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恒心文庫:全ての起点

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

田舎少年はスケベなことしか考えないというのが通説であるが、石川県の片田舎に生まれた山本少年も例に漏れず、頭の中がスケベであった。
幼い頃から成績優秀だった山本少年は、両親に与えられた勉強部屋に篭り、毎日欠かさずちんぽをしごく。娯楽の少ない田舎で、オナニーは少年にとって貴重な娯楽のひとつなのだ。

山本少年が性に目覚めたのは六歳のときである。はっと目が覚めてしまった真夜中、寝付けずごろごろしていた彼は、何度も寝返りを打っているうちに奇妙な感覚を知った。
うつ伏せになっているとき、ちんちんが布団に当たるとなんとも気持ちがよいのである。食事の喜びや睡眠の心地よさとは全く別の、如何ともしがたい新たな感覚に山本少年は囚われてしまう。
よりよい感覚を得るべく、ちんちんを押したり擦り付けたり、涙ぐましい試行錯誤を繰り返し、彼は「手でちんちんをしごく」正統派オナニーに無事辿り着いた。

正統派オナニーを会得すると同時に山本少年は、物理的な刺激だけではなく精神面からのアプローチも重要だと考え始めた。つまりは妄想である。エッチな妄想をしながらちんちんを触るほうが絶対に良いはずだ。
しかし悲しいことに、山本少年はまだ小学生だった。妄想を掻き立てる生のエロスに触れたことなどなく、紙のエロスに触れたことすらない。あるのはなんとも切ないちんちんだけ。
山本少年は決意する。おっぱいを見ようと。1たす1が2であるのと同じ理屈で、おっぱいはエッチなのだ。僕はエッチなものを見なくちゃいけない。僕は僕のちんちんに悲しい思いなんてさせるもんか。

次の朝、山本少年は同じクラスの友達七人に「おっぱい見に行こうぜ」と誘う。
「裏山にエッチな本いっぱい捨ててあるから、放課後みんなで見に行こう」
山本少年と同じようにスケベな田舎少年たちは喜んでそれに賛同した。
かくしてエロ本山に辿り着いた山本少年一行は、打ち捨てられていたエロ本を手に取った。人生初のエロスを目の前に、山本少年は武者震いのようなものを起こしていた。
今から僕は、おっぱいを見るんだ。
えいっ! と心の中で掛け声をかけ、ページを開く。視界全面にエロスが広がった。

「?乱な人?の?求??な??」
「??で?り広げられる?らな?事」
「?れた?みを?く??肉?」

人生初のエロスに、山本少年は大変な衝撃を受けた。まさに天地がひっくり返るような衝撃である。
彼は何も感じなかった。あんなに求めていたはずのおっぱいを見ても、まるで何も感じなかったのだ。一体これはどういうことだ?
視線を上げ、友達七人に目をやった。彼らは夢中でエロ本を貪り見ている。
ふと山本少年は、友達の一人のズボンの前あたりが、少しふくらんでいることに気がついた。
山本少年はエロ本を閉じ、そのふくらみを、ひたすらじっと見つめていた。

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