は人を護る為に有るのだ。この手から零れる命を護る為に有るのだ。今、当職の胸に光る弁護士バッチはその証だ。その後は同僚の山岡君と一緒に事務所を開いてからは、二人で依頼人の為に全国を回っていた。

当職はその時にこの先、戦友として共に闘う仲間に出会う。

彼は三十万円を片手に我らが法律事務所クロスに乗り込んで来た。茶色く染めた肌に派手な金髪の自称嵐の相葉君似の馬鹿そうな男だった。どうやら高校生を卒業したばかりの彼はネット掲示板2ちゃんねる管轄の『なんj』という場所で誹謗中傷や住所特定を受けて困っているらしい。

当職は早速、なんjの運営に削除要請を申請した。馬鹿男を批判する掲示板も作られていたので中傷発言した者のIPを開示を請求したり等と最初は上手くいっていた。

IP開示で脅して、この騒動は収まると思った。後に安易な考え方である事なのを悔やんだ。ハッキリ言ってなんjの奴らを舐めていたのは事実だ。

普通、誹謗中傷の書き込みはIP開示→民事訴訟は殆ど現実的ではない。ほぼ無理と言っていいだろう。
それがなんjの奴らにバレてしまったのが生涯最大の失態だった。

その後、他の依頼が来たので自称相葉君から三十万を貰って、一応その場しのぎに終わった。

来た依頼が早めに終了したのでTwitterの事務所公式アカウントで色々な方々をフォローしたり、当職の思想ミームを拡散して欲しくてコメントを呟いてみたりしたら心が軽くなった。弟の事を呟いた時はまるで突っかかっていた物を吐き出した様な気分だった。

後々になって山岡君の依頼で2ちゃんねるを流し見していた。そこで見たのは最悪最低の書き込み。

「唐澤貴洋○す」

簡潔な一言だった。当職への殺害予告だ。

当職は自分の目を疑って何度も擦った。他にも殺害予告されていた。色んな言い回しがあった。爆○する、殴り○す、銃○する、と本当に色々あった。

中でも、当職の堪忍袋を刺したのが
「唐澤貴洋○す」だった。

簡潔だからこそ腹が立つ。当職は依頼そっちのけで開示して民事訴訟を起こした。当然、何もしていない当職の勝利だった。書き込んだのは、いたいけな少年だったが仕方ない。犠牲の上に出来た平和は安定するのだ。その子は泣きながら訴訟だけは止めてくれと言ってきたが、当職の決意は固く止まらなかった。

一人晒したお陰で殺害予告は止まると思った。それも間違いだった。アイツ等がここまで頭がイカれてるとは思わぬ計算外だった。殺害予告は止まる所か、前に増して書き込まれた。殺害予告以外にも当職の揚げ足を捕る様な投稿もあった。

その後、当職は...

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