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「恒心文庫:栗きんとん」の版間の差分

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>貴洋のホルマリン漬
(ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> 白いもみあげの老人は悩んでいた。 某投資会社の闇を暴くナリ!と意気込むのはいいが、日々奇妙なSNS投稿を繰り返し、壊れていく息子のことである。 仕事もろくにせず、新規案件をもらってくることもしない。 するのはその投資会社に関する珍妙な造語を作ることだけである。 万策尽きた老人は、後輩であるが資格団体の…」)
(相違点なし)

2022年12月26日 (月) 20:03時点における版

本文

白いもみあげの老人は悩んでいた。
某投資会社の闇を暴くナリ!と意気込むのはいいが、日々奇妙なSNS投稿を繰り返し、壊れていく息子のことである。
仕事もろくにせず、新規案件をもらってくることもしない。
するのはその投資会社に関する珍妙な造語を作ることだけである。
万策尽きた老人は、後輩であるが資格団体の長を務めた黒いもみあげが印象的な男に相談をすることにした。

男が提案したのは作業療法である。
なにかの作業を行い、それに夢中になることでストレスを解消しようというものである。
そして時期的にいい案件がある、と男は言った。
辛い作業になることは予感したが、壊れ行く息子の更生に一縷の望みをかけて老人はそれを承諾した。

老人と太った息子は、黒いもみあげの男の監視下、別々の部屋で一心不乱に与えられたものを食す。
老人が食すのは鬼皮のみ剥いた栗、くちなしの実、水、砂糖、みりんである。
少しでも食すスピードが落ちると黒いもみあげの男が鞭をふるってくるので、一生懸命食す。
そのうち、老人は便意を感じ、その旨を男に申告する。男はおまるに誘導する。
老人は絶叫をあげた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!! (ボコボコボコボコボコ!)」
老人は消化能力が年相応に弱っており、栗の薄皮を消化することができても、本体を完全に消化することができない。
くちなしで黄色く彩られ、砂糖で味付けされた栗の粒を排出する。
その中にはニラが混じってくるので、それを取り除いて、一旦置いておく。

太った息子が食べるのは、一口大に切られた皮付きのさつまいも、くちなしの実、砂糖、隠し味の塩である。
太った息子も一生懸命食べていく。
そのうち彼も便意を感じ、おまるに誘導され、絶叫をあげる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!! (ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)」
太った男はまだ40歳代で、消化能力は十分なため、さつまいもはペースト状になって排出される。
その中から丁寧にコーンを取り除く。
そして老人が出した栗と合わせれば、おせち料理を彩る栗きんとんの完成である。
黄色が黄金色ということで縁起が良く、また塩気の多いおせち料理の中で甘く異色を放つ料理である。
この栗きんとんは冷凍されて出荷先に出荷され、三が日の各家庭に黄色い彩りを添えるのである。

老人はこの作業で、太った息子がSNSから離れ、メンタルの調子を整えてくれると思ったのだが、
黒いもみあげの男は太った息子に作業中や休憩中にスマートフォンを扱うことを許したため、
太った息子は相変わらずSNSで投資会社や関係者への誹謗中傷を繰り返していた。
別室で作業をする老人はそのことを知らない。

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