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恒心文庫:虚空

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

厚い雲がとぐろを巻いてうねる灰色の空を睨め上げながら、唐澤貴洋は呟いた。
チンポにも穴はあるんだよな。
そうして唐澤貴洋は屹立した自分のペニス、そのヒクつく鈴口を覗き込む様にして身を乗り出すと、そのまま体を傾けていく。
すると、あら不思議。とんがり頭、つぶらな瞳、団子鼻、そして薄く弧を描いた口元、スーツに通した手も足も、順にスルスルと亀頭の先に吸い込まれていく。
まるで飲み下すかの様に脈打つ尿道。最後にキンタマが歪み、裏筋がたわみ、カリがひっくり返り、やがて静寂だけが辺りを包みこんだ。

◆◇◆

ゆったりとした昼下がり。
木漏れ日に目を細めながら、唐澤洋は呟いた。
息子にも穴はあるんだよな。
そうして唐澤洋は屹立した自分のペニス、その直線上にいる唐澤貴洋に向かって一歩一歩近づいていく。
パンパンに膨らんだ亀頭が、困った様に苦笑する貴洋の柔らかそうなほっぺに触れる。
すると、あら不思議。フクフクほっぺ、とんがり頭、つぶらな瞳、団子鼻、そして薄く弧を描いた口元、スーツに通した手も足も、順にスルスルと亀頭の先に吸い込まれていく。
まるで飲み下すかの様に脈打つ尿道。膨らむキンタマ、ガバガバ鈴口。
静寂の中、満足げに笑う洋だけが残った。

◆◇◆

曇天渦巻く墨田の地。遠くに轟く雷鳴を聴きながら、二人の男が向かいあっている。
一人は黒いスーツに身を包んでいた。首元をネクタイで引き締め、柔和な笑みを浮かべたその男は、一見、人の良さそうな弁護士の様に見える。
しかしそのツンツン頭は沈黙を容赦無く突き刺しており、まるで男の隠しきれない凶暴性を表しているようである。
対してもう1人は白い布地で体を覆った男である。薄暗闇だというのに、その布地は、角度によって色を鮮やかに変えていく。まるで生き物の様に、風もないのに揺れているのだ。
身を包むものは違えど、両者ともに見事な肉体であった。スーツをはち切れんばかりに押し上げる二の腕。白い布地から覗く丸太の様な足。今にも爆発しそうなケツ。
似たような体つきの両者は、親子ほどに年が離れていた。
事実二人は親子であった。
ふと、まばゆいばかりの光が二人を照らした。そして歓声。しかし変わらず、その中心で親子は向き合っていた。
彼らの心は深山に湛えられた水面よりも静かに透き通っていた。彼らは聖域に立っている。
男たちは、土俵の中にいた。
観客が盛り上がるのも無理は無かった。東、糞ノ山。西、白ノ揉。世紀の一戦である。東から上った太陽が、天下をその光で照らすのか、または地に沈むのか。
期待に沸く周囲をよそに、男たちは示し合わせたように手を下ろした。そして腰を下ろすと、顔だけを相手に向けて上げた。絡み合う視線。その熱意を間近で感じながら、品の良さそうな笑みを浮かべた行司の喉から、静かな声が通る。
はっけよーい。
のこった、そう言ったか言うまいか定かではないまま、辺りに爆音が撒き散らされる。
一瞬の空白。しかし呆けたように固まる観客達の前で、二人はその場を動いていなかった。しかし、確かに二人は触れ合っていた。それぞれの衣服を突き破った彼ら自身が、その先端同士をぶつけ合い、渾身の力で押しあっていたのだ。
ギチギチと、肉がすれる音が辺りに響く。時折混じる水音は、分泌されたカウパーだろうか。息をするかの様にヒクつく鈴口が、お互いに息を奪い合うかの様に絡み合い、角度を変えて絶妙なバランスで突き合っている。
まるで熱烈なキスをするカップルの様だ。行司は品の良さそうな笑みを浮かべてしこる。
ぶつかり合う真っ赤な亀頭、その接点を中心として、二人の男が土俵を回る。一歩間違えればバランスを崩す高度な駆け引きの結果、時折その尻の穴から糞が吹き出して辺りを汚す。電光掲示板では両者の名前の下に不浄負けの文字が光輝き、しかし親子は回るのをやめない。
まるで月と太陽の様に、いつまでもいつまでもまわり続けるのだ。

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