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「恒心文庫:とんかつ とお山」の版間の差分

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(ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> 評判のよい料理屋があると聞いた私は早速地下鉄を乗り継いで浅草駅に降り立った。店はすぐに見つか…」)
(相違点なし)

2019年12月9日 (月) 18:24時点における版

本文

評判のよい料理屋があると聞いた私は早速地下鉄を乗り継いで浅草駅に降り立った。店はすぐに見つかった。筋肉質の若い店員が店頭で呼び込みをしていたからだ。
すぐに入れますよ、と促され、個室の座敷に通されると微かにニラの匂いがした。メニューを探したが見当たらない。店のイチオシだという「とんかつとお山御膳」を注文した。
お通しのりんご飴を食べながら十分ほど待つと襖が開き、とんかつが運ばれてきた。しかし私が驚いたのはとんかつではない。とんかつを運んできた人物だ。白粉を顔に塗った着物の女性で、その姿は花魁そのものだ。
「それではこれより、とんかつとお山御膳をお楽しみいただきます」
そう艶かしく囁くと、花魁は着物をゆるゆると解き始めるではないか。私はハッとした。この花魁は女装した男だった。とんかつとお山とは、とんかつと女形のことだったのだ。女形の乳首はビンビンに猛り立ち、胸毛は汗ばんでいた。私は彼、いや彼女のなすがままとなり、二回もおかわりをした。
一週間後、私はカンピロバクター腸炎を発症し入院した。ニラ混じりの下痢が止まらず苦しんだ。風の噂によれば、あの店は保健所の立入検査が入り間も無く閉店したという。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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