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恒心文庫:銭湯

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

私は実家の小さな銭湯で働いている。
番台、掃除、洗濯──忙しいけれど嫌いではない仕事だった。
あいつが来るまでは。
最初に見かけたのは1週間ほど前だった。
仕事帰りのスーツ姿でやってきて、少し照れたように「よろしくナリ」と挨拶してくる。
その仕草が微笑ましくて、年上の可愛いおじさんだなと思っていた。
最初は、本当にそれだけだった。
けれど、何度か通ううちに違和感が生まれ始めた。
私が浴室掃除に入ると、必ず彼は湯船の中にいて、じっとこちらを見てくる。
偶然だと思った。気のせいかもしれないと自分に言い聞かせた。
ある日、彼は湯船から立ち上がった。
そして……タオルで隠そうとしなかった。
「……あっ」
思わず声が漏れた。
ぶらぶらと揺れる小さな陰茎、それはしっかりと皮に包まれていた。
私は慌てて目を逸らした。顔が熱くなる。
(見ちゃった……小さい…短小包茎ね。)
でも、その日から明らかに彼の態度は変わった。
タオルを落とす、拾うときにわざと足を開く、座ったまま股を投げ出す、私が更衣室の掃除をしていると全裸でトイレに向かう、気のせいだと思っていたものが、次第に確信へと変わっていった。
(見せつけてる…わざと、私に…)
私は注意するべきか悩んでいた。
羞恥なのか、怒りなのか、胸の奥がざわざわと騒ぐ。
そして、そのたびに、目が離せなくなっていく自分に気づいていった。
(だめよ、だめだってば……)
けれど──限界は突然やってきた。
その日、彼はついに堂々と私のすぐ前を歩いた。
隠しもせず、むしろ小さなそれをぷらりと揺らして、まるで挑発するように。
「……もうっ!」
私の中で何かが弾けた。
思わず彼の腕を引き寄せ、右手は自然に股間へと伸び──
柔らかく、ぬるりと湿った包皮とチクチクする毛の感触が、手のひらに収まった。
「──いい加減にしなさい!」
「皮かむりのくせに…っ!」
掴んだ感触に、胸が大きく波打つ。
柔らかくて、頼りない。そのくせ体温だけはしっかりと熱い。
指先がわずかに押し当たるたび、中でぬるりと皮が滑る。
その時だった。
(え…?)
わずかに膨らむように、固さが変わり始める。
包まれていた中身が、ゆっくりと芯を持ち始めていくのを、私ははっきりと感じ取ってしまった。
「っ……な、なに考えてるの…ほんとに…!」
身が震える。顔が、ますます熱くなる。
なのに、私は指を離すことができなかった。
わずかに膨張し続ける感触が、どんどん私を狂わせていく。
「…毎日毎日…見せびらかして……馬鹿じゃないの…?」
怒りとも違う、呆れとも違う、混ざり合った声が漏れる。
でも、触れてしまったその感触は、私の指先にも、脳裏にも、焼き付いてしまった。
(……どうしよう…忘れられない……)
湯けむりの中で、互いの荒い呼吸だけが静かに響いていた。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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