「清水陽平」の版間の差分
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なお、この漫画は当初電子媒体で発売されたものの、SNSでの誹謗中傷に関心の高い世間の注目を集め、紙媒体でも発売されることとなった<ref>{{Archive|https://twitter.com/Kuro_Mitsu_/status/1554027003853955072|https://archive.ph/1FFuD|『しょせん他人事ですから』がおかげさまで大好評につき、紙コミックス刊行決定しました❣️}} - 出版社のツイート</ref>。ネットに強い同業者も「多少の脚色はあるものの、普段扱っている事件の実情にかなり近いと思いました。弁護士の解説も、そうですよね、と思うことが多かった<ref>{{Archive|https://twitter.com/ozawakazuhito/status/1558485865357529089|https://archive.ph/RH1IM|小沢一仁弁護士のツイート}} - Twitter</ref>」と評価している。 | なお、この漫画は当初電子媒体で発売されたものの、SNSでの誹謗中傷に関心の高い世間の注目を集め、紙媒体でも発売されることとなった<ref>{{Archive|https://twitter.com/Kuro_Mitsu_/status/1554027003853955072|https://archive.ph/1FFuD|『しょせん他人事ですから』がおかげさまで大好評につき、紙コミックス刊行決定しました❣️}} - 出版社のツイート</ref>。ネットに強い同業者も「多少の脚色はあるものの、普段扱っている事件の実情にかなり近いと思いました。弁護士の解説も、そうですよね、と思うことが多かった<ref>{{Archive|https://twitter.com/ozawakazuhito/status/1558485865357529089|https://archive.ph/RH1IM|小沢一仁弁護士のツイート}} - Twitter</ref>」と評価している。 | ||
また、2022年8月29日には「しょせん他人事ですから」の監修弁護士として[[週刊文春]]のインタビュー記事『「依頼者も弁護士も不幸になる」SNSで“無理筋な情報開示請求”をしまくる有名人の目的とは《激変するネット中傷訴訟の10年》『しょせん他人事ですから』監修弁護士インタビュー』に応答した。インタビューの中で「清水さんは、無理筋な依頼は受けないですか。」と尋ねられたところ、「自分が対応できそうな案件だけを受けています。というのは、相談の中には、どうやっても勝てる見込みがないものがあるんですね。」「弁護士に依頼して裁判を起こすと、依頼者はそれなりのお金と時間を失います。ですから、裁判で負ける可能性が高い案件を受けるのは、依頼者も弁護士も不幸になると思っています。」と回答しているのが印象的である。 | |||
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{{Archive|https://bunshun.jp/articles/-/56383|https://archive.ph/AFcoz|「依頼者も弁護士も不幸になる」SNSで“無理筋な情報開示請求”をしまくる有名人の目的とは《激変するネット中傷訴訟の10年》その1}} | |||
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現在は「SNS依存」「SNS中毒」という言葉が当然のように使われている。だが、10年前の世界は、日々ここまでSNSに浸ってはいなかった。マンガ『しょせん他人事(ひとごと)ですから』(白泉社)を監修する弁護士・清水陽平氏は、約15年前からインターネットの誹謗中傷に関わっている。 | |||
当時と今、ネットと人の関わりはどう移り変わったのか。(全3回の3回目/1回目を読む) | |||
'''2010年頃までは「SNSはmixi、携帯はガラケー」''' | |||
――清水さんがネットの誹謗中傷、炎上案件に関わり始めたのは、2008年頃からだそうですね。当時はどんな相談が多かったですか。 | |||
清水 2008年頃は、SNSといえばmixiくらいでした。TwitterやFacebookはその年に日本上陸していますが、まだ流行ってはいなかったので。 | |||
ですから、2ちゃんねる関連の相談が多かったです。「2ちゃんで中傷された」「個人名を晒された」などですね。 | |||
――2ちゃんねるはよく燃えてましたね。 | |||
清水 当時は《炎上》という言葉自体がなかったと思います。2ちゃんねるでは、炎上ではなく《祭り》と言っていました。 | |||
――あ。言われてみればそうでしたね。 | |||
清水 それに当時は、携帯といえばガラケー。iPhoneが出始めた頃で、スマホユーザーはごくわずかでした。世の中全体としては「ネットというものがあるよね」ぐらいで、使わない人はまったく使わないものだったと思います。 | |||
'''スマホがネット文化を変えた''' | |||
――ネットの地位はとても低かったですね。2ちゃんねるは「便所の落書き」と言われてましたし。 | |||
清水 ええ。インターネットの情報は不確かで、まともなものはない……みたいな。それが変わったのは、2010年代に入って、スマホが普及したことが大きいです。 | |||
それまでは、ちゃんとネットにつながるには、家やネットカフェのPCから……という時代でした。ところが、スマホの普及と同時にSNSも発達したので、誰もが常時、SNSを見られるようになったんです。 | |||
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{{Archive|1=https://bunshun.jp/articles/-/56383?page=2|2=https://archive.ph/oTccA|3=その2}} | |||
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'''裁判官たちに《wwwww》の意味を説明''' | |||
――10年前と今では、裁判の進め方も変わりましたか。 | |||
清水 もしかすると、裁判で勝てるラインは、ゆるくなったかもしれません。 | |||
――10年前より勝てるようになった? | |||
清水 勝てるというか、話が通じやすくなりました。2010年頃までは、ネットの誹謗中傷の判例がわずかだったので。 | |||
――そうか。そういう時代ですよね。 | |||
清水 ええ。当時の裁判官は、ネットの知識がゼロに近かったんです。ところが、誹謗中傷はネットスラングを使うケースが多くて。 | |||
――笑いを意味する《w》などは当時からありましたね。でも、裁判関係者にとっては「これは英語のダブリューだ」と? | |||
清水 そうですね。《w》がひとつならまだ説明は簡単なんですが、《wwwww》のように連続する場合、侮辱・嘲笑的な意味合いが加わるじゃないですか。 | |||
ですから、裁判のたびに資料をつけて、「この言葉にはこういう意味がある」など、かなり細かく説明しなくてはいけなくて。 | |||
'''「ハッシュタグとは…」延々と説明''' | |||
――裁判で、説明するのに苦労したネット用語はありますか。 | |||
清水 ハッシュタグですね。ニコニコ動画だったと思いますが、中傷的な言葉のハッシュタグが付けられてたんですよ。 | |||
でも裁判で、「ハッシュタグとは何か」を説明するのがとても大変で。 | |||
――2010年頃にハッシュタグの意味を理解させるのは、大変そうです。 | |||
清水 そのときの裁判官は高齢の女性だったんですが、書面で何回も説明しても、理解してくれなくて。 | |||
ハッシュタグって、自分で言葉を選んで投稿するものじゃないですか。ところが、その裁判官は「ハッシュタグは《検索》のためのタグだから、《投稿》とはいえない」などチグハグなことを言いだして。「いやいや、違うでしょ」と。 | |||
――(笑)。 | |||
清水 話が通じないんです。結局、こちらの言い分は何も理解されないまま、その裁判は負けました。そんな頃に比べたら、今はややマシですね。 | |||
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{{Archive|1=https://bunshun.jp/articles/-/56383?page=3|2=https://archive.ph/1lbOC|3=その3}} | |||
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'''SNSで無理筋な開示請求をする人たち''' | |||
――ところでSNSには、すぐに「これは名誉毀損だ」「情報開示請求をする」など、はためには無理筋な主張をする有名アカウントや弁護士がいます。この人たちの狙いは何でしょうか。 | |||
清水 特に狙いはないと思います。そういったアカウントは「不快な書き込みはすべて開示請求したい。実際に開示できる/できないは問わない」という思いがあるのではないかと。 | |||
で、それを受ける弁護士は、「依頼はどんな内容でも断らない。裁判所が依頼者の主張を認めなくてもいいので、とにかく手続きを進める」というスタンス。私とはタイプが違うな、と思います。 | |||
――清水さんは、無理筋な依頼は受けないですか。 | |||
清水 私は、自分が対応できそうな案件だけを受けています。というのは、相談の中には、どうやっても勝てる見込みがないものがあるんですね。 | |||
――先ほどの、“結婚詐欺師が「詐欺師」と言ってきた相手を訴える”ようなケースですね。 | |||
清水 ええ。弁護士に依頼して裁判を起こすと、依頼者はそれなりのお金と時間を失います。 | |||
ですから、裁判で負ける可能性が高い案件を受けるのは、依頼者も弁護士も不幸になると思っています。 | |||
'''弁護士と依頼者が一体化してはいけない''' | |||
――なるほど。清水さんはドライな弁護士という印象でしたが、誠実なんですね。 | |||
清水 私はフラットなつもりなんですよ(笑)。 | |||
――お話を伺う前は、「どんな依頼でもすべて受ける」弁護士の方が人情派かと思っていましたが、今はドライな清水さんがいい人に見えてきました。 | |||
清水 ……やっぱり、弁護士は“代理人”であることに意味があるんですよ。弁護士が依頼者と同化すると、代理人の意味がなくなってしまう。 | |||
依頼者の主張をくみとりつつ、第三者として冷静に状況を見て、「よい・悪い」の判断を提供する仕事だと思うんです。 | |||
――他人目線だからこそ、その人のためになる助言ができる? | |||
清水 そう思っています。だから、マンガタイトルの「しょせん他人事」というのは、すごく冷たく聞こえるかもしれませんが、そうではなくて。 | |||
「依頼は“他人のこと”として、自分から切り離したうえで、きちんと考える」という意味合いがあります。 | |||
――なるほど。……すみません、ずっと気になっていたんですが、清水さんの後ろに掛け軸のようなものがありますね。 | |||
マンガでは、保田は事務所に《他人事》と書かれた掛け軸を飾っていますが、清水さんもやっぱり同じ言葉を? | |||
清水 あ、この掛け軸に書いてあるのは、事務所のモットーです。 | |||
ただ、マンガ家さんが取材に来たときに、これを見てヒントにしたのかもしれません。 | |||
――残念。ちょっと期待していました。 | |||
清水 マンガは今、だいぶ知られてきたようで。ネットの誹謗中傷、炎上のさまざまな例を載せているので、誰が読んでも面白いと思います。 | |||
でも最近、いろんな人に「保田弁護士のモデルなんですよね」と言われて。印象がひとり歩きしている気がしますが、私はあそこまで極端な性格ではないですよ。そこは自分ごととして主張しておきます(笑)。 | |||
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=== 侮辱罪厳罰化の改正刑法が成立 === | === 侮辱罪厳罰化の改正刑法が成立 === | ||
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ただし、2022年10月1日からは、改正プロバイダ責任制限法が施行され、それによっていわゆる「新しい裁判手続」をとっていくことが可能になります。 | ただし、2022年10月1日からは、改正プロバイダ責任制限法が施行され、それによっていわゆる「新しい裁判手続」をとっていくことが可能になります。 | ||
新しい裁判手続では、手続開始時に送達が必要なわけではなく、またこの手続きで電話番号の開示請求をすることもできるため、迅速化というメリットは開示請求についてはそれほど出てこないかもしれません。 | 新しい裁判手続では、手続開始時に送達が必要なわけではなく、またこの手続きで電話番号の開示請求をすることもできるため、迅速化というメリットは開示請求についてはそれほど出てこないかもしれません。 | ||
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=== 華原朋美さん「ヤフコメさん達には傷つけられてきた」法的処置明かす 投稿者はどうやって特定する? === | |||
2022年9月1日、歌手の{{wpl|華原朋美}}が8月30日、自身のTwitterであまりに酷いヤフコメに対しては法的措置を執ると公表した件について[[弁護士ドットコム]]が清水に取材を行った<ref>{{Archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_14943/|https://archive.ph/P8iPO|華原朋美さん「ヤフコメさん達には傷つけられてきた」法的処置明かす 投稿者はどうやって特定する?}} - 弁護士ドットコムニュース</ref>。 | |||
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歌手の華原朋美さんが8月30日、自身のTwitterを更新し、Yahoo!ニュースのコメント欄(通称:ヤフコメ)について「あまりにも酷いコメントは警察に伝えて侮辱罪で法的手段を弁護士さんと相談して法的処置します。もうすでに何人か訴えています」と明かした。 | |||
華原さんは「まだ事務所スタッフが引き続きコメント欄をスクショし続けています」と報告。記事と関係のない酷いコメントについて「いろんな方が傷つくんです。私も何度も何度もヤフコメさん達には傷つけられてきました」と話し、今後も法的手段をとるという。 | |||
ヤフーは誹謗中傷を抑止するため、特定メディアのエンタメ記事のコメント欄を一斉に閉鎖する措置などもおこなっている。ヤフコメで誹謗中傷被害にあった場合、どのようにして書き込んだ人を特定するのか。清水陽平弁護士に聞いた。 | |||
'''●手続きを踏めば特定できる余地がある''' | |||
'''——Yahoo!ニュースのコメント(通称ヤフコメ)に関する相談を受けたことはありますか。現在、ヤフー側もヤフコメについてさまざま対策をとってきていますが、効果を感じることがあればお教えください。''' | |||
相談を受けることはしばしばあり、実際に相手を特定している事例もあります。一定のニュースではコメント欄が非表示になるほどの書き込みが繰り返されている様子が見て取れるため、ヤフーがとっている施策がどこまで効果があるかはよく分かりません。 | |||
もっとも、違反を繰り返すユーザーへの警告を強めているということでもあり、一定の効果自体はあるのだろうと思いますし、コメントが非表示になる場合は、批判された側の心理的な負担は多少軽くなると思うので、施策自体は継続してもらいたいとは思っています。 | |||
'''——ヤフコメの削除請求はできるのでしょうか。''' | |||
ヤフコメの削除はコメントの右上にある「非表示・報告」ボタンから行うことができ、これがもっとも簡便だと思います。ただ、過激な言葉であるとか明らかな嫌がらせということでなければ、多様な意見を掲載する観点からなかなか通らないという印象はあります。 | |||
フォームからでは、詳細理由が100文字までしか入力できず、資料を送ることもできないので、きちんと削除を請求したいということであれば、Yahoo!に対して削除を求める書面を郵送していった方がよいと思います。 | |||
'''——ヤフコメの投稿者を特定することはできますか。その場合、どのような手段を取るのでしょうか。''' | |||
ヤフー側は内容についてきちんと争ってくることが通常なので、特定するのは簡単ではないといえますが、手続きを踏めば特定できる余地があります。 | |||
特定する場合は、プロバイダ責任制限法に基づいて、発信者情報開示請求という手続きを取る必要があります。なお、この法律は2021年4月に改正され、新しい裁判手続が導入されるなどされていますが、今年の10月1日から施行されることになります。 | |||
特定のための手順はいくつかありますが、住所氏名や電話番号の開示がしやすくなったため、特定について依頼を受ける場合は、改正法を活用できればと思っています。 | |||
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