炎上弁護士/本文
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【唐澤貴洋殺す】雑談★149【挫折経験のない、意識高い系の幸せそうな人たち(40)】 232 :無名弁護士:2018/12/15(土) 12:04:26.70 ID:ZEQFKjXY0 >>103 ガチればテキスト化も余裕(誤字脱字がないとは言ってない) http://txti.es/jfgte http://txti.es/qtxqi http://txti.es/b5e1n http://txti.es/wienf
炎上弁護士満絹の唐澤貴洋
まえがき
2018年10月30日午後10時。私は、アベマTVの「アべマプライム」という番組からの出演依頼に応じて、テレビ朝日のスタジオにいました。
そこには、私が長期にわたり炎上する原因となったインターネット掲示板の管理者であった西村博之氏(以下、西村氏)がいました。
西村氏は、過去に自身の著書『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』の中で、掲示板管理者として法的責任を問われ、損害賠償金の支払いを裁判所に命じられたにもかかわらず、
「裁判に負けても賠償金は支払っていません」と明言していた人物です。
そして、彼は、今現在も2ch.scというサイトの管理者と目されている人物です。
アベマTVとは、サイバーエージェントとテレビ朝日が母体である、パソコン・スマートフォン向けの無料で視聴できるインターネットテレビであり、一般の放送事業者ではありません。
そのため、放送法の縛りやスポンサーへの付度などがゆるく、かなり突っ込んだ意見を言ったり、議論を交わしたりすることができるメディアです。
そのメディアで、私の「炎上」 のきっかけとなった「2ちゃんねる」の西村氏に、 直接、管理者としての責任を問うことができるので、出演を決めました。
しかし、当日渡された台本を見ると、テーマは、「2チャンネル創始者のひろゆきさんと、インターネットの歴史と功罪にせまる」という、西村氏が当事者というより は、第三者的な、評論家的な立場で番組に関与することがわかりました。
そこで、私は、アべマプライムのスタッフから渡されていた台本を一切無視して、 西村氏にインターネット掲示板の管理者としての責任を問う戦いを挑みました。番組は生放送です。
自身が運営するインターネット掲示板で、被害者が発生していることについてどう思っているのか、管理者として対応することはないのか、を間いました。
生放送の結果、インターネット上でどのような評価がされようとも私は気にはして いません。問わなければいけないことがある、ただそれだけです。
私は「炎上弁護士」と呼ばれ、揶揄されることも多々あります。 炎上していようが、私は弁護士です。 弁護士として言わなければいけないことがあります。
本書では、その言わなければいけないことを、率直に言います。批判を恐れずに。
日本のスマートフォンの個人保有率は、2015年には5割を超え、あらゆる人が インターネットを常に利用できる環境となっています。
インターネットは、情報を調査し収集するのにとても有用なツールですが、利用の仕方によっては、とても危険なものにもなります。
私が体験したことをお伝えする本書を通じて、一人でも多くの方々に、インターネットをめぐる問題が共有され、より健全なインターネット利用がなされることを願っています。
最後に、本書の出版にあたって、ご尽力いただいた関係者の方々へは、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
2018年11月 唐澤責洋
目次
まえがき 1
プロローグ
100万回の 殺害予告が来るまで
- ―誕生日に突然、見知らぬ人から郵便物が届いた
自宅に届いたレターパック 14
第1章
なぜ、僕が 炎上弁護士に なってしまったのか
きっかけは「2ちゃんねる」 30
そして、ついに殺害予告が来る 36
被害はついに家族に及ぶまでになった…… 40
第2章
弁護士を目指した きっかけは、弟の死
私には年子で仲良しの弟がいた 48
壮絶なリンチの末、弟は自死を選んだ 50
戦えるだけの力をつけた大人になりたいと誓ったあの日 55
弟の死でバラバラになりかけた家族を救った父 57
第3章
落ちこぼれが 弁護士に なるまでの茨の道
恵まれた家庭に生まれ育って 62
ツマラナイ大人になりたくないと、高校1年で中退を決意した 64
ドロップアウトしたものの、何をしていいかわからない 67
何があっても見守ってくれた家族 71
定時制高校へ入学。社会とのつながりが再び持てた 74
人より3年遅れて大学に入学する 79
自分が欲しいと思っていた力が法曹の世界にはある 84
誰もやっていないことをやろうと決意が固まったインターンシップ経験 87
第4章
弁護士に なってからも 茨の道は続いた
最初の事務所を半年で辞めることに 94
ネットの誹誘中傷案件を担当して…… 97
被害は拡大し、悪質を極める 98
親子関係の未熱さがネットに走らせる? 105
唐澤責洋という"記号"を利用して"居場所"を探す人々 108
事務所の鍵穴にボンド、実家の墓に落書き……被害はエスカレートしていく 112
ついに、なりすましによる爆破予告がなされる 119
爆破予告をした人物が逮捕された! 122
第5章
ネット社会のゆがみ、 人の心の闇を 思い知らされた
私が考える炎上の定義とは 128
誰が、なぜ炎上行為を行うのか 131
インターネットが凶悪犯罪の温床に 誰もがネット犯罪に巻き込まれる時代がそこまで来ている 140
正義は多数決では決まらない 142
ネット炎上にどう対応していけばいいのか 144
第6章
100万回の 殺害予告を受けても、 僕は弁護士を辞めない
フェイスブックによる反論 150
炎上で私の生活環境は一変した 156
個人主義が根づいていない社会 161
プライバシーなどの暴露の手口 166
エピローグ
すべては人権のために
新たな被害者が今でも生み出されている 172
ネット広告の功罪 176
被害者を守る法律をつくりたい 177
なぜ被害者を守る法律がないのか 185
インターネットは新しい非行・犯罪の温床に 188
未成年者のインターネットの使い方 190
信念は曲げない 194
それでも僕は人を救いたい 199
あとがき 205
装丁 ナカジマブイチ (BOOLAB.)
プロローグ
自宅に届いたレターパック
私が38回目の誕生日を迎えた2016年1月4日。仕事を終えて、深夜、自宅に戻ると、見知らぬ人からのレターパックがポストに届いていた。
差出人の住所も名前も、心当たりがまったくない。それなのに、レターパックには自宅の住所と私の名前が書いてある。
私は瞬時に嫌な予感がして、悪寒がした。
その場でレターパックを開けて見てみると、A4判5枚ほどの小説のようなものが入っていた。[1]気味が悪すぎて内容はよく読まなかったが、
おどろおどろしい幽霊のような字体のフォントで書かれたものを見て、「やっぱり……」と目の前が真っ暗になった。
「ついに自宅まで特定されてしまったか」と絶望して、その場に立ち尽くした。
詳しくは後述するが、これまでも、私は数多くのプライバシー侵害を受けてきた。インターネット上での私への誹諾中傷は、2012年から現在に至るまで、ずっと続いている。
インターネットの検索エンジンで、私の名前「唐澤貴洋」を検索すると、とてつもない量の書き込みが出てくる。その多くは掲示板やSNSで私をネタとしてからかい、揶揄して、勝手にねつ造されたものばかりである。
最初は誹謗中傷程度であったものが、それだけにとどまらず、私への殺害予告、私の弁護士事務所への爆破予告と書き込みの内容もエスカレートしていった。
そして、事務所のある建物に侵入した動画をネットで公開する、事務所の入り口に私を中傷した落書きを残す、カミソリ入りの手紙を送ってくるなど、悪質なイタズラによる実害もこうむっている。
あるときは、私の後ろ姿を撮影した写真までがネットに公開されることも……。
弁護士という仕事の特性上、事務所の所在地を公開するのはやむを得ないこと。
実害に対して嫌悪感や恐怖心は抱きつつも、ネットでの言動がエスカレートしている状況を鑑みると、事務所への実害は想定の範囲内ではあった。
しかし、ついに自宅まで突きとめられたとなると、身の危険を一層感じざるを得なかった。
不安と恐怖に駆られながら、パソコンを開いて、インターネットを確認した。すると、私について書かれている掲示板の中で、やはり私が住んでいる自宅のマンション名が明記されていた。
レターパックの宛先を再度確認すると、部屋番号までは記載されていない。
つまり、レターパックの送り主は部屋番号までは特定できなかったということだ。
ただ郵便局貝が気を利かせて、親切心でレターパックを私の自宅ポストに投函してくれたのだろう。
しかし、配達記録が残るレターパックを私が受け取ったことで、配達完了が送り主に伝わってしまったことになる。いずれ不審者が私の自宅マンションに来て、事務所と同様に不法侵入やイタズラをするのは間違いない。
「このマンションにはもういられない」
そう思うと、心臓の鼓動が早くなった。
すぐに私は家を出る決心をした。
同じマンションの住人や、お世話になっている管理人に迷惑をかけるわけにはいかない。
私の居場所がバレているのであれば、当然、自分も危険な目に遭うかもしれない。このままでは安眠もできない。もうここでは平穏な日常が送れない。
そう判断して、私は外に室内の光が漏れないよう、暗い部屋の中で日常生活に必要な最小限の荷物をトランクひとつに詰めて、深夜に部屋を出た。
マンションを立ち去る前に、住所がネットで明かされた今となっては、同じように不審な郵便物が次々と届くことが頭に浮かび、ポストの差込口にはガムテープを貼って対応した。
その後、自宅マンションから遠く離れたホテルに移った。これでしばらくはホテル住まいになるだろうと、内心穏やかではなかった。
なぜ私の自宅マンションが特定されてしまったのか……。
推論の域を出ないが、おそらく私の出身大学のデータベースで、住所が判明してしまったのだろう。
その日見たインターネットの投稿の中に、「大学のデータベースを見た」と書かれていたのだ。
私の出身大学では、在校生であれば、OB・OGの個人情報が簡単に見られるシステムになっている。
個人情報が見知らぬ第三者に勝手に盗み見される危険性を、大学の広報に伝えたが、なしのつぶてであった。
ちなみに、私に対する殺害予告が同大学のIPアドレス(インターネットに接続された機器が持つナンバーで、インターネット上での住所のようなもの)からなされたときにもクレームを入れたが、大学側からは一切報告がなかった。
逆に「何も答えない」という事実から、やはり情報源は大学のデータベースなのだと確信している。
大学のシステムが現在どうなっているかはわからないが、少なくとも2016年の段階では、大学の個人情報の管理がきちんとなされていなかったこと自体に、私は相当の危機感を抱いている。
嫌がらせは自宅への郵送物だけではない。
インターネット上でも、赤の他人である人物の近しい関係者であるかのように書かれることもしばしばだ。
たとえば、2014年5月、岩手県で開催されていたAKB48握手会での傷害事件の犯人として、私がインターネットで誹譜中傷されたことがあった。
新聞にも載った事件なので覚えている方も多いと思うが、背森県の24歳男性が、改造した折り畳み式のこぎりで、入山杏奈さんと川栄李奈さんと男性スタッフの計3名を襲った事件だ。犯人はその場で現行犯逮捕された。
当然、そのとき私は岩手県にもいないし、犯人はその場で捕まっているのだから、犯人であるはずもない。
しかし、ツイッター上では、なぜか私が犯人だということで盛り上がっていたのだ。
最近の話でいえば、2017年には元SMAPの3人が所属するCULENという事務所が、偶然、当時私が構えていた虎ノ門の弁護士事務所の隣に入居してきた。
すると、雑誌やテレビの記者から「CULENの顧問弁護士になったのですか?」「関係者なのですか?」などと問い合わせが殺到した。インターネットでの書き込みを鵜呑みにしたマスコミが、真偽のほどがわからずに確認してきたのだ。
また、同じ年の9月に『週刊文春』で不倫疑惑が報じられた山尾志桜里衆議院議員の相手として、私の名前が取り沙汰されたこともある。私は山尾議員と面識もないどころか、当然、不倫相手でも何でもない。
その号が発売される前日に、あるジャーナリストが「山尾議員の相手はK弁護士」とツイッターに書き込んだのを見た人たちが、ツイッターに「K弁護士は唐澤じゃないか?」と書き込んだのが発端だった。
それが思いも寄らぬほど拡散していった。完全なるフェイクニースを流されたわけである。
都内の某テレビ局が実際に、アポなしで取材に来たことで、私はその事実を知った。
アポなしで来た方には、「その書き込みを本当に信じたのですか?」と問うて、帰っていただいた。
さらに不謹慎で悪質だった投稿もある。
「法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士」というツイックーのなりすましアカウントが、昨年お亡くなりになった小林麻央さん(享年34歳)の〝叔父〟を騙り、「私の姪の小林麻央、先ほど亡くなられたとの第一報」という投稿をしたのだ。
私が書いたものでないことは明白だし、そもそも当時39歳の私が、小林麻央さんの叔父であるはずもない。
お亡くなりになったという正式発表の会見がある何時間も前に、私のなりすましアカウントをつくった人物が、そうした心ない投稿をしていたのだ。
実際にテレビ局、スポーツ新聞、大手新聞社の記者からの問い合わせがあっただけではなく、ツイッター上では多数の非難がなされ、大炎上していた。
その内容は、「親族でもない人間が勝手なこと言うな」「この唐澤っていう弁護士はおかしい」などであった。
私はその日のうちにツイッター社(ツイッター・ジャパン)になりすましアカウントの削除請求をしたが、それは受け入れられなかった。
しかし、さすがに死者を冒涜するような行為は悪質すぎるため、犯人を特定しようと、私はすぐに動き出した。ツイッター社に発信者のIPアドレスを開示する仮処分手続きをとったのだ。
実はこの捜査はまだ継続中であるが、私としては法的手続きに則った情報開示による情報をすでに得ている。
犯人は、この本を興味本位で手にしているかもしれない。良心の呵責があるのならば、自ら名乗り出てほしいと思っている。[2]
このように、社会的に有名な方々と私が紐づけられ、SNS上でのなりすましアカウントが勝手に根も葉もない投稿をし続けていると、私を知らない人たちからすれば、本当に「唐澤貴洋」という人間が情報発信していると誤解してしまうだろう。
刑事的には業務妨害、民事的には人格権侵害として、損害賠償請求の対象にもなりうる案件であるにもかかわらず、いまだに無法地帯であるのだ。
さらに、私が驚いたのは、インターネット上のフェイクニュースを本当の事実であると誤解して、アポなしで突然マスコミの方々が取材に来ることだ。
実際に私の事務所を訪れるならまだしも、実家の両親に対して「息子さん(=私)が容疑者とされていますが……」と問い合わせがいくこともたびたびあった。
事件や訃報、話題の出来事に何の関係もない私の名前が紐づけられ、インターネット上で取り上げられるたびに、マスコミの方々が押し寄せてくる。
たしかに、現役の弁護士が何かの事件の当事者、しかも加害者となれば、ニュースは盛り上がるのかもしれない。しかし、私がインターネット上で被害に遭っていることは、少し調べればすぐにわかることだ。
私に関するフェイクニュースも、情報源が信用できなかったり、私とはまったく関係がないとすぐに判明したり、不自然で怪しい文脈だったりするため、本来なら情報を扱うプロであるマスコミの方々が惑わされることはないはずだと思っていたが、
実際にマスコミの方々からの問い合わせがこれだけあることを考えれば、そうした知識を持ち合わせていない一般の人たちがインターネットの情報をたやすく信じてしまうのは仕方がないのかもしれない。
従来、マスメディアがマスメディアとして機能していた時代は、番組でのコメンテーターや芸能人などのタレントの発言も、ある程度スクリーニングされていたように記憶する。
つまり、扱いの大きさも含めて、報道すべきか否かの判断基準が少なからずあったように思う。
ところが、各個人がメディアを持ち、自分の意見や主義主張を、世間の目などのフィルターを通さずに情報発信できる現代にあっては、情報そのものが玉石混交であることを認識したうえで、各自が判断していかないとならない時代になっているのだ。
そうした時代背景を考慮しても、情報を精査すべき立場のマスコミの仕事に就いている記者が、インターネットの情報を鵜呑みにして問い合わせすることが少なくないことに正直驚きを隠せない。
このことは非常に恐ろしい事実であるので、改めて多くの人に知っていてほしい。
たとえば、法律家は論証の中で「多くの人間が言っていることが、論理的に正しいわけではない」という考え方を学ぶ。インターネット上で飛び交う情報の多くは、根拠がなく、真偽も厳密に精査されないまま、容易にリツイートやコピーをされて、拡散していく。
多くの者がリツイートやコピーをした記事は、多くの者が賛同しているという一点で、信用されているのだ。
ウソで塗り固められた意図的な情報操作も簡単にできてしまう。こうした危険性を理解したうえで、自戒も込めて情報を取捨選択していかねばならない。
今回、私が本書で伝えたいのは、人々の生活に必要不可欠になったインターネットは、使い方次第で恐ろしい道具にもなるということである。
これから紹介する私に起こった出来事は、決して他人事ではなく、誰でも当事者=被害者になる可能性があるということ。
人知の結集であるインターネット技術が進歩した現実世界に、それを利用する人々のリテラシー、そして、人々を守るべき法律が追いついていないこと。
こうした状況に警鐘を鳴らしたいのだ。
残念ながら、現行の法律では、インターネットによって被害を受けた人たちの権利を守り切ることができない。
インターネットがこれだけ人々の生活に密着する前にできた法律であるため、本書で起こったような事態は想定されていなかったのだ。
しかし、私は弁護士を生業としているので、いち法律家として、現実に見合った法律をつくりたいとも思っている。
法律をつくるのは一朝一夕にはいかない。
10年単位の年月がかかる大仕事でもある。その間にも、インターネットを利用した悪意により、誰かが傷つけられ、誰かが被害に遭っている。被害者は刻一刻と増え続け、追い込まれている。
本書がそうした現実を改善する一助となればという思いから、筆をとった。私の身に起こったこと、その経緯、今後の課題などをわかりやすくお伝えして、そうした事態に陥らないための道しるべとなれば率いである。