「インフレーシヨンと物價對策」の版間の差分
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以上の如く貨幣󠄁價値の決定並にその表現について明󠄁らかとなつたから、貨幣󠄁價値の下落であり、物價騰󠄁貴であると前󠄁提する所󠄁のインフレーシヨンの意義も自から解せられる所󠄁である。<br> | 以上の如く貨幣󠄁價値の決定並にその表現について明󠄁らかとなつたから、貨幣󠄁價値の下落であり、物價騰󠄁貴であると前󠄁提する所󠄁のインフレーシヨンの意義も自から解せられる所󠄁である。<br> | ||
卽ちインフレーシヨンとは、通󠄁貨量の增大によつて通󠄁貨と生產取引される物貨{{原文ママ|物價?}}との釣合ひが破壞せられ、通󠄁貨の價値の低落した狀態である、と規定し得るであらう。 | 卽ちインフレーシヨンとは、通󠄁貨量の增大によつて通󠄁貨と生產取引される物貨{{原文ママ|物價?}}との釣合ひが破壞せられ、通󠄁貨の價値の低落した狀態である、と規定し得るであらう。 | ||
=== 二、インフレーシヨンの顯現形態 === | |||
インフレーシヨンは、斯くの如く、商品流通󠄁量に比して流通󠄁する通󠄁貨量の增大に起󠄁因する所󠄁の貨幣󠄁價値の低落した狀態である事が明󠄁らかとなつたのであるが、然らばインフレーシヨンは如何に顯現し發展するか。 | |||
その顯現形態を次󠄁に述󠄁べる事にする。<br> | |||
今日の如き信用經濟の發達󠄁せる社󠄁會に於ては、一槪󠄁に通󠄁貨と云つても、通󠄁貨なるものは、現金通󠄁貨のみならず、その代用物として信用通󠄁貨(預金貨幣󠄁)の存することは先の方程󠄁式によつても明󠄁らかな所󠄁であらう。<br> | |||
而して一般に前󠄁者󠄁に於けるインフレーシヨンを貨幣󠄁インフレーシヨンと云ひ、後者󠄁に於けるを信用インフレーシヨンと稱󠄁へる。 | |||
今之等の樣相を示せば次󠄁の如くである。 | |||
==== 貨幣󠄁インフレーシヨン ==== | |||
貨幣󠄁の形態は、大體鑄貨、紙幣󠄁の二種である。 | |||
故にインフレーシヨンも亦、之等の貨幣󠄁の增加となつて現はれるのであるが先づ、鑄貨について見れば、今日に於ては、鑄貨そのものが貨幣󠄁形態の間に於て最も微々たる役割󠄀を爲してゐるのであるが、其の增加は、貨幣󠄁の購󠄂買力低下と、一方貨幣󠄁製造󠄁費の騰󠄁貴を惹起󠄁して、逐󠄁{{原文ママ|遂󠄂?}}には、貨幣󠄁の通󠄁用價値と、その製造󠄁費との交叉する點まで達󠄁し、通󠄁貨增發者󠄁に何等の利益󠄁をも齎さない事になるから、鑄貨のインフレーシヨンは極めて稀であり、又󠄂發生してもその程󠄁度は比較󠄁的微弱󠄁である。<br> | |||
次󠄁に紙幣󠄁によるイソフレーシヨソ{{原文ママ|インフレーシヨン}}であるが、紙幣󠄁には兌換紙幣󠄁及び、不換紙幣󠄁があり、發行者󠄁には各政府と、銀行とがある。 | |||
先づ兌換紙幣󠄁の膨脹は其の兌換準備制度と密接な關係を有󠄁するのであるが之を要󠄁するに、兌換紙幣󠄁にあつては、その增發は、主として凖備金屬、例へば金の增加も甲國にのみ停滯せず、物價騰󠄁貴、輸󠄁入超過󠄁、殘金決濟と云ふ順序によつて金の流出を見てインフレーシヨンの程󠄁度は著󠄁るしく緩󠄁和される事になるのである。<br> | |||
== 脚注 == | == 脚注 == |