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「恒心文庫:ココアの季節」の版間の差分

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2021年5月7日 (金) 22:09時点における版

本文

12月に入り、街はすっかり冬の装いを初めた。
街ゆく人々はコートやマフラーを着用しながら寒そうに肩をすくめ足早に歩く。
彼らは信号待ちの間、息を吐いて白くなるのをみては、もう冬だなと実感する。
クリスマスの装飾があちらこちらで始まり、正月用の鏡餅も売られ始める。
駅や街角では年賀状を売る光景が見られ、人々は今年の終わりと新たな年の始まりとをそこかしこに見出すのである。
誰もが幸せになる季節であるが、やはり寒さは身に堪える。
この季節、特に寒さを感じるのは朝である。
そんな朝、目覚めの一杯に私が愛飲するのはココアなのだが、私の飲むココアは普通のそれとはだいぶ違う。
コピ・ルアクを知っているだろうか。ジャコウネコの排泄物から未消化のまま出てくるコーヒー豆のことであるが、私はこれにヒントを得てココアを作ることにした。
ジャコウネコがどこで捕まえられるのかおよそ私には見当がつかぬので、ネコはネコでも人間のネコを捕まえることにした。 
いたぶってやるといい声でなくネコである。
古くからの友人であり、ある意味ではライバルである彼を部屋に連れ込み、ココア専用サーバーとした。
仕組みはこうである。
彼は全裸で、和式便器に跨がる容量で座っている。白いモミアゲの周りをほんのりと赤く染め、一丁前に恥じらいを見せている。
そんな彼の口に大量のココアの粉末と水とを流し込む。むせながらも彼はそれを懸命に飲み込む。
私はミルクココアが好きなので、これにミルクを加える必要がある。
はじめのうちは牛乳を加えていたのだがどうやら私の母乳を与えたほうがコクが出るらしいとわかり、爾来そうしている。
男の私の乳首に吸い付いてはちゅうちゅうと乳飲み子のように私の母乳を貪り飲む。
左の乳房が空になれば右の乳房を求め、それすら空になると私の陰茎に吸い付き精液を飲み込む。
さて、全裸で彼をおいていると言ったがそれにはわけがある。
この寒い季節、全裸で放置しておくと寒さで震えるのだが、この振動が素材の撹拌に役立つのだ。
小刻みに震える彼の胃や腸を素材が通過しよく混ざる。
かつ、全裸であると体が冷え、下痢になりやすくなるのだが、まさにこれが好都合なのである。
彼の体を未消化のまま通過し、文字通り人肌に温められたココアが爆音とともに彼から放出される。
マグカップに注いで、ゆっくりと味わう。ココアの風味、母乳の香り、たまに混ざるコーンやニラ。
これらが温かいココアをより一層美味しく引き立てる。
年の瀬迫る師走である。忙しいこの時期もゆっくりとほっと一息つく必要があろう。
温かいココアを一杯いかがだろうか。
体のそこから温まること請け合いである。

(終了)

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