「インターネット上の誹謗中傷と業務妨害」の版間の差分
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インターネット上で不特定多数の方から誹謗中傷を受けた[[唐澤貴洋]]がその被害の内容を詳細に語っている。 | インターネット上で不特定多数の方から誹謗中傷を受けた[[唐澤貴洋]]がその被害の内容を詳細に語っている。 | ||
2015年3月24日 (火) 14:33時点における版
インターネット上の誹謗中傷と業務妨害(いんたーねっとじょうのひぼうちゅうしょうとぎょうむぼうがい)は、唐澤貴洋が第一東京弁護士会会報「ICHIBEN Bulletin」平成25年4月号に寄稿したコラムである。
概要
唐澤貴洋が委員を務める弁護士業務妨害対策委員会のコーナー「業務妨害対策だより」のコラム。 インターネット上で不特定多数の方から誹謗中傷を受けた唐澤貴洋がその被害の内容を詳細に語っている。
この中で、自分が受けた誹謗中傷問題に関する公のコメントを出したのは今回が初めてであること、事務所ビル[1]を撮影した人の監視カメラ画像や送られてきた年賀状の指紋を警察に提出したことを明かした。
全文
業務妨害対策だより □弁護士業務妨害対策委員会 ■インターネット上の誹謗中傷と業務妨害 1 私は、昨年、業務妨害対策委員会に入会させていただいてまだ1年にも満たない新任委員である。 今回は、私がなぜ同委員会に入会させていただいたのかについて理由を述べ、最終的に業務妨害というのは、今の時代どの弁護士にも起こり得るのだということを知っていただければ幸いである。 2 私は、インターネット上の名誉棄損問題をよく取り扱っている弁護士である。 私が、ある事件で被害者への権利侵害へ法的対応をすべく、インターネット上における誹謗中傷記事の発信者を特定する作業を行ったことで、私に対する不特定の人物らによる誹謗中傷が始まった。 かかる誹謗中傷について、業務妨害対策委員会の委員にご相談させていただき、大変親身になってお話を聞いていただく機会を得た。 それをきっかけに、私は、自分の経験を通して、インターネット上の誹謗中傷による業務妨害には今後弁護士として対応していかなければならないと思うようになり、同委員会に参加させていただくことになった。 3 私に対する誹謗中傷のやり方は、質問サイトで私に対する質問回答がなされ、私を誹謗中傷する質問回答が投稿されるといったものや、 私の名前や事務所名と誹謗中傷文言を並列して記載し、検索エンジン上の関連検索キーワードやサジェストワードで否定的な文言を表示させる、私を誹謗中傷する文章を至るところに掲載する、 私に成りすまして意味のわからない文章を投稿する(私が、私に生じた誹謗中傷事件についてコメントを外部の公表するのは本文書が初めてである。)といったものであった(複数の件については刑事告訴済みである。)。 インターネット上の誹謗中傷において、必要とされるのはネタ探し(インターネット上ではネタは「燃料」と呼ばれる。)である。 誹謗中傷を行う者たちが、様々なソーシャルメディアやウェブサイトに点在している私の家族構成、学歴、容姿などの情報(虚偽の情報が多いが)を集めようとし、私のネタが探された。 あるソーシャルメディアで、私の情報を収集するために、私の友人たちに友達申請を行うという事態も起こった。 さらに、インターネット上で生じた誹謗中傷の炎は、仮想空間に留まらず、現実空間で行動する者も生むに至った。 私の所属する事務所まで来て、写真(事務所の看板や事務所が入居するビルのトイレを被写体として)を撮影し、インターネット上に掲載していく(かかる人物については、防犯カメラから写真を現像し、警察署に提出済みである。)。 意味のわからない年賀状が多数届くという事態も生じた(これについては、指紋を採取するために警察に提出済みである。)。 誹謗中傷に留まらず、業務妨害罪、若しくは、脅迫罪に該当する、私に対する殺害予告も多数なされている(複数の件について被害届について提出済みである。)。 4 以上の誹謗中傷による業務妨害が起こる危険性は、誹謗中傷の程度はあるにせよ、インターネットが普及した現代においては、多かれ少なかれどの弁護士にもあるのではないだろうか。 なぜならば、弁護士の仕事柄、誰かの利益を守るということは、誰かの利益と対立することに繋がり、対立した者から恨まれる危険性は常にあるからである。 会員ご自身のお名前や事務所名で検索をしていただければ、その危険性に気づかれるかもしれない。 誹謗中傷による業務妨害は、通信設備の設置コスト、通信料以外はほぼコストがかからずできる妨害方法であり、妨害している側は潜在的なコスト(民事刑事リスク)を現実的なものと認識していないため、容易になされるという面がある。 インターネット上の名誉棄損問題は、国境を跨ぐことがあったり、匿名化を実現する技術が進歩していることにより、対応策も日々進歩を迫られている分野である。 かかる問題においては、弁護士ならずとも多くの被害者が日々発生している。同問題への対応策は、容易ではないが、私としては、弁護士として対応していかなくてはいけない分野であり、また、業務妨害対策委員会の委員として、何らかの貢献ができればと考えている。 以上 (弁護士業務妨害対策委員会 唐澤貴洋(63期)) 弁護士業務妨害対策委員会についてのお問い合わせは、当会会員課(電話03-3595-8580)までお願いします。
脚注
- ↑ 事務所をアイオス五反田駅前に移転する前