恒心文庫:酷評作品/チンフェチン

本文

ンゴォオオオオオオオオ
真夜中の公園で獣のごとき雄叫びが響き渡る。月の光は曇天に隠れ、点滅する電灯の光だけがその光景を映し出す。
ズップズップズップズップ!リズム感溢れる水音とともに粘り気のある水が飛び散っている。公園の噴水は止まっているが、肛門の噴水は止まらないのだ。
ウィンウィンウィンウィン!
男の野太い嬌声と激しい水音が絡み合うように真夜中の公園に反響し、さらにその間を縫うかのごとく異様な機械音が鳴っている。
その奇怪なメロディはチンフェチンから鳴っていた。肛門から突き立ち月明かりをバックに大迫力でピストンを繰り返すチンフェチン、その内部が絶えず軋んで鳴り続けている。
当然そのチンフェチンはチンフェのものである。そしてそのチンフェチンが突き立つ尻を夜空へと突き出し四つん這いで喘ぐ男もチンフェである。しかしチンフェの捩られた体の動きから独立して、チンフェチンは単独でピストンを繰り返している。
つまりチンフェチンは宙に浮いているのだ。何者かの怪電波を受けたチンフェチンがチンフェのコントロールから切り離されてチンフェ自身をほじっているのだ。
ンゴォ!ンゴォ!
汗と糞が飛び散り、揺れるものの無くなった股間の暗がりからチョロ、チョロ、と小便が漏れる。まるでマーキングするかのように自身を照らす電灯にチンフェは体液を絶えず噴きかける。
その照らされた電灯の背後、少し薄暗くなっている所にはスーツ姿の男が立っていた。その手元には黒い箱が握られており、箱の縁には「珍人2783号」と白い字で書かれている。男はその蛞蝓のような太い指で、手に持った箱から突き立つレバーの上げ下げを繰り返す。
するとメロディのリズムが早くなったり遅くなったり、合わせて振り回されるようにチンフェが一際大きく体をよじって震えだす。
男はその様子を少し離れた位置で見ながら、ふとレバーを元の位置にもどすと、しばらく経ってからまた微笑を浮かべてレバーをもてあそびはじめるのだった。

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