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「恒心文庫:風」の版間の差分

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(ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> 我が心を知るものは 父ただ一人と知りつつも されどその身は満たされず 一人寂しく自慰をせり 日…」)
(相違点なし)

2019年10月27日 (日) 22:01時点における版

本文

我が心を知るものは 父ただ一人と知りつつも
されどその身は満たされず 一人寂しく自慰をせり

日は落ちつつも星はなし 風吹きつつも葉は揺れず
道は行く手に広がれど 脇に逸れよと心言う

父と一つになりたくば 力をもってこれをせよ
父を我が身と欲すらば 彼を縛りて試みよ

我が心を父知らず 息子としてのみ扱えど
父は父にて父あらず 愛は愛にて愛でなし

叶わぬことと知りつつも 父への性愛やみがたく
今日も今日とて日はくれる 今日も今日とて風そよぐ

唐澤貴洋

そんな詩を息子のノートに見つけたのは昨日のことであった。
息子が大学に行くようになるまで使っていた部屋を、落ち着いたので整理したところ発掘したのである。
これを読み私は大変な衝撃を受けた。頭を殴られグワングワンと振り回された心地がした。
何よりも心を大きく揺れ動かされた。拒否とも抱擁ともつかぬ未知の揺れが心を襲った。
幸い、妻には見られていない。妻が読んだら一体どう思うか。
昨日、これを手にしてから書斎でひとりずっと考えてみた。
しかし、結論は得られない。そもそもなんのための結論か。
混乱のせいで私は考えることすらできなくなったようだ。
ふうと落ち着き抽斗から一枚の写真を取り出す。
息子が大学に入った時にとった記念写真だ。
これで自慰をすることができるか。果てることができるか。
私は息子の愛に答えることができるのだろうか。
ズボンとパンツとを脱ぎ陰茎を露出する。
一体どういうことか。私のそれはまたたく間に大きくなった。
ゆっくりと手淫をする。感じる。年甲斐もなく喘ぎ声を漏らしてしまう。
亀頭からは透明なカウパー液がねっとりと垂れ、こするその手に絡みつき丁度よいローション代わりになる。
こうなると後は簡単だ。このリズムに乗ればいい。
息子の顔を見ながらこする。こする。こする。
……。
射精。
写真の息子の顔は私の精液にまみれていた。得も言われぬ背徳感と快感であった。
これにもう病みつきになってしまったことを本能的に察した。
パンツとズボンとを履くと部屋を出る。
まだ葬式が終わったばかりでやっと落ち着いたところだが、息子の遺影を使って同じことをしたくてたまらなくなったのだ。
私は息子を殺してしまったことを少し後悔し始めていた。

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