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恒心文庫:魔眼

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

当職の目を見てはいけないのです。
弟は当職の瞳を見てしまった。そんな弟を操り自殺させる。
弟は必死に抵抗しようとして、苦しみ抜いた表情で自分自身を殴り続け、高い所から飛び降りたりして身体中を傷だらけにしていました。
そして、何時しか生命活動を停止していました。
それは容易い事でした。
弟は当職の目を見ただけなので、当職が弟の死に関与しているという事は警察にもわからないでしょう。
弟は悪い者達と関わっていたので、警察は内部抗争だと勝手に勘違いしてくれました。

この能力は人生をつまらなくさせてくれます。
父はすでに支配下にあり、ただただ甘やかしてくれます。
人を見つめるだけで支配下におくことができるせいで、何をしても思い通りになってしまう。
自堕落に過ごした日々もありましたが、なんとなく弁護士になってみました。
なぜ当職は、当職の弁護士として得意な分野をインターネットと当職のホームページに書いているのでしょうか。
弁護士は人と向き合う職業です。しかし当職のこの能力をもってすれば悪は善に変わり、白は黒に変わります。
裁判所が緑で塗られている、とアメリカでは金銭による不正を糾弾したりもしますが、当職は金銭すら必要ないのです。
やはり、飽きてしまう。
そこで出会ったのがインターネット上での問題解決の依頼を受ける事でした。

何しろ、インターネット上での誹謗中傷では、仮処分をへて開示を行い、プロバイダーと裁判を行う。
おおよそ1.5回分の裁判を行い初めて相手方と顔を合わせることができる。
当職は当職の能力を思うように使う事が出来ず、悪戦苦闘する日々を過ごすことが出来て充実していました
そう、依頼人の炎上が燃え広がるたびにその行方を見て、当職はほくそ笑んでいました。
そして炎上の火の粉は当職にも降りかかってきたとき、ああ人生がうまくいかないことは楽しいなあ、と感じていました。

しかし、段々と当職に刃向うもの達は集団ストーカーの様相を呈してきました。
そして、直接に当職の事務所に会いに来る。これはいけない。
当職の写真を撮影しようとして、当職の瞳を見てしまう悪い者。
悪い者は当職と目が合うとすぐさま、当職の奴隷になりました。
そして悪い者達が集まる掲示板で、これまでの事を悔いた書き込みをさせる。
悪い者達が混乱する姿を見て、当職の笑わずにはいられませんでした。
連日、悪い者たちはあの手この手を使って当職の事務所を監視する。
そしてまた一人、また一人と当職の魔眼の餌食が増えていく。
ミイラ取りがミイラになる、まさにそんな状況でしょうか。
そんな生活も悪くはないと、当職は思い始めてきました。

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