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「恒心文庫:に、に、にいさん」の版間の差分

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2021年5月7日 (金) 23:59時点における最新版

本文

おなにーさん。
厚史はそう呟きつつ、チンコの竿を握りしめていた。硬く膨張したチンチンの表面をぬめる様に皮が上下し、それにつられてよれる包皮で真っ赤な亀頭が見え隠れする。
毒々しく赤黒く膨らんだ亀頭、その先で鈴口が呼吸をする様に開いては閉じ、また開く。そしてその端から、とめどなく透明な液をこぼすのだ。
まるで夢心地に浸った幼子が、口の端から唾液を垂らす様に。
その粘る液体を手ですくう様にして、厚史は竿をこすっていた。派手な水音を立てながら、厚史は自身のカウパーを自身に擦り付けている。
力いっぱい握りしめた拳の先で、亀頭が痛みに耐える様に身をより一層赤くしていく。事実、硬くなった陰茎が歪むほどに力を入れた握り拳を、厚史は上下させているのだ。
しかし構わず、厚史は続ける。そのだらしなく開けた口の端から、夢心地の幼子の様に唾液を散らしながら、ただ欲望だけを貪るのだ。
まるで、厚史はチンコのようだった。
その様子を、貴洋はぼんやりと見つめていた。変わり果てた弟の姿に、貴洋はうっすらと目に涙をにじませ、しかしそれだけだった。貴洋には、もはや動く力など残っていなかった。
感覚のない手先を動かそうと身をよじらせる。貴洋の後ろ、微かに背もたれが軋む音がする。背もたれの後ろ側で、貴洋の手首は縛りつけられているのだ。
貴洋は立ち上がろうと足に力を入れる。それに伴って、椅子におろした腰だけが徐々に上がっていく。天井から吊るされた荒縄が、貴洋の足首を縛りつけているのだ。
宙空に、貴洋の秘所が虚しく揺れる。ピンクに色づいた菊門が、軌道を描く様に微かに揺れ動いている。
ふと、貴洋は呻いた。途端、跳ねさせた尻、そのピンク色のつぼみから、何か白いものが散る。毛足の長い絨毯に、幾筋かの白線が走っていく。
柔らかい毛先に絡むそれは、精子だった。貴洋の菊門、厚史が幾度も幾度も放った金玉の中で渦巻く欲望。厚史は動けない貴洋をまるで玩具の様に何度も何度も気の向くまま休むことなく貫き引き裂き続けたのだ。
その結果が、まるで涙の様に貴洋の肛門から尻タブ、尾てい骨と伝い、革張りの椅子をけがしていく。貴洋は尻と椅子の間でよれる精液のダマの感触を感触に、ただ呆然としている。
何も出来ない。いや、貴洋は何もできなかったのだ。貴洋は竿をしごく厚史、その背後に佇む影に目を向けた。虚ろな視界の先、貴洋にはその影が笑っているような気がした。
それは父の影だった。父、唐澤洋がその輪郭を震わせている。貴洋は確信した。確かに父は笑っている。この有様を見て、堪えきれぬ愉悦のままに唐澤洋は身を震わせているのだ。
唐澤洋は近年、edに悩んでいた。年々欲深く、傲慢になっていく妻、厚子。彼女を満足させるために酷使した洋のチンチンはボロボロ、焼け残った木の枝の様に真っ黒にしなびていた。
その洋を容赦なく罵倒する厚子。すでに洋は身も心も限界に向かっていた。人間誰しも老いるもの。しかし厚子はそれを認めず、洋は自身の衰えに恐怖した。妻のいびりの中、洋は老いを認められなかったのだ。
その洋の唯一のオアシスが、可愛い子供達だった。聡明で素直な厚史。馬鹿で傲慢な貴洋。その性質に違いはあれど、どちらも可愛い我が子。日々の淀んだ悩みから解放される唯一の道、それが子供達だった。

しかしある日洋は見てしまった。厚子に内緒で持っていったアイスを片手に、貴洋の部屋のドアをそっと開いた時であった。
貴洋がドアに背を向けて、テレビを見ていた。四角い画面では、幼い女の子達が満面の笑みで駆け回っている。無邪気な笑顔で、無垢な姿をさらしていた。
洋は少しおののいたが、しばらくして持ち直した。貴洋ももう中学生。世の中の悪い面も見えてきた頃だろう。ならば、純真無垢だった頃に浸るためにああいったDVDを見るのもしょうがない。
気を取り直した洋は、ドアを開けると、貴洋の背後に近づいていく。何食わぬ顔でアイスだけ渡してやろう。若人よ、大いに悩め。余裕をもって洋は貴洋に近づいていく。
一歩、一歩、また一歩。歩を進めるごとに洋はあることに気がついた。こちらに背を向けて座っている貴洋、その上体が微かに揺れている。それに合わせる様に繰り返される貴洋の息遣い。
洋は妙に思いながらも、そのまま貴洋の後ろに立つ。そして目の当たりにした。
貴洋の腰掛けた椅子の背もたれの向こう側、貴洋の手が、何かを握りしめて上下に振られている。その動きに絡みつく様に響き渡る水音。
「あつ、あっ、いく、いくナリ!」
画面にほころぶ無邪気な笑顔に、息子の邪気が大量に飛ぶ。画面の表面を粘液が音を立てて散っていく。
貴洋はオナニーをしていた。洋は思った。確かに貴洋も男だ。オナニーもする。夢精もする。いつかは相手も作ってセックスもするだろう。だがしかし。
洋の手元からアイスがこぼれおちる。解けたアイスが洋の手の平を伝い、指先からたれて行くが、洋は構わずその手を握りしめた。
洋は怒りに震えていた。性欲にまみれた妻からの苦しみ。日々の苦しみから逃れるひと時の憩いの場。それが偽りだったのだ。心のオアシスたる息子も、妻と同じ性欲の塊だったのだ。
その時、洋の中で何かが砕けた。
「ナリ?」
洋の握り拳から垂れたアイス、首元に落ちたその冷たさに振り向いた貴洋が見たのは、颶風の様に部屋を飛び出していく洋の姿だった。

貴洋には何が起きたかわからなかったが、あの時から父は変わってしまった。もしかすると。貴洋は朦朧とした意識の中思う。あの時、ジュニアアイドルでしこって無ければ、こんなことにはならなかったかもしれない。
貴洋はいまだシコリ続ける弟、その向こう側から近づいてくる影を眺めた。影は白いもみあげを揺らしながら、貴洋のうなじに顔を寄せた。
「どうだ、【デリュデリュドリンク】の味は」
父の声が耳を打った。こみ上げる喜びをこらえる様に喉を鳴らしながら、父の声が続ける。
「ただの子供でさえこの有様だ、しかも試作品でこれだからな」
厚史の、竿をしごく音が聞こえてくる。厚史は何かを飲まされたらしい。素直な厚史は、最後まで父を信じていたのだ。
「遺伝子の近い大人が服用すれば、効果は正しく作用するはずだ」
竿を擦る水音が、大きくなっている。厚史が近づいてくる。当職を、また。
「もうワシをソチンだなんてバカにする奴はいなくなるんじゃ!うおおおおおおお」
洋の雄叫び。同時に、貴洋の吊るされた足、その太ももを誰かの手の平がワシづかみにする。貴洋は息をのんだ。厚史が、また。また当職をメチャクチャにしようとしている。
そうして身を硬くする貴洋の尻に、予想とは違った感触のものが触れた。サラサラとした、指先でほどけるような繊維質のもの。
それは厚史の頭だった。頭のてっぺんを、厚史が尻に向かってゴツゴツとぶつけているのだ。亀頭と自頭の違いがわからなくなっているのかもしれない。今の弟のフェイスはチンコとなって、入り口を探る様に円を描きながら頭突きを繰り返している。そして亀頭の先からカウパーを吐き出す様に、口元からよだれを吐き出しながら、ふと、めり込んだ。
あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
貴洋の喉から、声なき声がほとばしる。どこにそんな力が残っていたのかと思うほど、貴洋は猛烈に体をよじらせる。何処か遠くに行ってしまった肛門が、リアルタイムで巨大な異物感のみを伝えてくる。尻を急激に拡張される感覚に急速で置いていかれた貴洋はただがむしゃらに叫び声をあげる。
何かがプチプチと切れる音とともに、相葉雅紀似の顔がめり込んでいく。真っ赤な鮮血に絡みながら、水嶋ヒロ似の顔が肉をかき分けて行く。腸壁をえぐり糞にまみれながら、ジャンヌダルクのヤス似の顔が潜り混んで行く。
あまりの異物感に、貴洋はえづき、そして吐き出した。洋はそんな貴洋を見て嬉しそうにつぶやく。
「お前の中には今何が入っているのかいってみろ」
髪の毛を掴まれ無理やりに上げさせられた顔を吐瀉物で汚しながら貴洋は息も絶え絶えに叫ぶ。
「私の中にはいつも弟がいます!私の中にはいつも弟がいます!」
そしてすぼんだ肛門、その中心から勢いよく飛び出した弟はすでに動かなくなっており、その顔は堂本光一に似ていたという。

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