マヨケーがポアされたため、現在はロシケーがメインとなっています。

「恒心文庫:高速バス吐瀉物」の版間の差分

提供:唐澤貴洋Wiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
>チー二ョ
(ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> '''高速バス吐瀉物''' 明日は岩手で同期の送別会。 大手の大沢務所から独立し、自立を目指す僕は自分…」)
(相違点なし)

2021年2月21日 (日) 18:00時点における版

本文

高速バス吐瀉物

明日は岩手で同期の送別会。
大手の大沢務所から独立し、自立を目指す僕は自分で交通費を出す。
僕は節約も兼ねて長距離バスを利用して行くことにした。
 
長距離バスの利用は初めてだったのでバス乗り場がわからず大遅刻、
搭乗するさいにみんなから冷ややかな目で見られてしまった。
冷ややかな視線に中学時代を思い出す。「自分はハイパーメディアクリエイターだ、
こいつらとは違う」とそう思いこみ、嫌な気分をかき消した。

僕が乗る長距離バスは4列だ。値段で選んだのは失敗だった。
狭いシートに尻が痛む。
到着するまで寝ようと思ったが隣が僕より若くてイケメンな男性ということもあり緊張して寝られなかった。
そこで僕は小腹を満たすためにバス乗る前に買った王将を食べることにした。
ガサゴソと包装紙から餃子を取り出し口いっぱいにほおばる。たまらない。
 
餃子の醤油が濃かったのと車内が乾燥してるせいもあってウーロン茶はあっという間に空になった。

腹を満たしてしばらくするとバスは佐野SAで休憩についた。
佐野SAにはいろんな店があり僕は時間を忘れて食べ歩きした。
再びバスに乗り、バスは目的地の岩手へ向けバスは出発したのも束の間、
僕に凄まじい吐き気が降りかかった。
「もぉダメェ!!我慢できないナリ!!吐いちゃうナリィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!」
齢三十九にもなる男の奇声が岩手行きのバスの中でこだました。

高速バス吐瀉物その2(隣の男視点)

コンサルタンの企業を辞職し、転職活動もひと段落し明日は岩手で同級生がお疲れパーティーを開いてくれる。

いよいよ弁護士として独立し、経済的にも社会的にも自立を目指す私は
当然自分で交通費を出す。

私はお財布もキツイし節約も兼ねて長距離バスを利用して行くことにした。
 
バス乗り場で予定通りに乗車。
一人遅れているらしく、中々バスは動かない。
ようやく表れたかと思ったら悪びれもせずズンズンこちらに歩いてくる。

ゲッ、もしかして隣の席はコイツなのか、最低な気分だ。
「自分はハイパーメディアクリエイターだ、こいつらとは違う」とかボソボソ喋っていて
見るからに怪しげな自分より年上の男性。

早く降りたい!なんでこんなのが隣なのか!私が乗る長距離バスは4列だった。
値段で選んだのは人生最大の失敗だった。

どうにかして到着するまで寝ようと思ったが、
隣の自称クリエーター?の荒い呼吸と妙な油の匂いが気になって眠れない。

しばらくするとキモイコイツは何やら鞄を開けて何をするかと思ったら、
何と王将の袋を取り出してる!メチャありえないんですけど!!助けてお袋。もう涙目になっている。

ガサゴソと包装紙から餃子を取り出したかと思うと口いっぱいに噛り付きクチャクチャと不快な音を立てている。
キツイ油の臭いも広がって社内の空気は最低だ。

ボロボロこぼして口に詰めてる。


気分は更にどん底になった。

ウーロン茶は空になったのにズゴコココと大きな音を立てて吸っている。

流石に限界を感じイライラが爆発しそうになると、バスは佐野SAで休憩に入り出した。
せめて心の洗濯をしよう。手洗いに行き気分を少し紛らわせてバスに戻った。
 
隣のキモキモクソおっさんはどうも食べ歩きをしていたようでまた当たり前のように遅刻してきた。
車内の沈んだ空気を載せようやく目的地の岩手へ向けバスが出発したのも束の間、
隣のおじさんが急に椅子をガクガクやりだすと叫びだした。

「もぉダメェ!!我慢できないナリ!!吐いちゃうナリィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!」

私の人生史上最低の男の奇声が岩手行きのバスの中でこだました。

高速バス吐瀉物その3(餃子視点)

俺は焼きたての餃子。
客に買われるところを今か今かと待っていたところ、ついにお買い上げとあいなった。
俺を買った人間は劇団員の様な風貌で、齢40歳になるだろうか。
いかにも俺みたいなB級グルメが好きそうな見た目をしている。
さてこいつは俺をテイクアウトすると高速バスの中に持ち込んだ。
乗車するときに「俺はハイパーメディアクリエイターだ、お前らとは違う」とかなんとか言っていたが、
ハイパーメディアクリエイター様が俺みたいなB級グルメを食うなよと問い詰めたい。

どうやらこのデブはバスに遅刻をしていたようで周りから睨みつけられるがお構いなしに自分の座席へと進みどかっと腰掛ける。
そして俺たちをムシャムシャと食べていく。食べられたからこれで終いだ。
このあとこいつらがどうなったかって?さあて、そんなの知るわけないね。


俺は餃子の王将さ

リンク

恒心文庫
メインページ ・ この作品をウォッチする ・ 全作品一覧 ・ 本棚 ・ おまかせ表示